小柴弘樹の場合 25
Tシャツが変形していくのが感じられる。
「お、おい…まさかお前…」
「そのまさかさ」
硬いお椀型に変形したTシャツは、その立体的な形で生まれたばかりの豊かな乳房を鷲掴みにした。
「あああっ!」
アンダーバストが締め付けられ、大きく重い乳房に引っ張られて肩紐が肩に食い込む。
「これは…」
「そう。ブラジャーだよ」
態々(わざわざ)声に出す大迫。
「お前…なんてことを…」
「女がブラジャーするのは普通だろうが」
「俺は男だ!」
「身体は違う様だが?」
「それはお前が…」
また服の下で変化がある。
下着が変形し、キャミソール形状となり、材質も置き換わってつるつるすべすべの肌触りとなり、アンダーバストから下の胴回りを包み込んだ。
「ふわ…あああっ!」
着崩していたYシャツが変形していき、ボタンの合せが逆になる。
紺色で硬い生地になっていく。
髪型が動きやすく活発なものにまとまっていき、白衣は紺色のジャケットへと変化する。
サンダルはパンプスとなっていた。
そして…。
「後は一つだな」
「何を…」
「決まってるだろうが」
ズボン全体が生き物の様にぐにゃりと変形し、二本のトンネルが融合した。
「ああっ!」
(続く)