表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/151

人間のようではない人間

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 一晩寝て落ち着いた。長い戦いだからな。寝ないと死んでしまう。今は、何処まで攻略しているんだろうか。俺は特に指示を出していないんだよな。


「メルカバ、おはよう。今は何層目だ?」


『ああ、漸く起きたんだ。今は637層目を攻略中。600層目でちょっとした防衛陣地が組まれていたけど、普通に突破したかな。フレイムジャイアントで押し潰してしまったよ。その前にツンドラバッタで主力は倒せてしまったし。そこまで問題になってないかな』


「そうか。防衛陣地を組まれたのもこれで何回目だろうな。無駄にダンジョンポイントを使ってくれるのは助かるな。それで? 防衛の方はどうなっている?」


『それは儂から話そうかの。防衛は5層まで下がっておる。向こうもツンドラバッタで攻略を始めたからの。それをスノードラゴンが凍らせて殺している所じゃ。対処の仕方は見せてしまっても良いのであろう? 防衛には成功しておるよ。心配せんでも十分にやれとる。5層にもツンドラバッタの群れがいるからの。凍らせて食べさせて終わりだの。残りはスライムが食べておる』


 ツンドラバッタは共食いをする雑食なんだ。昆虫だしな。そういう事もある。だから育てやすいんだけどな。増える速度が尋常ではない。1度に数百の卵を産むのだ。それを月に1回行うのだから本当によく増える。5層目に居るのはメイプルシロップの採取の時におやつにしてもらうためなんだ。そんな感じで放し飼いにしてあるんだよ。……スノードラゴンの機嫌で全滅になる事もあるんだけどな。その辺は運が絡むから。繁殖を考えるだけでも結構大変なんだからな?


 しかし、向こうもツンドラバッタの群れを使ってくるようになったのは、昨日の夜の遅くだった。もっと早くに真似をされていれば、こっちも苦戦はしたんだろうが、防衛方法までは真似できないだろう。まずは場所が特殊だしな。こんな大部屋を用意しておかないといけないんだし。ダンジョンポイントを使って緊急に作ろうと思えば作れるんだろうが、人間が攻略出来なければいけないという関係上、作成難易度はそこそこ高かったりする。限界ギリギリを攻めているからな。


 人間に攻略させる気はない。俺でも苦戦するというか、無理だと言いたい。抜け道は無くはないが、それも潰してしまえるからな。万が一の為に抜け道は作っておいてあるんだが。メルカバが敵に回ることは避けないといけない。だが、万万が一にもなった時に、俺が攻略できるようにしておかないといけないからな。……出来るとは思うぞ。時間さえかければな。まずは仲間から集めないといけないとは思うが。


「しかし、余裕だな。何も策は無いのか? こっちとしては警戒しているつもりなんだが……。無策で放置してくれるほど優しい相手なのか? それとも、今までにこんな経験は味わっていないのだろうか……」


『味わっている訳ないでしょ。こんな攻略方法を知っている訳ないでしょ。常識から外れているからね? 普通のダンジョンコアはこんなことをして来ないと思うし。普通に戦力で力押しが普通だと思うけど? こんな事、普通は思い付かないんだからさ』


「そうでもないだろう。出来ることを出来る様にするだけだ。何も怖くはない筈なんだがな」


 出来る事なんだから思い付けば誰でも出来る。対策も出来る。絶対に攻略できる方法というのはあるんだよ。どんなに工夫をしても、完璧に仕上げたとしても、壊れる時は壊れるし、決まる時は決まる。難しい事を考える必要はない。今回の作戦は至ってシンプル。物量作戦、数のごり押しなのだ。ごり押しが通用しないダンジョンを作れば良いだけだったんだよ。初見殺しでも何でもない。その対策をしていなかった向こう側が悪いのだ。数こそが力なんだから。圧倒的な質よりも、圧倒的な量の方がダンジョンにとっては怖い。そういう判断なんだよ。だから魔物を集めて一気に攻略という事は出来る筈なんだよな。メルカバにしても、そうやられると攻略出来てしまうんだよ。これを防ぐには、俺たちが5層でやっているような地形を利用した妨害が一番いい。範囲ブレスでなんとかする方が良いんだよ。なお、マジックワンダーも戦闘には参加している。流石にブレスだけでは突破されかねないからな。


 目には目を。歯には歯を。対策には対策を。しっかりと準備してきたんだ。こう言った事もあるはずだと思って準備をしてきたんだ。ダンジョンコアが、俺のような転生者であるという事も考えていた。そうではなかったみたいだけどな。柔軟的に動いてくれば、今回の対策も思い付くだろうからな。今回の相手は転生者ではないはず。ダンジョンを迷宮化させてない辺り、普通のダンジョンコアなんだろうなって思っているんだよ。


『防衛も大分楽になって来たわい。向こうが散発的なのが助かっておる。本気で来られた場合は抜け出ていくやつが居るだろうからの。今の所は5層を突破できておらんよ』


「その程度は突破して欲しいんだがな……。数で押せばそこまで難しい事ではないんだがな。それよりもツンドラバッタ以外はどうしている?」


『それは2層で止めてある。まだまだ龍王も酒呑童子も現役よの。負けるような戦力は送られてきておらん。ツンドラバッタは流石に倒せんが』


「そうか。その2体で止められるのであれば所詮はその程度か。進化を目的とした俺たちに取ってはそこまで苦労する相手ではないという事か」


『普通は進化をさせるにしても、ダンジョン内で完結させる必要があるからの。外に戦闘狂どもを放してはおけんのじゃ。人間との共存もあるだろうからの。その辺りはこのダンジョンコアが恵まれている証拠だの』


 ああ、確かにな。出せる魔物に制限があるというかは、勝たせたい相手を勝たせる方が難しいのか。ダンジョン内の魔物の管理は難しいだろうからな。普通に進化をさせるのって面倒ではあるんだよ。どうしても経験値が必要だし、経験値が貯まった魔物が負けることもある。弱い敵ではそもそも経験値は得られないし、難しい所なんだ。それをメルカバたちはなんとかしているんだが。


『普通は出来ないんだよ? でも、何処かの誰かがダンジョンコアよりもダンジョンを知り尽くしているからこうなっただけなんだよね。普通はこんな速度で進化しないらしいよ? デカントがそう言ってたし』


『あり得ん速度で進化をしているのは確かじゃの。慎重に育てていくのが普通の事じゃ。そんな生き残りを進化させればいいだろうというノリと勢いでやられる方が問題じゃ。どうして成功しているのかがよく解らんわい』


「不思議なことは無いとは思うがな。経験値を大量に稼げば進化する。それが普通の事だと思っているんだが、違うのか?」


『違わん。違わんが、そうではないんじゃよ。経験値が貯まった魔物でも平気で切り捨てる、そういう覚悟が必要になってくるの。それをダンジョンコアではなく人間が行う事に違和感があるのじゃ。ダンジョンコアよりも魔物を魔物として扱っておらん。ダンジョンコアの方がまだ魔物を大切に扱うじゃろう。本当に人間なのか怪しくなるの』


「あまり理解していないが、魔物は何処までいっても魔物だ。強くなることを望むもの、そうではないものが居るのは知っている。強くなるためには、己の保身を考えていては無理だ。己を鍛えるのであれば、危険にも飛び込んでいかないといけない。それで例え命を落とすとしてもだ」


 それが普通だと思うんだが、違うんだろうか。強くなりたければ努力をしなければならない。人間でもそうだ。強くなりたいなら少しでも多くの危険を味わう方が良い。その中で生き残れなければ、所詮はそれまでだったという事なんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ