小柴弘樹の場合 24
「そう嘆くな。人類の半分は女だ」
「何を…馬鹿な…やめろ!やめてくれ!」
「悪いな。止める手段は無い。戻すことも出来ん」
瞳がくりっと大きくなり、無精ひげに覆われていた顔は無駄毛ひとつないマネキン人形の様に美しくなる。
小柴は目の前に手をかざした。
ごく普通の指だったものが、更に細く長く美しく変貌していく。
「っ!!」
急に何かに気が付いたかの様に、両手で下腹部を触る小柴。
「それももう不要だろ?最後に何かしたかったかもしれんが…もう手遅れだ」
「や、やめろ…やめろこれだけはぁ!あああああっ!」
身体の中に溶ける様に男性器が収縮し、消失した。声の後半はハイトーンの女性のものであった。
「そんな…こんなことって…」
身体を見下ろして茫然としている小柴。すっかり美女と成り果てている。
「お前の推理にゃ本当にたまげたよ。まさか本当に推理でここまで真相に迫る物好きがいるなんぞは想像もしてなかった」
小柴は服の下に違和感を感じる。
下着がもぞもぞと動いていた。
「お前…いつから…?」
「正直、俺も良く分からん」
肌にゆるく接触していたガラパンが、つるりとしたシルクの肌触りを持つパンティとなってむっちりと臀部を包み込んだ。
「ああっ!」
「ま、そういうことだ」
「よせ…やめ…て」
「だから止められんのだ。止める気も無いが」
(続く)