プロローグ
品太です。初めまして。
僕が日頃感じてることを伝えたくて、そしてそれを物語として綴ることでその答えを見付けられたらなぁと思い、投稿させていただきました。
まだまだ力量不足ですが、精一杯頑張って書いていこうと思いますので、読んでいただけると嬉しいです。
桃色に囲まれた通学路を、少年はいつものように歩いていた。
彼は追い風で吹き付ける桜の花びらを気にもとめず、漂う甘い草の香りを吸ってあくびをした。
真田 真の日々は回る。光を失いつつある彼の瞳は、それを追いかけようとすることも忘れかけている。
充実しない毎日を、またすぐにやって来る次の日を満たす努力もせずに、そうでないと言えた日々を振り返ることで過ごしていた。
「楽しいことや運命の出逢いが自分のところに顔を出してきてくれやしないか?」
ただ、それだけを願って、自分からは動こうとしなかった。怖くて、面倒で、だから動かない俺から、たしかにそれらは離れていくのだ。今も。
歳をとればとるほど、鈍る感覚。新鮮さ。
人生17度目の春は、なにかが足りないから春じゃないなと真は思った。
それこそ春が春じゃなくなったのは、その始まりは、小学校五年生の冬の話だ。プツン、と音がした。
例えば、田舎のばあちゃんの家に車で行く途中、山にさしかかると起こる耳なりのような音がした。そのときから、自分が夢のなかにいるような、一つ一つの出来事に対しての感動は消えていった。
あのとき、感性の神経の糸のようなものを三分の一くらいブチッ、と一気に引き抜かれたのではないかと思う。
そこから徐々に、残りの糸も徐々に腐っていったのだ。
そしてこれからも、新鮮味や面白味を感じるための糸は腐り続けていくのだろう―
そうすると、俺は続けてこう思うのだ。
「過去に戻りたい」と。