プロローグ 02
「協力するんだな?」
「客と乗務員の安全を保障してくれるならな」
「当然だ。お前らに危険は無い。客もだ」
「その鉄砲をタテに言われてもね」
「ふん、心配するな。国内線でアメリカに行こうとは思わん。距離的に問題ない場所だ」
「風向きは考えてるか?距離だけ届けばいいってもんじゃないぞ」
「やかましい!」
大声を上げる覆面男。
「いいからお前は黙って従ってればいいんだ。言うとおりにしろ」
両手を上げる飛田。
「分かった分かった。落ち着きたまえ」
「お前オレを舐めてんじゃねえだろうな?」
「まさか」
「運転できるのがテメエだけだと思うなよ?俺たちの中にはパイロット経験者もいるんだ。テメエなんぞ殺しても目的地には着けるんだからな!」
「そうか…旅客機のパイロットまでいたとは驚きだ。ウチの会社は人手不足でね。良かったら今度面接受けてくれないか」
「うるせえ!」
覆面男はつかつかと歩み寄って来てシート越しに飛田の首元を掴んだ。
「ゴチャゴチャうるせえんだお前はよお!」
「そうか…それはすまない」
ぽん、とその手に触れる飛田。
「確かに一言多いと言われるよ」
覆面男は…顔を隠しているので表情が全て分かる訳ではないが、何やら動揺し始めた。
「…?」
「どうしたね」
「うるせえ!…?…なんだ?…」
覆面男の目出し帽がもりもりと盛り上がり始めた。
「ん?あああぁ?!」
ガニ股気味だった脚が内股に折れていく。
引き締まっていたお尻に脂肪が付き、丸く膨らんできた。
「馬鹿な…か、身体…が…」
「ハイジャックはよくない。よくないよ」
ロマンスグレーの飛田が首を振っている。
肩幅がみしみしと音を立てて縮んでいき、同じくウェストも細くなって行く。
同時に、男にしては若干小柄だった身長が伸び始めていた。
「な、何だぁ!?」
「ふむ、中々だね」
「お、お前!何をしたぁ!?」
「当然の自衛策だが?」
信じられないことに覆面男は自分の乳首に何かの刺激が集中し始めているのを感じた。
次の瞬間には、乳首の周囲にむわりとどこからともなく出現した脂肪が寄り集まり、盛り上がったのだ!
「あああっ!」
軽いアーミールックの上からも分かる綺麗な形の乳房だった。
「とりあえずそれもいらない…と」
「き…さま…」
ズボンの中で反応に困っていた下腹部…男性器…が空気を抜かれた風船の様にしぼんでいく。
「ああ!あああああ!」
甲高い女性の声だった。
(続く)