小柴弘樹の場合 05
第三節
「何だって?」
「最初に説明したろ?ゲイバーで発見された謎の少女はセーラー服姿だった。謎の事故死女性は…死亡時は私服だったが、少なくとも最初に目撃された時は同じくセーラー服だった」
「どっちも同じセーラーなのか?」
「行方不明少女の方は物証は勿論写真も残ってないが、応対した警官によるとコッテコテの真っ黒で膝下スカートのクラシックなセーラー服の冬服で真っ赤なスカーフだったらしい」
「ふん…」
「これはほぼ同じ制服と断定していいだろうな」
「何がいいたい?」
「ここまで説明したんだから、カンのいいデカなら分かるだろ」
「お前の予想を言ってみろよ」
「うん。一人目は闇金の取り立て人が行方不明となり、同時に身元不明のセーラー服少女が出現、その後行方不明。同じ日、ニューハーフの一人が消失。同時に見た目がそっくりで性別のみが女になっているセーラー服少女が目撃され、そのまま死亡した」
「…」
「…実に馬鹿馬鹿しいが、他の説を大胆に排除すると、この二人は『ある瞬間』にセーラー服姿の少女に変身させられたと考えると合点が行く」
「ぶはっ!」
飲みかけたコーヒーを噴き出す大迫。
「うわっ!大丈夫か!?」
ゴホンゴホンとむせている大迫。
「…お前さあ、まさか俺以外にそんなこと言ってないよな?」
「勿論言ってない」
「聞かなかったことにしてやるから、その辺にしとけ」
「可能性の話だ。断定なんかしない」
「病院送りになるぞ?」
「だろうな」
(続く)