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飛田俊雄の場合 12


第十三節


「相手の変身を偏らせる精神イメージがかなり応用が可能ってことですね?」

「そうだ。斎賀…くんか。キミはかなりいい線行ってた」

「あれはどうして一撃で決まったんだ?」

「男性器狙いだが、実はこういうレベルの戦いに慣れていないメタモルファイターは、一か所でも部分変身をされたら、動揺してしまう。こちらはそこに隙をついて攻撃できるから後は楽勝になるんだ。斎賀くんは間違いなく強いが、経験不足だったというところだな」

「ふん…まあ講釈はいいが続きをやろうぜ?変身決着なんだろ?まだ終わってないぞ」

 きょとんとしているCA斎賀。綺麗だ。

 にやりとしている飛田。

「決まっている様だ」

「何言ってんだよ。俺はまだ変身してねえぞ。声だって男のままだし」

「あっ!そうだ!ホントに声は元のまま!」

 口元に自然と手を当ててしまう綺麗なお姉さんたち。

「それがテクニックだ。一部分に集中させることもできるが、一部分なら残すことも出来る」

「何言ってんだよ。じゃあ俺は声だけ男のままってか?」

 沈黙。

 橋場の背筋が冷たくなって行く。

 ま、まさか…。

 ゆっくりと視線を落としていく。

「あああああああーっ!」

 そこには視界を遮る大きな乳房をどうにかキツいブラジャーで押し隠したピンストライプのジャケットと、紫色のスカーフがあった。

 そしてその先には、タイトすぎて板みたいになっている膝丈のスカートと、そこから飛び出ているうっすら肌色の透ける黒ストッキングに包まれた脚線美があった。

 思わず目の前に手を持って来る橋場。

 同じくピンストライプの紺のスーツの袖と、その先の白魚の様な美女の手が飛び出てきた。

 そういえば…身体を動かしてみると、確かに全身にまとわり付くつるつるすべすべのスリップと、何とも頼りないパンティの感触がした。今までと違うのは、それをストッキングが上からまるごと包み込んでいることだ。

 動かした拍子に自らの脚がストッキングごしにスカートの内側のすべすべの裏地にこすれ、同時にスリップの裾の刺繍になぶられる。

「馬鹿な…」

「コントロールが上手いとこういうことも出来る。でもって…声も…」

「何を…っ!!!」

 思わず両手の指を綺麗に揃えながら口を押える上品なリアクションを取ってしまう橋場。

 この瞬間に声も女にされたのだった。

 橋場はもうすっかり全身スチュワーデス…現CAになってしまっていた。

「変身決着なんで私の勝ちだな」

「…」

 しつこく見下ろしては身体をぎしぎしと動かす橋場。

 全身に伝わるこの女体の感触…間違いない。負けたことにすら気が付かないほど圧倒的に負けてしまったのだ。

「参りました」

 三人を代表してCA斎賀が両手をスカートの前に揃えてお辞儀をする。

「約束だ。解除条件には従ってもらうよ」



(続き)


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