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小柴弘樹の場合 13
「…オタクか?」
「極めてまっとうな警察官の姿勢だ。結果から言うと、被害者のサラリーマンの特徴と一致する死体は無し。あっても身元が判明したものばかり」
「要するに何だ?」
「ここでも全く同じ現象が起きてる。ある人物が煙の様にいなくなり、その後身元不明の女子学生が出現してる。…至る結論は一つだと思うが?」
「お前、暴力団がどうこう言ってなかったか?」
「あああれな。残念ながらどいつもこいつも根無し草みたいな奴らで、いなくなっても正確な記録を辿ることが難しい。だが、この日新宿歌舞伎町でノーパンの女子高生が分かっているだけでも三人補導されてる」
「ノーパン女子高生だぁ?」
「そうそう。あの普通に突っ立ってても見えそうな丈の短いスカートで」
「それで新宿歌舞伎町かよ。正気じゃねえな」
「彼女たちもやはり身元不明、正体不明だ。他にもいたらしいんだが足取りは掴めなかった」
「一応聞くが…」
「その通り。同じ制服だった。今までの事件と。ま、最も時系列で言うとこの事件が一番最初だが」
「その学校、何かあるんじゃねえのか?」
「普通の警察官ならそう考えるよな」
(続く)