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小柴弘樹の場合 17
「芝居が下手過ぎだ。まだ決定的な隠し玉を持ってると見た。…違うか?」
やれやれ、という表情をする小柴。
「お前には適わんな」
「やっぱりか」
「一応断っとくがくれぐれも内密にな」
「誰に話すってんだ」
「ちげえねえ」
「いいから言ってみろ」
「…ちょいとばかり法に触れる可能性があるが…」
「持つべきものは警察関係者の知り合いってな」
「全くだ」
「で?何だよ」
「ターゲットの生徒について、街中の監視カメラを駆使して追跡させてる」
「…何だと?」
「断ったろ?違法スレスレだって」
「まあいい。それで?」
「とはいえ、都内だって監視カメラの無い区間だってあるだから毎回追い切れてる訳じゃない」
「結論から言えよ」
「…決定的と言えなくもない映像が撮れた」
「観せろ」
「できんな」
「ここまで来て見せても観せんでも同じだろうが」
しばらく考えていた小柴はパソコンに向き直って何やらクリックする。
「モノレールから空港に入ったらしい。空港内の映像が撮れてる」
「…こりゃヒドい。プライバシーもクソもないな」
(続く)