4.空色の瞳の老人
今日も口の中に残った物を吐き出す。
「オ゛エェエッ……」
生臭いニオイが自分の口からするのがわかる。
気色が悪い……
死ぬほど気分が悪い……
「ペッ! ペッ!!」
だけど、前程悪くはない。
反撃のチャンスがあると思っただけで、生きる気力が湧いて来た。
必ず、あのクズ共を殺してやる。
見ると、老人がコチラを苦い顔で見詰めていた。
憐れ目、と言う感じではない。
もう少し踏ん張れと鼓舞しているのだろうか、苦し気な表情でこちらを真っ直ぐと見つめている。
まるで自分も苦しんでいるかの様な表情だ……
じいさんには関係無いだろう、と思ったが、ここ数日、老人を観察してみたわかったことがある。
この老人は只者ではない。
先ず、異常に忍耐強い。
ここにいる奴隷達は皆、小さい檻の中で身の置き場も無いと言った様子でウズウズと芋虫の様に蠢いているが、彼は微塵も動かずただじっとしている。
時折、身体の歪みを強制する為か伸びをする。
その時に身体中からバキバキと凄まじい音がする。
しかも、その仕草が非常にこなれた雰囲気を醸し出している。
何と無くだが、他の奴隷達とは違った雰囲気を感じる。
彼は一体何者なのだろうか……
そして、彼を信じていいのだろうか……
まあいい、それは直ぐにわかる話だ。
なんさ、明日、俺達は売られるんだから。




