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にせ∞かみ  作者: 和久井 透夏
座天使暴走編
57/71

#54 作戦決行

十二月二十六日、俺達は佐倉が用意したワープゲートを通って長崎の、佐倉が信頼できるという人物の家にやって来た。

出来るだけ早くこちらに来て欲しいと佐倉から言われたからだ。


佐倉家に親族が集まりだすのは大晦日なので毎年佐倉家ではその少し前から年明けの準備で大変になるらしく、大晦日に近づく程家の手伝いを抜け出せなくなり、打ち合わせがしにくくなるらしい。


佐倉家側には佐倉がこんな長距離を繋ぐ術が使えることは秘密らしいので、この術のことも万が一にも知られることは避けたいらしく、俺達が長崎に行く時に佐倉家やその関係者にばれないように使用するのは行きの一度きりで帰りは普通に飛行機で帰ることになった。


そのため俺達がゲートを通り抜けた後のゲートは現在閉じられて完全に行き来が出来ないようになっている。


「こちら、向かって右からこの部屋の主でニートで邪視持ちの千早深冬ちはや みふゆ十八歳、深冬の血統に興味津々な百山朱里さん(ももやま じゅり)さん二十五歳、その助手の白野奏ちゃん(しらの かなで)十二歳、それからもう一人十二歳の女の子が後から来るわ」

佐倉が俺達の前に立っている三人をそれぞれ紹介した。


「俺の説明にだけ悪意を感じるのは気のせいですかねぇ恵瑠さんよ」

室内なのになぜかサングラスをかけているニートと言われた男の人が不満そうに佐倉につっかかった。


みずがねの仕事をごくたまに請け負う以外は基本家に引きこもって、何をするでもなくネットで時間を潰してるだけで、ゴミ出しさえも嫌がって朱里さんに任せきりのダメ人間が何か?」

佐倉が見下したような目で千早さんに言い放つ。


「この家の家賃や高熱費も誰が出していると思っているの?」

更に追い討ちをかける言葉が続くと、千早さんはバツが悪そうに恵瑠ちゃんには感謝してるよと言い出した。


多分金を出してこの人を囲っているのは佐倉なのだろう。


「それでこっちが向かって右から私の同級生の柿芝悠人君、一つ上の先輩の高尾龍太さんと鈴木咲耶さん、三人とも神人よ」

続けて佐倉が俺達の事を千早さん達に紹介する。

「三人には元旦までここに泊まってもらうことになりますが、流石に鈴木先輩を深冬の所に泊めるのは憚られるので鈴木先輩は隣の朱里さんの部屋に泊まって下さい」


佐倉がそう言って先程紹介されたモデルの様な整った顔立ちと体形の女の人を指した。

「こんにちは!私のことは朱里で良かよ。神人なんてめったにおらんって聞いたけど、むこうでは随分豊作やったんね~」

朱里さんはそう言うなり興味深そうな顔で俺達を見た。


「すいません遅れましたぁ~!」

するとそれを遮る様に玄関から元気な声が聞こえてきた。

見れば紙袋を持った女の子が入ってきた。


「紹介しますね。この子は杖原小夜つえはら さよ、さっき言ったもう一人の十二歳の子で私の弟子?みたいな子です」

なぜ疑問系なのか。


「朱里さん、奏、今日は二人にプレゼントがあるの!」

そう言って小夜が取り出したのは二枚の白衣だった。


「奏のサイズの白衣って見つからなかったから、普通のサイズのを分解して奏のサイズに仕立て直したの!やっぱり研究者は白衣を着てないとね!」

目を輝かせながら小夜は語る。


「わ~まるで本当(ほんもん)の研究者ごたる~」

朱里さんが受け取った白衣を着ながら嬉しそうに言う。

本当の研究者みたいって、違うのか。


「なんなのよその無駄な労力!しかもこんな丁寧に既製品と変わらないレベルまで仕上げちゃって、他にやること無い訳?

もったいないから着てあげるけど、その、お礼とか、何が良いのかわからないじゃない・・・」

受け取った白衣を目の前で広げて嬉しそうな顔しながらそわそわした様子で奏が言う。ツンデレか。


「なんにせよ、全員揃ったので早速作戦会議よ。すいませんが鈴木先輩達は後で小夜にで自己紹介してあげて下さい。

私は三時からみずがねの仕事とその後は家の手伝いがあるので今日はもう戻ってこられません。

明日また来ますが困ったことや聞きたいことがあったら朱里さんか深冬に言ってください。あとあまり外は出歩かないように」

時計をちらりと見ながら佐倉が話す。


時計は午後の二時を指していた。


「解ったわ。恵瑠ちゃんも忙しいのね」

咲耶は佐倉の言葉に頷くと、部屋の真ん中にあったコタツに静かに入った。

それに釣られて皆次々にコタツに入る。

まあこの部屋にはコタツ以外に机らしいものも無いので皆で話し合うのならここしか無いだろう。


「まずは佐倉家に集まる親族の内訳ですが、基本的に大部分はなまりに属するほとんど一般人の様な生活を送っている人間で、こがね丹砂たんさ、汞に所属して直接的に魔術と関わる活動をしている人間は半分もいません。

ただこの少数派が厄介で、特に紅鏡の意思決定機関に当たる金に属する四人、私の母の佐倉侑子、祖母の佐倉千代子ちよこ、叔父の佐倉博康ひろやす、分家の百山万里ばんりは特に別格です」

机の真ん中にリングノートを広げ、図を描きながら佐倉は説明する。


「待ってくれ、この分家の百山万里っていうのはもしかして朱里さんの親戚か何かか?」

「実の父だよ~錬金術の研究に没頭しとったけど、ちょっと人の道から外れたけん」

俺が尋ねれば、朱里さんが世間話でもする様にさらっととんでもない発言をした。


まあ、佐倉家のホムンクルスの話を聞く限り、まだ何かありそうではあるが。

しかし、考えてみれば朱里さんや深冬さんはともかく、奏や小夜のような小さい子まで作戦の内容を理解して参加しようとしているということは、なかなか訳ありなのだろう。


「ただ、金に属する四人は他に比べてずば抜けた力を持っていますが、祖母は現役を退いて随分経つ隠居の身ですし、叔父と万里おじさまは元々バックアップ専門なので、身体一つの状態で外部と隔離して叩けば大して力を発揮できません。

問題は私の母です。水を分子レベルで操る魔術を得意とし、全身にそれらを実行するための魔法陣が彫っています」


つまり、本当の脅威は侑子さん一人ということなのだろうか。

「水を分子レベルで操るって、どういうこと?いまいちイメージが涌かないんだけど・・・・」

柿芝が小さく手を上げて佐倉に尋ねた。


「例えば、人間の体内の水分子を操って振動させれば、電子レンジと同じ原理で一気に体内の熱が上がって大火傷、もっと出力を上げて温度上昇を急激にすれば、人体を爆発させる事も可能でしょ。

後は空気中の水分を全てまとめて相手の身体にぶつけて濡らした後、相手の周りの空気中の水分をゼロに保つと、身体にかかった水分が一気に蒸発して気化する際に熱を奪い、凍死させたり。

もっと単純に体内に流れる血液の一部をピンポイントで水分を奪い凝固させて・・・・」

「わかった、もういい」


考えられる結果を数えるように佐倉はいくつかの例を挙げたが、途中で柿芝に遮られてしまった。

しかし、実際そんなことが出来るのなら凶悪すぎる。


「母の脅威はなんとなく伝わったかと思うけど、そんな強力な魔術を身体一つで瞬時に発動するにはそれなりの力量も必要だけど、母が身体に刻んでいる魔法陣が無くては不可能よ。

隙はこちらで作るから、柿芝君にはその瞬間に母の皮膚表面を一気に焼きつく尽くして魔法陣を潰して欲しいの。

もちろんその場で燃やし尽くせるならそれが一番良いのだけど、最悪それだけしてくれれば何とか互角の戦いに持ち込めると思うから」


それだけやって互角なのかとも思ったが、要するに侑子さんは魔法陣を使った物以外にも実践的な魔術が使えるということだろうか。

「私とまーちゃんと修司お兄ちゃんは現在佐倉家、というか母に力の源をいつでも絶つことのできる仕掛けを施されているので、母にそのブレーカーを落とされるまでしか作戦当日は活動できません。

なので、私が倒れてからは、作戦の進行は皆さんに任せっきりになります」


心苦しそうに佐倉は言ったが、それこそが今まで佐倉が大人しく佐倉家に従ってきた理由であり、謀反を起こす理由なのだろう。

その後佐倉の提案を元に各自意見を出し合い、決まった大まかな作戦の流れはこうだ。




まず佐倉家親族会の集まりで、宴もたけなわとなり皆が油断した辺りに千早さんが佐倉が家中に設置した隠しカメラから佐倉家の人間全員に邪視で最大限の呪いをかける。


普通の人間は大体この時点で酷いショック状態に陥って死んでしまうそうだが、ある程度呪術的耐性を持った人間はダメージを受けるものの、死には至らない。


しかし、それとほぼ同時に修司の魂を細かく分裂させ、耐性のありそうな人間に憑依する。

それに佐倉と鞠亜が魂を同調させ、体内の力をかき乱すことにより、憑依された佐倉家の人間は生半可な護身の方では自身を守りきれなくなる。


それでも死ななかった者も、心身共に相当弱った状態になるのでそれを咲耶が千里眼を駆使して見つけ出し、狩る。

その間に小夜が侑子さん以外の金の人間をそれぞれ一人ずつ別の次元へ隔離する。


侑子さんは小夜には手に負いきれないので、佐倉達のブレーカーを落とそうとしている隙に俺の身体に入った文月と柿芝で別次元に隔離して叩く。


その後小夜は咲耶と千早さんと合流し、三人で隔離した金の人間を百山万里→佐倉博康→佐倉千代子の順で一人ずつ潰していく。


咲耶側と柿芝側、どちらか早く終わればまだ終わってない方へ加勢する。

というものだ。




「今回の作戦の肝は、何と言っても咲耶さんの魂を取りみ支配する力と極めて高度な物質化です。

咲耶さんの力を持ってすれば、相手を殺して魂を取り込み、記憶を全て確認し、更に記憶や思想の書き換えた状態で蘇らせるこも可能なはずです」

佐倉が確認するように話し、咲耶がそれに頷けば、朱里さん達が色めきだった。


言ってみれば一種の洗脳だが、それは朱里さん達にとっては都合が良いらしく、少し表情が明るくなったようだが、すぐに顔は真剣なものに戻った。

「そうだとして、その記憶や思想の書き換えというのはどれ位の強度があるとやろか?

もし簡単に元に戻ってしまう可能性のある物やったらあまりあてには出来んし、魂を取り込んで支配するというけど、もし咲耶ちゃんに何かあった場合、取り込まれた人間はどがんなると?」

神妙な顔で朱里さんは尋ねる。


「記憶や思想の書き換えと言うけれど、私のは直接魂を変質させて作り変えるようなものだから、何かの拍子に書き換えられる前の記憶が戻るなんてありえません。

そして、私が魂を取り込む時は皆一度死んでもらう必要があって、その後肉体を私が再生させてそこに魂を入れるんです。

だから私が完全に死んでこの世に干渉できなくなれば、生き返らせた人達の身体は元の形を保てなくなって死ぬことになります」


対して咲耶も淡々と答える。

咲耶のこの力で、最も強力な点はやはりこの魂に干渉だけでなく変質までさせて魂その物を書き換えてしまえる点だろう。

しかしそのせいで咲耶は強い力を持っていながらそれを行使することに少しためらいが出てきたように思える。

鬼灯の人間に対する態度は正にその最たる例だ。


咲耶は鬼灯の人間の魂を取り込んでおきながら、軽い干渉を跳ね返されたというだけでより深く鬼灯の人間の魂に干渉することを諦めて


しまっている。

それに鬼灯には色々と疑惑もある。鬼灯の幹部の人間の魂を取り込んだのだから、少なくとも記憶は全て確認すべきだ。


現在、咲耶が相手の魂に干渉することにためらいを憶えているのはどれ程干渉をすればどのような結果になるのか解らないという未知への不安とそれによる罪悪感だろう。

しかし、それも言い方は悪いが場数を踏んで試行錯誤を積み重ねていけばおのずと力の加減もわかってくるだろうし、それを続けていくうちに罪悪感も薄れるはずだ。


そうやって多少の犠牲を出してでも力の扱い方も憶えていかなければ、いくら力を蓄えた所で無意味だ。

刺客はいつ現れるかわからない。

いついかなる時にそんな事態に陥っても対処できるようになっておかねば危険だ。


咲耶は気付いているんだろうか。


今自分がいかに常識はずれで途方も無い力を手にしており、自らを守るために力を蓄え、危険を排除していったその行き着く先はなんなのか。

自分が何になろうとしているのか。


それを考えれば、自分の所有物となった魂をどう扱おうが、ためらいなど生まれるものだろうか。



「最終的には佐倉家の親族会に来ていた人間全員の魂を取り込んで、鈴木先輩に生き返らせてもらいます。

そうすることで見かけ上は元通りでも、佐倉家の動向は完全に掌握したことになりますし、表向きには平和的な社会生活を送りながら現状私達に降りかかるほとんどの危険を払いのけられます。

更に金の人間に干渉して紅鏡自体もある程度は干渉することが出来るようになります」


佐倉がそうまとめるように言えば、朱里さんと千早さんは信じられないという様な顔で咲耶の方を見た。

「それではもう時間も無いので私は行きます。もし作戦について気付いた事や意見等があればそのノートに書いておいてください。明日着たときに確認します」

二時五十分を指している時計を見て慌てたように佐倉はそう言うとそのまま出て行ってしまった。


「・・・・あ、そうそう自己紹介まだだったわよね。私は鈴木咲耶、中学二年生。

埼玉で恵瑠ちゃんと同じ学校に通っているの。こっちが私の同級生で幼なじみの高尾龍太、その隣が恵瑠ちゃんと同じクラスの柿芝悠人君よ」

佐倉が出て行った後、思い出したように咲耶が小夜に話しかける。


「杖原小夜です・・・・魔法使い六年生です」

小夜も釣られて会釈をする。

・・・魔術を扱うようになって六年目ということだろうか??


「百山朱里、錬金術師十二年生です」

「白野奏、朱里さんの助手二年生です。あ、ついでにそこのグラサンの人はニート七年生です」

小夜に続くように朱里さんが言えば、更にそれに続いてに奏が話す。

というか、今十八歳で七年間ニートということは・・・。


「俺だって好きでニートやってねえよ!」

千早さんはそう言い返すが、その様子はどこか日常的な感じがして、言われなれてる感があった。

「千早さんはどうしてニートなんですか?」

そして咲耶がさらりと尋ねる。初対面の、しかもこれから世話になる人間にいきなりそれを聞くのかお前。


「深冬でいいよ。龍太君と悠人君もね。

俺がまともに外に出られないのはこの目のせいなんだよ。邪視というのは妬みとか怒りとか、とにかく悪意を込めて相手を見ると、それだけで相手に呪いをかけちゃうからね」

しかし当の深冬さんは特に気にするでも無く自分の目についての説明を始めた。


「僕がこの力に目覚めたのは小学生の頃、くだらない事で兄貴と酷いケンカをして、だけど歳も離れてたし取っ組み合いになっても勝てなくて兄貴なんて死んじゃえって強く思ったんだ」


・・・・・この出だしからしてトラウマの臭いしかしない。


「まあ、そんな感じで身内とのつながりも無くなり、まともな社会生活も送れなくなった所を当事六歳だった恵瑠ちゃんに拾われて今に至る感じかな」

と、思ったら物凄い省き方をされて何がなんだかわからない。


「ただ、この邪視の目には致命的な弱点があって、今でも俺が引きこもっている理由はここにあるんだよ」

手を顔の前で組んでうな垂れるように深冬さんが言う。

その様子に、俺も弱点の内容が気になった。


「不浄な物が、見られないんだ。いや、見ることはできるんだが、それをみると直接自分の力が自分に跳ね返ってくるみたいな状態になるんだよ。最悪死ぬ」

絶望に満ちた様子で深冬さんは言う。


「不浄な物・・・・・?排泄物とかですか?」

そう尋ねながら、つまり肥溜めに落ちたら即死ということなのだろうかと俺は考える。


「それもある。そのせいで飼い主のマナーが悪くて道のあちこちに犬の糞が落ちているこの町では迂闊に外を歩くこともままならない。

だがもっと深刻なのは、その不浄な物というのに男女の性器も含まれているということなんだよ!」

深冬さんは顔を上げて力強く嘆いた。


「・・・・・・・・・・・・・・は?」


俺はなぜそれがそこまでの絶望に繋がるのかすぐには理解できなかった。


「解らないか?そのおかげで俺は彼女を作ることはおろか、エロ画像を漁ることすらままならん」


ちょっと待て。


「つまり、一生童貞!一生独り身!!一生孤独!!!」


いや、彼女は作れるだろう。肉体関係は持てないだろうが。

そうは思ったが、確かにそう聞くとそれはとんでもない呪縛だろう。


「邪視は妬みや怒り等の負の感情から来る悪意を持った視線で相手を見つめることにより発動する。

そしてその感情は自分では止められない。

・・・・外は幸せそうな家族やカップルで一杯だ。普通に道を歩いている人間にだって家族がいて、友達がいて、毎日が楽しんだろうなと思えて仕方がない」


だからこそ、深冬さんは外に出ようとしないのだろう。

「出家も考えたが、前にしばらくまともに食事を食べられなくなった時、余計に力が強くなって、何気なく外の鳥を見ただけで何十匹ものスズメが一瞬で地面に落ちて死んだのを思い出してやめたよ。

修行を積んでこれ以上力が強くなったらそれこそ手に負えなくなる」


確かに、食事を絶つとそれだけで感覚が研ぎ澄まされたような状態になる。

だからこそその状態で瞑想を行うと、かなり効果が上がるのだが、深冬さんの場合、それをやっても邪視の有効範囲や威力が上がるだけなのだろう。


「だけど、恵瑠ちゃんは自分の魂が完全になって全ての知識の記憶にアクセスできるようになれば、俺のこの力も完全にコントロールする事ができるようになると言ってくれたんだ」

恐らく、それが深冬さんの希望なのだろう。


「だから、もし恵瑠ちゃんの作戦が成功して、俺の力のコントロールも完全に出来るようになったら、朱里さん、俺と・・・・!」

深冬さんがそう言いかけた瞬間、勢いよく咲耶が深冬さんの頭を叩いた。


「このタイミングで告白なんて死にに行くようなものじゃない!早まらないで!」

確かに死亡フラグ以外の何物でもない。

しかし、咲耶がここまで過敏に反応するのは自分にもそれなりに死亡フラグが立っているので縁起でもないというところなのだろう。


「わかった、じゃあ朱里さん、この戦いが終わったら大事な話が・・・」

この返しは明らかに確信犯だ。

「深冬さん、わざとやってるでしょ!」

と咲耶がつっこめば、年下の女の子にさん付けで叩かれながら怒られるなんて興奮する等と言い出した。


そして次からは咲耶も深冬さんを呼び捨てにするようになった。




五日後、年明け早々俺達は佐倉家の佐倉の部屋の真上にある屋根裏で待機をしていた。

佐倉の部屋の屋根裏に昨日からいくらかの機器を引っ張り込んで、佐倉家の様子を随時監視できる様になっている。


なぜカメラなのかといえば、呪術的な物であれば佐倉家にいる誰かしらが気付くだろうが、呪術的な力が一切介入しない物であれば、それらが見つかる可能性はきわめて低くなるらしい。

呪術的なものを感知できる力を持っているがためにそれ以外への警戒は薄くなるのだろう。


やがて全体の挨拶も終わり、皆が飲めや歌えの盛りになった所で作戦は決行された。



作戦は順調に進み、無事咲耶と小夜、深冬さんが佐倉の祖母である千代子さんを倒し、魂を取り込んだ頃、事は起った。

侑子さんが文月の結界を突き破り、一部の火傷は見られるものの、いくらかの魔法陣は消しきれていない状態で現れたのだ。


柿芝と文月の気配は感じられない。


すんでの所で俺は咲耶を連れて後ろに飛び退き、侑子さんからの攻撃をかわしたが、次の瞬間、飛び退いた俺達の前に立っていた小夜と深冬さんの身体が切り刻まれ、バラバラとその場に崩れ落ちた。




次回更新予定は5/30です。

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