12.剣術・前編
晴れ渡る青空の下、今日はグレイスさんに剣術を教えて貰うことになった。
「先ずは素振りからです」
「はい!」
馬車を止め、馬車道の端で木の棒を片手に剣術指導が始まる。
異世界青空剣術教室である。
「まずは剣を高く振り上げ振り下ろす。やってみて下さい」
俺は言われた通り剣を振る。
ホワァン! と情けない音が鳴る。
「よし良いですよ!!」
おっ! こんなんでええのか?
続いて、グレイスさんが声を張り上げる。
「全然駄目で良いですぞ!! 鍛え甲斐があります!!」
駄目なのかよ!!
最初に「良い」って言ったから隠された才能でも都合よく爆発したのかと思ったよ。
「先ず、背筋が丸まって腰もへっぴり腰です。肩も内巻きになってます。先ずはそこを直しましょう!」
そう言うと彼は俺の背後に回ると肩と腰を押さえてグイッと私の身体を思いっきり反らして見せた。
「お゛ごっ!!」
思わず汚い声が漏れてしまう。
こ、この姿勢、かなりキツイ。背中がツリそう。
「さて、これでもう一度やってみて下さい」
言われた通りに素振りをする。
正直、何処が良くなったのかさっぱり。
私、才能無いかも~
「ふむ、まあこんなところでしょう。取り敢えず、その姿勢を心得て下さい」
そして、次にとグレイスが棒を振り上げる。
「次は足運びです、素振りと共に覚えて下さい。先ずは……」
そう言うと、彼は棒を高く掲げ構える。
ピタリと止まった棒に、真っ直ぐと伸びた背筋。
その僅かな仕草だけで彼がそれなりの使い手だわからせられる。
「足を踏み出すと共に剣を振り挙げ。踏み出した足が地面に触れると同時に剣を振り下ろし、目一杯足を踏み込む」
彼の握った棒が風を切りながら振り下ろされる。
ゆったりとした動作ながらも、力を込める所には強く力が込められたメリハリのある動きだ。
「次は反対の足で一本下がると同時に剣を構える直します。この時、身体を閉じる様な感覚でいてください。身体を引き絞り、そこから先程の様に剣を振り下ろしてください」
そう言うと、彼は再び剣を振り下ろした。
強く風を気る音が耳に届く。
しかし、その芯は一切ブレず、その挙動の端から端までが完全に制御されている。
一目見て、それが熟練された動きであることがわかる。
美しくも洗練されたしなやかな動き。それでいてメリハリのある力強さ……
「では、やってみて下さい」
「はい!」
俺も彼に習って棒を振るう。
上手く行ってるのかもわからないが、取り敢えず一生懸命やる。
姿勢を正しく、一本踏み出した振り下ろす。そして、一本引いて振り下ろす。
そして、身体を引き絞る。
「ふん! ふーん! ふん!」
「はい、ではそれを100回2セット!」
おげぇぇッ!! げげげげのげぇ~!!!
いきなりハードォォ!!!




