表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われし戦乙女の冒険譚  作者: ふたばみつき
異世界転生編
7/21

7.異世界へ

 馬の蹄が地面を鳴らし、荷台の車輪がカラカラと転がる音が聞こえる。


 それと同じくして荷台が小刻みに揺れる。


 乗り心地は良くはない。ちょっとしたアトラクション気分だ。


 馬車の外からは街の喧騒が感じられるが、見ることは叶わない。

 この荷台の中を見られようものなら大騒ぎになることは確実だ。


 なんせ人が死んでる。

 しかも、めっちゃっ沢山。


 まさに地獄絵図。まだ死に立てホヤホヤだから臭いとかそう言うのはないけど、心根しか生臭いような魚臭い様な感じはする。


 よし……


「さて、それじゃあ、持ち物を改めさせて貰いますか……」


 俺は無造作に転がった遺体達の服を剥ぎ、持ち物を剥ぐ。

 その中に何とか俺のサイズが合いそうな服があったので、それを着てみる。


「くさい……」


 やはりと言うかなんと言うか、血の臭いがする。しかも、ブカブカだ……


 でも、これで奴隷には見えないだろう。

 俺は再び、遺体達の持ち物を改める。


 恐らく、貨幣であろうもの。これは一つの袋にまとめておこう。絶対使う……


 そして、彼等が待っていた武器。

 短刀と剣が数本。


 うーん、もしやこれはナイフとショートソードと言う物なのかしら……


 見た感じ、ザ・初期装備、ザ・無課金。

 そう言えば、服装も無課金みたいな服だしなコイツら……


 ふん、あんなしょうもない男の部下をやってるぐらいだ、しょうもない奴等だったんだろう。死んで当然だな……


 そう考えると、このお金もどれだけの価値があるのやら。


 そんなおり、馬車が小刻みに激しく揺れ始めた。

 どうやら、舗装された道から外れたみたいだ、もしかして街を出ることが出来たのか?


 耳をすませると街の喧騒が遠退いて行くのがわかる。

 どうやら、上手く街を出れたみたいだ……


 少し外を覗いてみるか?


 そう思い、こっそり馬車の中から外を覗いて見ると、幌の切れ間から外の景色を覗くことができた。


 高い城壁がそびえ立っている。

 大きな門にその奥から見える街並み。


 あの城壁の素材はレンガだろうか。それとも石だろうか……


 しかし、やはりと言うか、なんというか、ここは俺のいた世界ではないんだな……


 わかってはいたけど……

 いざ、形になってその証拠の様な物が目の前に現れると少し驚きはする。

 

 いや、もしかしたら、イギリスとかヨーロッパの可能性も……

 いや、やっぱり剣とか普通は持ってないだろうから異世界か……

 

 まあ、奴隷とか、女になる薬とかが存在する辺りでわかってはいたけど、ここに来てやっと実感が沸いて来たな……


 この世界に来てから、あの暗い部屋以外を見たことなかったから、ただ誘拐されただけって可能性も、とは考えてたりはしてたんだけど……


 その可能性は完全に消えたな……


 まあ、この身体が女になってしまった事こそ、ここが異世界であるなによりの証拠ではあるけどな……


 もしあるとすれば、今までの事が全部夢だった、と言うオチか……


 そんなことを考えていると、不意に馬車が止まった。


「そろそろ良いぞ。外に出てひと休みしよう」


 老人の声が外から聞こえて来る。

 

 よかった。何分揺られていたか知らないけど、そろそろ意味の無い自問自答にも手詰まりになっていた所だ。

 

 もう、この世界が俺のいた世界ではなく、異世界である事は間違いないし。俺が私になってしまったことも間違いない事実だ。


 もうそれを受け入れなければならない。

 受け入れて生きていかねばら無い。


 元の世界に、元の姿に戻れる方法があるのか、それもわからないが、それらの何もかもを受け入れて生きて行くしかないんだ……


 俺は足を踏み出し、馬車の外に向かって歩き出した。


 馬車の外の世界。

 新たなる世界、異世界に向かって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ