小柴弘樹の場合 22
「具体的には?」
「少なくとも主犯格と見做してる男子高校生三人、女子高校生は任意で引っ張る。あとあのパイロットも事情を訊きたい」
「…聞いてどうする?もしも本当にそんな能力を持ってたとしても何も吐かんだろ」
「普通にやればね」
「拷問でもするのかよ」
「必要ない。こっちは警視庁だから。高校生なんて取調室に入った段階で全部喋るよ」
「…お前…」
「それでも無理なら検察に手を回して家族を召喚するって脅しを掛ければいい。サラリーマンでここまでやって吐かなかった例は無い」
「それこそもしもそれで何か分かったらどうするんだ?」
「さてね。そこから先は政治判断だ。科学の枠を超えた話だけど…少なくとも放置しておいていい能力じゃない。まるでミュータントの出て来る映画みたいだけどさ」
「そうか…」
大迫は立ち上がり、必死に何かを考えている。
「いつ頃決行だ?」
「そんなにすぐじゃないよ。逮捕する時とか取り調べ中に女子高生にされたら適わんから婦人警官を使おうかとか色々考えてるところさ」
伸びをする。
「いやー、全部吐き出してスッキリしたよ。ありがとう」
「召喚するのはその三人だけか?」
「実は候補はあと十人くらいいる。同じ要領で調べたら似たような事件が大量に見つかってね」
「そいつらもみんないつかは同じ運命になると」
「それこそ政治判断だけど…順当に考えればそうなる」
「そうか…残念だ」
(続く)