10.他のディストリビューションも使ってみよう
Ubuntuもインストールできた、使えた!
メインのCore i7とかi5とかのWindows11のPCでもVirtualBoxで動かせた!
こうなると、「じゃ、他のディストリビューションはどうなんだろう?」と気になりますよね。
今、どんなものが人気があるのか、ちょっとご紹介したいと思います。Core i3の4GBメモリぐらいでしたらどれも快適に動きます。HDDでも全然平気ですね。
・Zorin OS (イチオシ!)
現在最もWindowsにそっくりなのがこのZorin OSです。Windows10の乗り換えが一番多いOSだとも言われています。最近よく聞くようになったので新参のディストリビューションのように思われていますが、十数年前からありました。
当時からXPにそっくりでしたが、今は全体的に明るいグレーの配色がWindows11にそっくりです。マイクロソフトに訴えられたりしないのか? と心配になるぐらいですね。オプションでUbuntuにそっくりにしたり、Macにそっくりにしたりとお好みの設定が選べるようにもなっています。
初期設定ではスタートからメニューを階層的に選んでアプリを起動するなど、WindowsのUIを踏襲しています。設定も一つのアプリにまとめられていて好印象。ウィンドウを上にスナップするとタイル配列のテンプレートが出たり、一番Windowsのコピーに熱心なディストリビューションです。
Windowsのアプリも使えると売りにしているWindows App Supportが標準で付属していますが要するに第7回でご紹介したWineです。ですが、Bottleという、アプリごとに隔離する新しい試みがされていて、各世代のWindowsアプリを分けて使えるところが新しい。日本語アプリを使う場合は日本語フォントをBottleごとにインストールしてやる必要がありなかなかすぐには動いてくれず、やり方を身につけるにはちょっとハードルが高いように思いますな。
Ubuntuがベースですのでインストール手順、端末からのコマンド入力やシステム階層など同じ構造になっています。
似ているだけあって、つい先日までWindows10がバリバリ動いていたPCならお勧めできます。今のところWindowsからの乗り換えでしたら最適という評価をされています。リサイクルショップ価格で2万円前後の中古PCで試したい所です。画面が綺麗なだけあって消費メモリは起動時で1.5GBと比較的重いですが4GBで十分使えます。システム容量は11GBぐらい。
・Ubuntu
ここまで教材になってくれた、多くのディストリビューションのベースになっているOSです。
ディストリビューションの母体として、常に最新の仕様を採用し続けるグループのトップリーダーの役割を担うLinux標準と言えましょう。アップデートとアップグレードスケジュールが明確に公開されていて信頼されているディストリビューションでもあります。
どのディストリビューションにもそれなりに派閥があり、ある程度のユーザーの囲い込みがありますが、Ubuntuはシェアが大きいため「Ubuntuでは使えない」アプリというのはまず存在しない点もいいですね。
メニューを見ればわかる通りWindowsやMacに似せる、という発想が全くなく、「そもそもパソコンとはこうあるべきでは」を先入観なくゼロから組み立てた独自性が魅力です。
UbuntuのベースになっているのはDebianというディストリビューションですが、そちらはさらにシンプルな構成で、あ、Ubuntuのお父さんだと見ればわかりますね。
ファイルはデスクトップに置けますが、アプリのショートカットは置けません。開発者は、「本来机の上とは散らかっていてはいけないのだ」という信念がありますから。
メニューは全部が画面いっぱいに出るところが一見して「なんだかスマホみたい」と思うかもしれませんがUbuntuはスマホが発明される前からずっとこうです。Windows8のタイルを思い出してイヤーな記憶が蘇る人もいるかもしれませんが、心配いりません。単にメニューがデカいだけでアプリがいちいちフルスクリーンで起動したりはしませんし、毎日の使用はランチャーだけで済むので、Windowsのアンダーバーだけで済むのと同じです。27インチから11インチノートまで画面の大きさを選びませんね。
Windows8~10ぐらいのパソコンで軽快に動きます。リサイクルショップ価格で1~2万円の中古PCで丁度いいぐらいでしょうか。
あとIntel Macに使うならこれ一択です。理由は英数、かなキーが使えるからです。
Ubuntu24.04まで1.4GBぐらいだった消費メモリは26.04で1.7GBまで増加し6GB以上推奨となりました。Windows10も11が公開されたころには8GBモデルが主流になってましたし、それぐらい新しいPCでお試しください。システム容量は16GBぐらいです。
・Kubuntu
Windows同様の階層式メニューを採用し、アンダーバーに全部の情報を並べたWindows10ライクなディストリビューションです。KDEというユーザーインターフェースを採用していて、Ubuntuと同程度に動きます。ライトグレーを基調としており半透明な効果があちこちで見られWindowsの操作系の中では現代的な部類です。綺麗で豪華だが重い、とされていましたが、最近はそのPCが元々動いていたWindows旧バージョンと変わりなく使えるようになっていて、Linuxにどこか付きまとう「貧乏臭さ」をほとんど感じさせませんね。
古いPCでも軽快に動くようにウィンドウズを開くアニメーションを切ったり、半透明をやめさせたりどんどん貧乏臭くする設定も可能です。インストールするときに登場する緑色の「なにか」はコンキ君というドラゴンのマスコットです。
同梱されている壁紙が異常に多く、しかも縦画面用の壁紙を唯一用意しています。メニューや情報バーが下段にまとめられているので縦画面で使うことも配慮されている珍しいOSと言えるでしょう。マウスを上下に往復させられるOSは縦画面で使うのがつらいですからね。
Windows7~8あたりを使っていたリサイクルショップで1万円以上の2コアPCやノートパソコンに向いています。
起動時の消費メモリは1.3GB、システム容量は9.5GB程度です。
・Xubuntu
XubuntuはKubuntuより少し古いPC向けなで、Xfceという軽量UIが使われています。Windows7あたりを使っていたパソコンには最適でしょう。このあたりからCore i3以下のCPUでも動くようになります。
多くがメニューバーを下にしてWindowsを意識したデザインになっている一方で、こちらはバーが上にありプルダウン式でアプリを起動するので、一瞬クラシックなMacを期待しちゃいますが表示されるメニューはWindowsとおんなじです。ちょっとがっかり。
ウィンドウが開くアニメーションとか無しでぱっぱと動きます。Windows2000とかXPとかあの世代の動き方ですね。このメニューバーは下にも移動できます。
あとネズミがマスコットなのでネズミアイコンがスタートボタンになっていたり壁紙にネズミがいたりしますからネズミが嫌いな人はご用心。
リサイクルショップ価格で1万円前後の中古PCがお薦めです。
起動時の消費メモリはわずか0.9GBで、2GB程度のPCでも動きます。システム容量は14GBと意外と消費量が多い。
正直、Windowsからの移行でしたらLinux Mint Xfceを使ったほうがいいかなと思いますね。
・Linux mint (二番目推し!)
mintシリーズは高スペック、中スペック、低スペック用にそれぞれ異なるバージョンを用意している珍しいディストリビューションです。
半透明メニューにウィンドウズバー、ウィンドゥに影、華麗なアニメーション表示などCore i3以上推奨な全部入りCinnamon、飾り気なくぱっぱとメニューが出る軽快なMate、ペンティアム4などの古いPCでの使用に特化した素朴なXfceのバージョンがあります。Ubuntuを抜いて現在のシェアNo.1という評価もありますね。
幅広い機種で使えることもあって日本でも人気のあるディストリビューションです。
「変わらず使える」ことが最大のテーマですのでいくらバージョンアップを重ねても全く変わってないように見える保守派ディストリビューションであります。
今見るとコントロールパネルの一つ一つを全部独立したアプリにしたようで、メニュー構成が非常に散らかっていて階層も深く、もう少し整理してほしいとは思いますけど、古参のディストリビューションなので愛用者が多いですね。メニューは自分で整理はできますが……。アイコンが他のLinuxとは違って四角くオリジナルなデザインなので他のLinuxに慣れた人には違和感がありますな。
セキュリティが非常に厳しく、システム領域の書き換えをなかなか許してくれなかったり、インストールできないアプリ(snap系)があったりと厳格な一面があり、私のように実験的に使いたい層にはつきあいにくいOSです。Mintしか使わない人には使いやすいが、他のディストリビューションも使う人には使いにくい、と言えますか。
あらゆるPCで三段階でお試しできます。デスクトップPCはCinnamon、テンキーが付いてるような大型ノートはMate、テンキーなしの小型ノートはXfce、なんて高性能機から低性能機までインターフェースを統一したいといった使い方が良さそうです。使い始める前に入力方式フレームワークで「日本語パッケージ」をインストールしないと日本語が入力できるようにならないのがちょっとだけ面倒。
最上位のMint Cinnamonでもメモリ消費は起動時1.3GB、Xfceは1.1GBととても軽量です。正直三つに分けないといけないほどの消費量かと疑問ですが。システム使用量は13GBぐらい。
・Lubuntu
非常に軽量、かつ軽快に動くディストリビューションであり、セレロンとかシングルコア、メモリも1~2GBしかないという、XP末期~Vista機でも動くことに特化したというディストリビューションです。
軽量、軽快と言われますが実際に動かしてみるとそんなに速いOSではなくXP機でも動く、というのはちょっと過大評価。XP当時のパソコンにはメモリ128MB、256MBなんてモデルがあって、バージョンアップしてサービスパック3の時は1GBは要求されていましたが、Vistaだって2GBは無いと遅かったですからね。今のPCがメモリでやっている仕事を、メモリが足りないからHDDでやっている、という感じで凄く頑張ってる感じが伝わってきます。
むしろVista世代のPCで現行のブラウザを動かせるということが凄い。マイクロソフトやアップルでもできないことをやっているんですから。
シングルコアでも事実上メモリは2Gは欲しいところですが、それで動くことに感謝です。高画質動画は苦手ですが、ワープロや表計算などの軽くて枯れた性能不問のアプリはサクサク使えます。
Windows2000だってもうちょっとマシかなというぐらい素朴、簡素かつ質素な画面で、ユーザーにアピールする気は全く無し。リサイクルショップ価格でWindows7~の数千円以上が一応の目安でしょうか。
あるいは一時流行したWindows10のファンレス、セレロンのeMMC32GBドライブのネットブックとかに使ってみたいところです。
ジャンクPC救済実験によく登場するディストリビューションで、「これが動けば他のディストリビューションもいけるかもしれない」という使い方をよくされていて、Linux最底辺の座をLinux Mint Xfecと争っています。インストール直後は日本語入力はできませんから、端末で sudo apt install fcitx-mozc と日本語入力メソッドをインストールして使いましょう。
事務所とか学校とかで、ネットに繋がってる必要は無くて、使ってないから誰もパスワードを知らない古いパソコンがあって、オフラインでいいからワープロと表計算だけでも使いたいなあという環境なら非常にお勧めできるのではと思いますね。(なぜそこまで限定する)
起動時の消費メモリは驚きの0.7GBです! システム容量はたったの8.5GB。
「なあ、Linuxって、もしかしてデスクトップのデザインが違うだけで、実はどれも同じってこと?」
「じゃあ聞くけど、WindowsとMac、iPhoneとアンドロイドで、なにか違うか?」
以上Ubuntuベースの派生ディストリビューションをご紹介しました。
デスクトップ画面がクソダサに見えたりすることもありますが(笑)、たいてい壁紙を張り替えるだけで印象ががらりと変わりますので「Macぽい」「Windowsぽい」オシャレ壁紙にまずは張り替えることをお勧めします。
ここでお伝えしたアプリケーションのインストール、端末でのコマンドは共通していてUbuntuと同様に使えますから、今はしまい込んでいるパソコンに合わせてご活用いただければと思います。
ご紹介したのは利用者が増えずに自然に消えていったり、大規模なハード改革の際に追従できず消えていったり、物凄く有名なのに使ってる人が全然いないディストリビューションが数限りなくある中で、いずれも現在までサポート、アップデートが続いてきた代表的なディストリビューションです。これからも長く使うことができると思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。 一度連載は終了です。
私も今回の投稿で、バラバラにメモしていた自作Linuxマニュアルを整理できて良かったです。
私には珍しいのですが「完結」にはせず、一応連載は続行のままにして、またネタができたら追加していこうかと思います。ご要望、ご感想、取り上げてもらいたいネタなど、お待ちしています!
Ubuntuが26.04LTSにバージョンアップされましたが、セキュリティ大幅強化のため使用できないソフトウェアが発生しており、現在非常に不安定です。
インストールできるアプリの自由度から現在は一番はZorinOS、二番はLinux Mintをお勧めしたいですね。
大事なことを忘れていたので追加エピソードを載せました。
「Linuxで小説家になろうに投稿できる!」までやらないと終わらせられませんよね。
次回追加エピソード「なろう作家のためのワープロ設定」




