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プロローグ 03


「騒々しいよキミ。コクピットは静かに」

 身体の中に取り込まれる様に消えてしまった男性器。


 目出し帽がはじけ飛び、長い髪がふわりと波打った。

 ため息が出るほど美しい肌の美女が驚いた表情をしている。


「とりあえず制服はちゃんと着て貰わないと」

「ま…さか…」

 ハイジャックのために張り込んだりはしていないごく普通のボクサーパンツがパンティへと変形し、生まれたばかりの乙女の柔肌に優しく吸いついた。

「はぁっ!」

 総シルクの官能的な肌触りが大きく丸いでん部を愛撫する。

 アンダーバストがキツく締め付けられた。

「ぐあっ!」

 両方の乳房がお椀型の拘束具に捉えられた。

 肩紐を回り込み、乳房全体を鷲掴みにした。

「大げさだよ。女性なら毎日してる」

 ズボンの上からでも分かる脚線美全体に、うっすらと「第二の皮膚」がまとわりついて来る。

「あ…ああ…」

 覆面男…現在は肉体的には男ではないがとりあえずこう呼称する…は明確に言葉には出来なかったが、それが何なのか感覚的に察知した。

 それは妖艶にうっすらと肌色が透ける色合いの「黒ストッキング」だった。

 適当に着ただけのTシャツがキャミソール形状に変形し、アンダーバストラインから下にまとわり付く。

 スリップだった。

 長さで言えばシャツのそれよりもずっと裾が長くなり、太ももの中央程度に達する長さになる。…が、ズボンに阻まれてそこまでは到達しなかった。

 ただ、ふちの女性の下着特有の刺繍がザラつくストッキングごしに感じられた。

「そんな…馬鹿…な」

「私に言わせればキミたちの方が馬鹿だよ」

 ジャケットが紺色に染まっていき、背中側の腰の上あたりに部分に留め金が出現する。

 肌にはカッターシャツ…合せが男物と逆になっていることに気が付くのはもう少し先である…が当たっていた。

 どこからともなく出現した紫色のスカーフが首に巻かれ、首の回りからカッターシャツの中に入り込む。

「ふわっ!」

 無骨なズボンが生き物の様にぐにぐにと変形し、スレンダーになったボディラインを浮き上がらせた。

「わああっ!」

 お尻の丸みが強調された、膝下の丈のタイトスカートが完成していた。

 仕立てのいい厚手の生地のスカートに、つるつるすべすべの裏地がストッキングに包まれた脚と、舞い降りたスリップのふちこすれる。

「こ、これは…」

 全身にピンストライプ模様が入っていく。

 スニーカーはパンプスとなってかかとを突き上げ、背中まで流れていた髪はアップにまとめられていく。

「も…しかして…」

「そう、ご想像の通り」

 凛々しい造形の姿勢のいい美女の顔に、知的で上品なメイクが乗っていく。

「キャビンアテンダントだ」

「あ…あ…」

 誕生したばかりのCAがよろめいた。



(続く)


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