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安藤士郎の場合 39


第二十二節


「それにしても恐ろしい敵でした」

「…」

「一番恐れていた暴力で何事も解決するタイプがメタモル能力を持ってしまった例だったですね」

「…」

「一応、これ以上使えば身体が女性化して二度と戻れなくなるぞ!と念を押しておいたんで大丈夫でしょ。グループも解散するそうですし」

「…」

「とにかく、無事に勝てたんだからよかったです」

「…だからって、なんでこういうことになるんだよ?」

 唇を突き出してやっと橋場が口を開いた。

「だって、あそこで呼んだら来てくれたんですよ?バイト代は出ないけどまかないは食べていいって話だし」

「だからって何でチャイナドレスなんだよ!」

 お客の途切れたタイミングだとはいえ、ガニ股の“はしたない”ポーズで自らの身体をアピールする橋場。

 そこには妙齢の女性の肉感的な女体が(なまめ)かしいチャイナドレスに包まれていたのだ。

 勿論、お団子状に結ばれた髪にドアノブを思わせる髪飾り、メイクにイヤリングまで完備した「中華レストランのウェイトレス」がそこにはいた。ちなみにチャイナドレスは典型的な朱色である。

「いらっしゃいませー!」

 と笑顔の武林が元気溌剌で長いスリットの脚線美チラ見せもまぶしく、入り口に早足で駆け寄る。チャイナドレスの色はピンク色である。濃いめのルージュが刺激的だ。

「だって…ここの制服だし」

 コンタクトにしたのでメガネを外している斎賀。

 …無論、彼…今は彼女…もまた、チャイナドレス姿である。色は紺色。

「そらそーだが…なんて情けねえ格好だ…」

 改めて自らの身体を見下ろす橋場。

 お尻が大きく、スリットから脚がちらちら見えるというよりは、身体の前後に板状の垂れ幕を掛けているという風情になってしまっている。

「毎度色んな服着てるし、今更でしょうが。ウーさんが来なかったらどうなっていたか分かりませんから」

「お前…バイト代を代償にしやがったな」

「ウーさんがタダで動く訳ないでしょ?安いもんですって。あと」

 周囲をキョロキョロした上で言う斎賀。綺麗…なんだけど可愛い。

「実は前回の対決じゃあ勝っちゃったから着たことなかったんで…一度着てみたかったんですよ」

 頬紅の下で軽く頬を染める斎賀。健康的な男子高校生の面影は全く無い「色っぽいお姉さん」と成り果てているんだが。

「街中で着せられたろうが」

「そこはやっぱり中華レストランのウェイトレスさんじゃないと…年上の女性になるのも悪くありませんよ?」

「お前…CAん時もそんなこと言ってたよな…大丈夫か?」

「いらっしゃいませー!」

 何ともはや『女性的』な発声で飛んでいく斎賀。

 真後ろから見るとまんまるなお尻がふりふりしている。



*橋場英男 メタモル・ファイト戦績 六勝一敗一引き分け一無効試合 性転換回数八回

*斎賀健二 メタモル・ファイト戦績 八勝二敗二引き分け 性転換回数七回

*武林 光 メタモル・ファイト戦績 一勝四敗一引き分け一無効試合 性転換回数六回

(三人同士の練習試合はカウントせず)


*呉 副妹 メタモル・ファイト戦績 二十勝二敗〇引き分け 性転換(変身)回数二十二回


*安藤士郎 メタモル・ファイト戦績 五勝一敗〇引き分け 性転換回数一回



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