28.新たな町ティレル
山を降りてから一週間、新たな町まで旅をしながら剣の鍛錬を繰り返す日々を送り。
やっと、新たな町にたどり着いた。
「ヨゾラ殿も様になって来ましたな」
「そうですか?」
馬に乗ったグレイスさんが話し掛けて来た。
俺も馬に乗ったまま話に耳を傾ける。
流石にもう何日も馬で移動してる。
それに、剣の鍛錬もしている。
ここまでやればいくら異世界と言えども、そこら辺の女の子とは鍛え方が違うと言えるだろう。
言えるのかな?
どうしよう、もし異世界の女性がアマゾネスだらけだったら……
「やっと着きましたな、ここがグランディールの最南端、果ての町ティレルです」
グレイスさんが満面の笑みをこちらに向けると馬から飛び降りた。
私もそれに習って馬から降りる。
そして、スタッとカッコ良く着地する。
うん、多分カッコいい……
「うむ、やはり様になって来ましたな」
「えっへん!」
私は、照れながらも馬の手綱を引いて町へと向かい歩きだす。
すると……
「ヨゾラ殿、これを……」
見ると、彼の手にはひと振りの剣が握られたいた。
これは、あの奴隷商の男達が持っていた剣の内の一本だ……
「え?」
「本当は剣を一本仕立ててあげたかったのですが、現状ではこれが限度です」
そう言うと、彼は剣をこちらに寄越してみせた。
私はそれを黙って受け取る。
ズシリとした重量を感じる。
これだけ重たければ、振り下ろしただけで相手に傷を与えることが出来るだろう。
それを技術を持って振り下ろせば……
その瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われた……
恐らく、この重量はそう言った重みもあるのだろう。
「ヨゾラ殿。剣を持ったからと言って間違っても戦ってはなりませんよ。貴女の技量は最低限の域です。剣を抜く時は時間稼ぎ、或いは逃げる為の手段として使いなさい。わかりましたね?」
「はい!」
私は剣をロープの中へとしまうと腰に取り付けた。
グレイスさんは剣を一般の人に抜いてはいけないとは言わなかった。
きっと、私がそんな無頼漢の様な事はしないと信じてくれているのだろう。
それがなんだか堪らなく嬉しい……
信用されていると言うのがわかる……
これは彼からの信頼の証でもあるんだ。
「さあ、行きましょう、ヨゾラ殿」
彼の言葉に私は力強く頷いて、新たな町に足を踏み入れた。




