小林みのりの場合 02
第三節
「どうもそいつがロリコンらしいんだ」
「そりゃまた直球だね」
「瑛子さんはロリコンについてどう思ってる?」
「死刑」
「いや、それでもいいんだけど」
「いいのかよ」
「疑惑だね。とりあえずは」
「担任の先公がってこと?」
「…まあね」
「よし!」
勢いよく立ちあがる瑛子。
「殺そうか」
「物騒だね」
「生かしとく余地ないじゃん」
「…気持ちは分かるし、ほかならぬみのりちゃんだしさ」
「そのロリコンってのはどうして分かるんだ?」
「意外に簡単だった。報道されてたし」
「はぁ?教え子に手ぇ出してることが報道されてんの?」
「…うん」
「それってもう警察の仕事だよね?」
「本来ならね」
「意味わかんないんだけど」
「全く同感」
「いやいやちょっと待てよ。真面目な話だぞ」
群尾の正面に座る瑛子。
「マジでそのクソ先公はどうしてのうのうと教師やりくさってんだよ?」
「じゃあこっちも真面目に応えよう」
真剣な表情になる群尾。
「僕の知ってる限りの世界の話になるけどさ」
視線を逸らさない瑛子。
「教師の世界ってのはなあなあでね。何でも穏便に済ませようとするんだ」
「何だよそれは」
「小学生をレイプするなんてのは鬼畜の所業だよ。八つ裂きにしてもいいと思う。しかし、教師の世界でしかも地域にコネがあったりすればどうにでもなる」
「…こいつがそうだってのか?」
「状況証拠から見て間違いない」
「問題にならねえの?」
「当然なる」
「じゃあ何で?」
ふう、とため息をつく群尾。
「組合が強いからね。加入員は守られる」
「だから意味が分かんねえんだって!犯罪者だろこいつは!」
「その通り。しかしどうやら地方議員の遠い親戚な上に教育委員会に父親がいるらしい」
「まとめて殺す」
「まあまあ」
立ち上がる群尾。
「以上は報道された事実だ。本当にこいつなのかどうかは分からない」
「決まってんだろ」
「もしかしたら更生して真面目に教師をやってるのかもしれない」
(続く)