21.風来の旅人
朝になれば直ぐに出立の準備が始まる。
正直、俺は朝が弱々なので、ほとんどの準備はグレイスさんがやってくれてる。
こんなんで私はこの異世界で生きていけるのだろうか?
孫の顔とか見れるのだろうか?
我ながら、ヌケサク過ぎて呆れちゃう。
て言うか……
「あの…… 私って男には戻れるんですか?」
「うむ、ほぼ戻れんだろう……」
旅の準備をしているグレイスさんが当たり前のように吐き捨てた。
「う、うそぉん……」
「それは呪いだ。基本、呪いはかけっぱなしが基本だからな、そうそう簡単には解けん」
そうなの?
王子様のキスとかで戻らない?
まあ、この女の子の姿から戻ると言うことは、男の子の姿になる訳だから……
男同士で熱いヴェーゼを交わす必要が有る訳だすが……
それが有かと問われれば……
無しだな……
「あと、王子様のキスとかでも治らんぞ、たぶん……」
「ええっ!? な、なんでですかぁ!?」
て言うか、なんで私の考えてたことがわかったし!?
テレパシーの使い手ですか!?
「御主の呪いは性奴隷としての商品価値を高める為に掛けられた物だろう。キスの一つで呪いが解けていたら商品にならんだろ……」
た、たしかに……
なに、その最悪な理由……
終わってるんですけど……
唖然としている私に向かってグレイスさんが申し訳程度と言った様子で口を開いた。
「まあ、何も悪いことばかりではない。既に呪いが身体の中にある状態ゆえに他の呪いにはかからないハズだ……」
「ふえ!?」
それは、なんかちょっと強そうじゃん!! 特殊能力っぽいじゃん!!
やっと、異世界での旅って感じがして来たじゃん!!
「まあ、呪いなんぞ、昨今ほとほとお目にかからないがな……」
ずごー!!
思わずズッコケてしまう。
じゃあ、ほぼ死にスキルじゃん!!
つ、使えねー!!
う、うそぉ!? 私のスキル使えなさすぎじゃない!?
魔術だか、魔法だかも使えない。
その上、呪われてる。
これどういうことよ!!
ねぇ!! どういうことなの!?
どう言うことなのよ!?
「まあ、我輩の祖国に着いたら色々と調べてみよう、我輩も出来る限り強力はするぞ」
そう言うと、グレイスさんは荷物を袋にまとめ。それを背負ってみせた。
そして、もう一つの袋をこちらに渡す。
どうやら、これが私の荷物のらしい……
「あぁ、す、すいません。何から何までありがとうございますぅ……」
私は荷物を受け取るとそれを背負った。
「さて、それではヨゾラ殿、準備は良いですか?」
「はい、もちろん大丈夫です、行きましょう!」
この時、私は知るよしもなかった、全然準備不足だったことを……
そして、山越えがどれだけ過酷であるかを……




