25.生きる為の足跡
次の日、俺は不意に思い付いた。
まさに逆転の発送と言う奴である。
これに気付いた私は天才だ!!
きっと、私の呪いを解く方法それは……
「逆にカエルにキスをするってのはどうですか☆」
馬に揺られた状態でグレイスさんがコチラを振り向いた。
その顔には無表情が張り付いている。
なんにもない「無」がそこにはあった……
グレイスさんとのコミュニケーション史上、一番の塩対応を御見舞いされた。
「どうしましたヨゾラ殿、今日はもう休みますかな?」
こちらを見る「無」が淡々と口にした。
明らかに少し引いてる。
「いや、そんな顔しないで下さい。結構、真剣に考えたんですよ、私……」
て言うか、普通に私とか言ってたし。
ちゃんと精神が身体に引っ張られてる。
なにこれ怖い……
「まあ、否定はしませんがカエルで効果が無かった場合、次はどうするんですかな?」
グレイスさんが馬の速度を少し落とし、俺の近くへとやって来ながら口にした。
「次はアヒルとチューします」
「それを続けて、この世界にいる全ての魔獣、魔物と動物、獣とキスをして行くのですか? 命も寿命、そのどちらもがいくらあっても足りませんぞ」
まあ、それはそうだけどさぁ……
良い考えだと思ったんだけどなぁ……
逆転の発想的な意味で……
「まあ、今のところ実害はないのです。天命に身を任せてみるのがよろしいかと……」
「ええ、そんなぁ……」
なんか呪われてるって響き、嫌なんだよね……
確かに実害はないけど、気分としては最悪なんだよね……
この身体は散々、弄ばれたし、汚れてるし……
でも、まあ。そう上手くは行くわけもないか……
「はぁ……」
思わず項垂れてしまう……
強い日差しがコチラを焼く。
後どれだけ馬を歩かせれば良いのだろうか。
それでも今の取り纏めもなく、下らない会話をしている間に幾分かは進んだ。
ほんの少しずつだけど、着実に進んでいる。
振り向けば、今までで歩んで来た道が見える。
山の頂上はいつのまにかに通り過ぎ、登山はいつの間にかに下山へと移行していた。
物語の中の様な景色が通り過ぎ、また新たに物語の様な景色が姿を表す。
「ヨゾラ殿、見てください。ここから先が吾が輩の祖国グランディール領でございますよ」
そんな言葉と共にグレイスさんがコチラを振り向あた。
その背後には広大な荒野が広がっていた……
か、か……
「か、代わり映えしませんね……」
「……ま、まあこんなものですよ」
「こんなものですか……」
私の言葉を聞いたグレイスさんが満面の苦笑いを浮かべた。
なんの取り纏めも無い言葉のやり取り。
それが今の私には堪らなく心地よかった。
傷ついた心と身体が少しずつ癒えて行く様な……
凍った魂と精神が少しずつ溶けて行く様な……
そんな感覚が今の私には心地よかった。




