小林みのりの場合 07
手を離す瑛子。
「は…あははははひゃはあはやあああ!」
訳の分からないことを言いながら這って逃げようとする炉木。
立ち上がって振り向く。
「見てろよ!オレをこんな目に遭わせやがって」
「ロリコン現行犯野郎がほざくな!」
「黙れ黙れ!どこの誰だか知らんが叩き潰してやるからな!お前の家族から親戚縁者に至るまで全員路頭に迷わせてやるぞ!」
「威勢のいいこった」
「本気だからな!許しを請うなら今の内だぞ!」
「…そろそろ効いてくる頃だ」
「何の話…?…」
不思議そうに自分の身体に視線を落とす炉木。
「どうした?」
「…お前…何を…した?」
「しーらね。天罰じゃねえの?」
炉木のすらりとまっすぐに伸びていた脚がぐんぐんと内股になっていく。
ほどなくして膝同士がぴたりとひっついた。
「うわ…あああっ!」
お尻に皮下脂肪が付いて行き、まん丸く豊かに盛り上がる。
「どうした?ん?」
分かり切っているのに挑発する瑛子。
「な…何だ?…ああああっ!」
むりむりむりっ!と乳首を頂点に乳房が盛り上がっていく。背広の下に、似合わない突起が鎮座する。
「な、何だぁ!?」
「見て分からねえかよ。おっぱいだ」
「お…お…」
「今まで散々悪さしてきたこいつもいらねえな」
「ま、待て!待って!待ってくれ!それだけは!それだけはああああ!」
「うるせー」
何故か充血しつつあった男性器がしゅるしゅると縮んでいく。
「ああああああああっ!」
必死に手繰り寄せようとするが、体内に吸収される様に消滅してしまった。
同時にばさりと髪の毛が伸び、指が細く長く美しくなり、顔もギリシャ彫刻風のまま幼さを加味した美少女となる。
「どうだ?散々食い物にしてきたオンナになった気分は?」
「そんな…!オレのからだが!」
「だから女になったんだっつーの!」
「うわああっ!」
ブリーフがパンティになり、どこからともなく出現したブラジャーが生まれたばかりの乳房を鷲掴みにした。
胸そのものよりもアンダーバストの苦しさがキツい。
服の下にTシャツを着こんではいなかったが、関係なくどこからともなく出現したスリップがキャミソール状に乙女の柔肌を巻き込んでいく。
「ふわ…あああっ!」
「思い知れよカスが」
ネクタイはリボンとなり、クリーム色のベストが出現する。そこに校章が縫い取られ、ボタンの合せが逆になった。
「…こんなんでもなんか可愛いのがムカつくよな」
ぶわり!と下半身が涼しくなった。
「わああっ!」
ズボン全体が溶解し、一つの塊になったかと思うと、瞬時に収縮し、チェック柄のプリーツミニスカートとなったのだった。
一気に空気に晒される素脚。
すぐにヘアピンが髪に刺さり、リップが塗られ、スカートのポケットにはティッシュが入り、ソックスの裏にはソックスノリが施された。
「わ…あ…」
室内履きのピンクのスリッパが履かされ、「女子高生」が完成した。
全く淀みなくつかつかと目の前に歩いてきた瑛子は、お揃いの制服のスカートを勢いよくまくり上げた。
「きゃーーーっ!!!」
反射的にスカートを抑える炉木…だった女子高生。
「何が『きゃー!』だっつんだこの馬鹿野郎が!テメエが今まで何して来たか思い知りやがれ!」
だが…瑛子は異変に気が付いた。
(続く)