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小柴弘樹の場合 06


「な?そうしろ」

「しかし、警察の一員として放ってはおけん」

「ネッシーの方がまだ可能性があるぜ。アニメの見過ぎだ」

「アニメ?…もう十年は観てない。とにかく、これは発端に過ぎんよ」

「他にもあるのか?」

「はっきり言うとある」

 小柴はまた大量の新聞記事を取り出して来て机に積んだ。

「何だよこれ?」

「どの新聞にも小さくしか出ていないが、この頃はやりの暴力団未満の連中の話だ」

「ああ、確かにいるな。『半グレ』って奴だ」

 暴力団ではない組織が暗躍し始めており、組も直接配下に置いている訳ではないので全容を把握することが困難な連中のことだ。

「そいつらが突如壊滅する事件が起こった」

「いいことじゃねえか」

「それが、主要な人物が軒並み行方不明になる形でだ」

「行方不明ねえ…」

「この頃行方不明事件が多すぎる。妙に都合よくだ」

 ふう、とため息をつき呆れたそぶりで言う大迫。

「あのさあ、日本で年間何件の行方不明事件が起こってるか分かってるか?」

「把握できているだけで約二万五千件だ」

「そうだ。細かい数字まで出て来るのは流石だが、とにかく日本人は一億人いるんだぞ?小さく見ればそりゃ大事件だが、統計的に観れば良くある事件だ」

「まあ、俺も基本的にはそう思う」

「だろ?」

「しかし、この間起こったとある中学の事件が気になってな」

「中学?」

「ウチは犯罪者の精神分析が土俵なんでな。中学校そのものを相手取って…まあストーカー事件ってのか?を起こした女がいたんで直接会ってみた」

「…やれやれだな」

「割れ窓の論理って言ってな。小さな事件を分析することが大きな事件を解決するヒントだったりするもんだ」

「まあいい。それで?現場のおまわりは嫌がったろ?」

「露骨にね。お前は顕微鏡でも覗いてろとか陰に日向に言われたよ」

「何か分かったのか?」

「何も。ただ、この女の言動が奇妙でね」



(続く)


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