1.死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッ!!
鈍い身体の痛みと共に今日も目が覚めた。
私は横になったまま自分の手に繋がれた鎖を眺め、項垂れる。
ああ、何度これを繰り返した事か……
これが夢であったなら、夢であってくれたなら……
「ヨルちゃ~ん、ご飯ですよ~」
「ひっ!」
その声を聞いて思わず身体が硬直する。
まるで自分の身体でないように……
まるで身体が石になってしまったかのように……
「さあ、ご飯だよ~ ヨルちゃ~ん」
鉄格子の向こうから、上機嫌な様子の男がこちらを眺めている。
その視線に思わず寒気と恐怖を覚える。
そして、固まっていた身体は何かを思い出したかの様に震え出す。
背筋もまともに伸ばせない程に狭い鉄格子の中、私は男から逃れるためになるだけ距離を取る。
「ヨルちゃん、おいでぇ。怖くないから、出ないと、ご飯あげないよぉ~」
男は鉄格子の間からスプーンを伸ばして私を招く。
シチューのいい香りがする。
だけど、それと同時に男の獣臭いニオイが鼻をついた。
この身体になってから嗅覚が鋭くなった気がする。
とくに男の臭いには……
「ほらほら、ちゃんと食べないと死んじゃうよこっちにおいで~」
鉄格子の向こうの顔が薄気味悪い笑みを浮かべる。
「うぅ……」
確かにこの男の言う通りだ、いくら嫌だと言っても食べなければ死んでしまう。
それに、これ以上男の機嫌を損ねるとどうなるかわからない。
恐る恐る、男に近づき、その手に握るスプーンに手を伸ばす。
私の手が近づく。
すると、男はスプーンを引っ込めた。
「ふひひ、へへ。俺が食べさせてやるよヨルちゃん。そのまま、口をこっちに……」
嫌だ嫌だ嫌だ。
こんな奴大ッ嫌いだ。
死んでしまえ死んでしまえ。
「ひひ、良い子だねヨルちゃん」
そのまま、男はシチューを私の口に入れる。
再び口に入れる。
シチューがなくなったら。
口に入れる。
「オ゛ォ゛ッ!!」
「ああ、良い子だねヨルちゃん、いいよ」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
お前なんて、死ね死ね死ね死ねッ!!
「いいか、ヨル。妙な真似をしたら、お前が自ら死にたくなる様な姿にしてやるからな。覚悟しろよ」
「オ゛ッッ!!」
クソクソクソクソクソ!!
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!
お前なんて死ね死ね死ね死ねッ!!
死んでしまえッッ!!




