表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/106

小柴弘樹の場合 04


「ふん…それで?」

「もう一つ興味深い事実がある」

「まだあんのか」

「彼女の所持品だ」

「金でも盗んでたか」

「金どころか、この日無断逃亡したゲイバーの私室から行方不明になったニューハーフの私物そのまんまが出てきた。もっとも現金二百万円は煙の様に消えてたらしいが」

「…」

「そしてもう一つド級のものがある」

「何だよ」

「セーラー服だ」

「…は?」

 手元の資料をめくる小柴。

「聞き込み調査によって判明したんだが、この日セーラー服姿のこの女性が買い物に来て、服を一式買っていったと証言してくれたブティックの店員がいた」

「…着替えて脱いだってことか」

「そして持ち歩いていた」

「しかし、新宿歌舞伎町でセーラー服の女がそれほど珍しいとも思えんが?」

「このセーラー服も分析した」

「どんだけヒマなんだよ」

「ウチはそういう部署なんだよ」

「けど、そんな重要案件かこれ?事件性がゼロだぞ」

「そうでもない。話はまだ途中だ」

「…はあ」

「都内の某公立高校のものとほぼ同一であると判明した。まあ、とは言ってもかなり余計に作られていて足取りは追えなかった」

「今時そんな辿り方なんぞ出来るかよ。ましてやセーラー服なんぞ、女装マニアだって今じゃクリック一つで合法的に買ってるぞ」

「そうなんだよ。卸問屋でも同じことを言われた。一般販売では結構な数の男性が買っていくってね」

「やっぱりか。そういう時用途は聞くのか?」

「それほど追求はせんらしい。金を出して買ってくれるならお客だからな。まあ、余興とか忘年会の出し物とか…そんな感じらしい」

「だろうな」

「といっても、忘年会なら東急ハンズのぺらっぺらな奴で構わんはずだ。わざわざ数年は着ることを前提に頑丈に作られている『本物』の制服を数万円で購入する必要はない」

「はは…詳しいな」

「茶化すなって。どうしても本格制服が用意したいならレンタルショップもある。まあそれはどうでもいい。大事なのは全く同じ日に起きた二軒の行方不明事件の両方に『セーラー服』が深く関わっているってことだ」



(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ