15.初めてのアルバ・後編
やはりここは紛うことなき田舎でござった。
街につくなり、近くで畑作業をしていた老人が近付いてきた。
旅人が物珍しいのだろう、いそいそとこちらにやって来る。
その様子を見て、グレイスさんが俺にボロ切れをおっかぶせる。
なるほど、俺の髪の毛を隠したいのね……
そんなに、この髪色は珍しいのか……
「あんだ、おめえさんら。役人さんか何かか?」
近付いてきた老人を他所に、俺はボロ切れを頭にくるくると巻く。
取り敢えず、これで覗き込まれても髪の色はわからないだろう。
その間、グレイスさんは一言二言ほど老人とやり取りをしている。
宿はどこにあるかだの、仕立て屋はあるかだの、馬車を売りたいだのと……
「え!? 馬車売っちゃうのッ!?」
「おや、そっちのこは娘さんかね?」
「あ、そうなんです」
ヤベ、変に注意を引いちやった。
取り敢えず、愛想だけは振り撒いとこ。
「どうも~」
何となく、手をヒラヒラと振って見せる。
そして、笑顔を忘れずな……
「ああ、どうもぉ」
老人も取り敢えずと言ったら様子で手を振ってくれた。
でも、明らかに俺達の服装を見て眉を潜めている。
そらそうだ、服はボロボロだし、所々刺し傷みたいなのあるし、血もついてるし。
俺の服はブカブカだし……
怪しさ爆発100点満点マウンテンゴリラである。
俺だったら怪しむ。
先ず、血が着いてる時点で怪しむ。
だって怪しいもん。
お巡りさんに通報する。
「実は我輩達は付近の森で魔物に教われ、命からがらここまでやって来たんです」
グレイスさんがいきなり有りもしないこと言い始めた。
おお、嘘の物語が始まったぞ。
きっと、これに俺が合わせれば良いのだろう。
まあ、よくわからんから。悲しそうな顔をしながら頷いてるだけにしとこ!!
「もう食糧も底を尽き、私達の命運もここで終わりかと思った矢先、この町が目に入ったんです」
「おお、それは災難だったなぁ。こんな片田舎だがそこら辺で野田れ死ぬよりはマシだろう。よって行きな」
そう言うと老人はある一方を指差した。
その先には小さな小屋があった。
「あそこに仕立て屋がある。今の服よりはマシな物がある」
小屋じゃなかった、店だった。
そして、次は反対側を指差してみせた。
「あっちにカールって奴がいるんだが、牛車を欲しがってたから買ってくれるんかもしれんぞ。まあ、ケチだから値段の方は保証出来ねぇがな」
「ああ、ありがとうごさいます。あと宿はありますか。我輩達は是非とも身体を休めたいのです」
グレイスさんがそう言うと老人は少し大きめの建物がある方向を指で指し教えてくれた。
恐らく、それが宿屋なのだろう……
「なんにもねえ宿だけんど休めはする、一息してけえ」
「ああ、これはかたじけない。御言葉に甘えさせて貰います」
そう言うと、俺達は宿に向かって馬車を歩かせた。




