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呪われし戦乙女の冒険譚  作者: ふたばみつき
異世界逃亡編
25/30

25.生きる為の足跡

 次の日、俺は不意に思い付いた。

 まさに逆転の発送と言う奴である。


 これに気付いた私は天才だ!!

 きっと、私の呪いを解く方法それは……


「逆にカエルにキスをするってのはどうですか☆」


 馬に揺られた状態でグレイスさんがコチラを振り向いた。

 その顔には無表情が張り付いている。


 なんにもない「無」がそこにはあった……

 グレイスさんとのコミュニケーション史上、一番の塩対応を御見舞いされた。


「どうしましたヨゾラ殿、今日はもう休みますかな?」


 こちらを見る「無」が淡々と口にした。

 明らかに少し引いてる。


「いや、そんな顔しないで下さい。結構、真剣に考えたんですよ、私……」


 て言うか、普通に私とか言ってたし。

 ちゃんと精神が身体に引っ張られてる。


 なにこれ怖い……


「まあ、否定はしませんがカエルで効果が無かった場合、次はどうするんですかな?」


 グレイスさんが馬の速度を少し落とし、俺の近くへとやって来ながら口にした。


「次はアヒルとチューします」


「それを続けて、この世界にいる全ての魔獣、魔物と動物、獣とキスをして行くのですか? 命も寿命、そのどちらもがいくらあっても足りませんぞ」


 まあ、それはそうだけどさぁ……

 良い考えだと思ったんだけどなぁ……


 逆転の発想的な意味で……


「まあ、今のところ実害はないのです。天命に身を任せてみるのがよろしいかと……」


「ええ、そんなぁ……」


 なんか呪われてるって響き、嫌なんだよね……

 確かに実害はないけど、気分としては最悪なんだよね……


 この身体は散々、弄ばれたし、汚れてるし……


 でも、まあ。そう上手くは行くわけもないか……

 

「はぁ……」


 思わず項垂れてしまう……



 強い日差しがコチラを焼く。

 

 後どれだけ馬を歩かせれば良いのだろうか。

 それでも今の取り纏めもなく、下らない会話をしている間に幾分かは進んだ。


 ほんの少しずつだけど、着実に進んでいる。


 振り向けば、今までで歩んで来た道が見える。


 山の頂上はいつのまにかに通り過ぎ、登山はいつの間にかに下山へと移行していた。

 

 物語の中の様な景色が通り過ぎ、また新たに物語の様な景色が姿を表す。


「ヨゾラ殿、見てください。ここから先が吾が輩の祖国グランディール領でございますよ」


 そんな言葉と共にグレイスさんがコチラを振り向あた。


 その背後には広大な荒野が広がっていた……

 か、か……


「か、代わり映えしませんね……」


「……ま、まあこんなものですよ」


「こんなものですか……」


 私の言葉を聞いたグレイスさんが満面の苦笑いを浮かべた。


 なんの取り纏めも無い言葉のやり取り。

 

 それが今の私には堪らなく心地よかった。


 傷ついた心と身体が少しずつ癒えて行く様な……

 凍った魂と精神が少しずつ溶けて行く様な……

 

 そんな感覚が今の私には心地よかった。

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