小柴弘樹の場合 21
第九節
「こいつらの他にもいるってのか?」
「…客観的な証拠のみから推理するなら…あのパイロットということになる」
「はっ!馬鹿馬鹿しい。パイロットだから相手をCAにする力があるって?コスプレ・ショーじゃねえか」
「けど事実だ。こいつらは、お互いに自分の技の試し合いをやってる」
「…一応聞くが、それ全警官に配信するのか?」
「しない」
「ならどうしてこいつらは元に戻ってる?」
「あくまで推測だが、こいつらの能力は能力持ち同士の場合は一時的な効果しかないんじゃないかな。そうでない人間には永続的に掛かるが」
「ふーん、ほー」
「ま、これで全部だよ」
「…もう一度聞くが、これをどうする気なんだ?これからも監視は続けるのか?」
「監視も続けるし、ちょっとアクションも起こそうと思う」
「というと?」
「一研究員の戯言だと警察組織なんぞ動く訳が無いんだけどね。今の警視総監って話の分かる人でさ」
「知り合いかよ」
「おじさんが警視だったんで、正月の挨拶で何度か会ったことがある。警視庁に入った時に挨拶に行ったけど覚えててくれたよ」
「それで?」
「科警研は重視してるから、しがらみにとらわれずに思い切ってやれって。バックアップしてやるからその為に部下も派遣するってさ」
(続く)