20.暖かな食事
気も、腰も抜けてしまった私はグレイスさんに支えられながら部屋へと運ばれた。
そして、ひと息つく頃に店主が食事を運んで来てくれた。
おでましになったのは、吹かしたジャガイモにパンだ。
それにバターと牛乳をそえている。
質素と言うかなんと言うか……
炭水化物on炭水化物……
しかも、両者ともパサパサを極めし者……
コイツはたまんねぇぜ……
とは言うものの、食ってみればどうせ美味しい……
「もぐもぐ……」
やっぱり、ジャガバタは旨い。
パンと牛乳はお互いの素朴な甘味が引き立て合って旨味を出してくれてる。
それに椅子とか机に座ってゆったり出来るのも凄いラク……
普通に感動する……
ていうか、普通に号泣しちゃう……
「ひぐっ…… えぐっ…… ひんっ」
うぅ、わ、私、生きてる……
生きてるよぉぉ……
「ああ、今まで生きた心地がしなかったであろう。ゆっくり食べてるといい。ここに君を傷つける者はいないのだから……」
グレイスさんが俺の号泣フードファイトを目の当たりにしてドン引きしている。
そりゃ、ドン引きもしますよね……
でも、こちとら泣きもしますよ。やっと、一つ屋根の下で文化的で最低限度の食事を取ることが出来たんだから……
ほかほかのジャガイモがお腹に入る度に身体が暖まって行く。
それに連れて徐々に生きる力が沸いてくる。
ああ、そうだ、こんちくしょう。
生きるってこう言う事だろう!!
雨風凌げる場所で暖かい物を食べる!!
あんな鉄格子の中じゃなくて、野晒しで夜風に当たりながらじゃなくてッ!!
こう言うのが生きるってことだろうがよ!!
こんにゃろー!!
生きる、生きてやるぞ!
あんな最悪な奴の慰み物になっただけで俺の人生を終わらせてたまるか!!
こうなったら、ヤルことやってやる。
絶対に生きて、生きて、生き続けて、人生を謳歌してやる。楽しんでやる!!
素晴らしい人生にしてやる。
八十歳くらいのジジィだか、ババァだかになって可愛いらしい孫に囲まれて死んでやる!!
まだ見ぬ孫に「おばあちゃん、大好きぃ~♡」って言って貰うんだ!!
そんで「我が生涯に一片の悔い無し!!」って叫んで堂々と死んでやる!!
勢いよくパンと牛乳を口に詰め込み、ジャガイモにバターをぬっとりと着けてかじりつく。
「うん!! おいしい!!」
おいしいぞ、この野郎ッ!!
この野郎、私は絶対にやってやるぞッ!!
覚悟しろよ、この異世界め!!
俺はこの世界を謳歌してやるからな、覚悟してろよ!!
俺は、そんな決意を胸にジャガイモを平らげたのだった……




