表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われし戦乙女の冒険譚  作者: ふたばみつき
異世界転生編
8/21

8.青空の下

 見上げればそこには突き抜ける様な青い空があった。


 落ちてきそうな空と言う言葉があるけど、俺に取ってはこの空は全くの逆の言葉を彷彿とさせる。


 この空こそ自由の証だ、希望の証だ……


 どこまでも突き抜けるように青く、どこまでも広がり、どこまでも伸びていく。


 この空をたどれば、俺はどこまでも、どこにでも行ける。

 もう二度と見ることが出来なかったかもしれなかった青い青い空。


 もう、諦めかけていた青い空。

 知らず知らずの内に涙が頬を伝う。


 傍らに立っていた老人が呟く。


「そうか、気丈に振る舞ってはいても、君はまだ少年だったな」


「すいません、つい……」


「構わないさ。アレだけの仕打ちを受けたんだ。そして、それを自らの手で打ち破ったのだ、君は幾らでも涙する権利がある、資格がある」


「はい、すいません。ありがとうございます……」


 老人に諭されると、それが切っ掛けになってか、せきを切ったかのように涙が次から次へと流れて行く。


 つらかった、本当につらかった。

 嫌だった。何度、あの男を殺してやろうと思ったか、何度死にたいと思ったか。


 何度、何度……

 それでも……


 それでも、この瞬間を味わえたことは、生きてこの空の下に出ることが出来たことは……


「嬉しい…… 生きてて、生きててよかった……」


「ああ、よくぞ生き抜いた。よくぞ生きることを諦めず戦った。きっと、君の人生これから沢山の幸福が待っている、きっと君の歩む道は希望に満ちている……」


 老人の言葉に耳を傾け、私はただただ頷く。


 彼の言葉がただの慰めの言葉だとしても。

 根拠の無い言葉だったとしても。


 それでも、彼と言う人の真っ当な優しさが痛い程の心に染みる。


 それが止まらない涙に拍車をかける。


「ありがとうございます。ありがとうございます……」


「いい、今はいい。今は思う存分泣くんがいい。全てはその後にしよう……」


「はい…… はい……」


 突き抜けるような青空の下。私はただただ涙した。


 その涙が枯れるまで……


 そして、彼はそんな私を、ただただ無言で見守っていてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ