オペレーション:蝗害
OFUSE始めました。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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「開始時間までどのくらいあるんだ? 後何時間ある? まだ開戦しないのか? そろそろ開戦して欲しいんだが」
『やる気あり過ぎでしょ。まあ、ここにフレイムジャイアントを置いておくのも、ねって感じになって来てるけど、後5分で開始だから。準備は整っているし、問題ないよ。早く始めたくてもこっちが無理なんだから仕方がないでしょ』
開始まで5分。既にフレイムジャイアントは召喚済みである。一応だが、最後の間は大きく広く作ってある。これは最後の足掻きの時に広くしておかないと詰む可能性があるからだな。最後の最後で最大戦力を出すためには、大きい広間が必要だったんだ。スノードラゴンが飛べないとただの的になるからな。俺はそうやってスノードラゴンを倒したんだ。的になってくれるのであれば、全然怖くない。飛んでいるから脅威なのである。
因みに各ダンジョンコアにも役割が与えられている。
メルカバ:司令塔兼攻略担当
ガラリエ:攻略担当
テンマ:攻略担当
メリル:攻略担当
オーボエ:地図作成担当
デカント:防衛担当
である。守るよりも攻める方が重要なんだ。守っていても負ける。攻めないと負ける。まあ、俺は憑依したくない生物なんだけど、コスパが一番いいんだよ。何よりも安い。量が多い。失っても痛くない。である。まあ、普段は食物連鎖の最下層にいる魔物……いや、魔物でもないんだよな。一応分類的には昆虫か。1000体でダンジョンポイント1である。普段はゴブリンの餌となるネズミの餌だ。葉っぱを食べてネズミの餌になるので、結構大量に追加しておかないと面倒なんだよな。こいつらのせいで草が無くなるから、今まではダンジョンポイントを使って草を生やしていた。今はシシ神様が歩くだけで草が生えてくる。リソースの節約になるので、シシ神様は本当に有難い。なお、自分でもその草を食べるんだがな。歩いて草を生やして食べる。無限に増えるんだよなあ。
『もう少しだよ。5、4、3、2、1、始め!』
『ヒャッハー! フレイムジャイアント突撃だー! 燃やせ燃やせ! 汚物は消毒だー!』
『いいからいいから。あんまり燃やさないでよ。こっちも燃えるんだから。準備は?』
『何時でもいける』
『任せとき』
『地図は任せるのである』
『ツンドラバッタ隊、突撃!』
『防衛もしっかりやらんとの。読み通りそうそうたる顔ぶれだわい。まあ、知っているがの』
「やはりエース級を投入してくるだろうと思っていたが、この程度か」
先陣を切ってきたのはオーガスター、それとリザードマンエイガー。この2種だ。それならまだまだ。こっちは防衛の戦力として大部屋に大神とマジックワンダー、龍王を用意している。ここだけは質で足止めをする。補充は出来る様にデカントが準備をしているはずだ。とりあえず、2層に行かせなければいい。まずはその考えで動くのが正解。5層は最終防衛ラインと考えればいいんだ。抜かれたらその時はその時。
ただ、向こうも物量戦になってきた。投入されるオーガスターが止まらないらしい。常に供給されている。まあ、その程度の戦力でかかって来た方が間違いなんだけどな。デカントがまだまだ余裕があるみたいだし、ここは暫く抜かれないのではないかと思う。
『フレイムジャイアント! いけ! いけ! ぶったおせ!』
「メルカバ、ツンドラバッタは常に供給し続けろ。とっとと2層に駆け抜けてしまえ」
『2層への階段を見つけたのである。守護者も居るが、すり抜けるのである』
「オーボエは最適ルートを見つけるよりも道順をつけるだけでいい。迂廻路でも問題ない。どんどんと階層を攻略させろ。敵はこっちよりも階層が多いと思え。3000層はあると思って攻略しろ。ガラリエ、フレイムジャイアントを2層へ差し向けろ。露払いをさせろ」
『任せるのである』
『了解なのさー!』
地図が見えないので何とも言えないんだが、思っていることを話してもらうお陰で状況は掴みやすい。攻め手はどんどんと階層を攻略してくれれば有難い。それが出来ない訳では無いからな。ツンドラバッタ。この雪国でも恐ろしい生物がいるものだと思ったぞ。……普通にこんなのが大量発生されて軍勢になってみろ。一気に蝗害が起こるぞ。木材も石材も全部食われてお終いだ。正直なところ、これの対策が一番難しい。ツンドラバッタに増えられると戦争の前に終わってしまう。ネズミやゴブリンが食べてくれているからまだマシなんだろうが、これを食べる魔物や動物を全滅させると、人間が死ぬことになる。本当に止めて欲しいと思うぞ。……まあ、これのお陰で、色々と戦略の幅が広がったんだが。1ポイントで1000体も召喚出来るとか、軍勢で使ってくれと言わんばかりの性能だからな。戦争で使うべき昆虫だ。対策をどうするのかを決めないと、自滅しかねないが。
『5層突破なのである』
『いいよいいよ。続いていこう。どんどんと召喚を続けるよ』
『誘導は任せて』
『まだあっちはこっちの対策が出来てないみたいやな!』
「当然だ。何をしたらいいのかが解らないだろうからな。1体1体は弱い。だが、軍団を相手にしたことが無いと見える。俺ならそろそろ魔法部隊を投入するが……」
『6層目突破である!』
『フレイムジャイアントよ行けー! 突撃だー! ヒャッハー! 日頃のストレスをまき散らせ!』
対策できないのであれば、何層あっても同じだ。しかも、このダンジョンコアも当初のメルカバと同じような事をしている。……対角線に階段を設置すればいいだろうと思いがちなのだ。一番遠くが一番安全なのだと思い込みがちなのだ。しかし、こうやって物量で攻略すれば、そもそも階段が何処にあろうが問題にならないのだよ。最強の1体よりも、最弱の1000万体の方がダンジョンの攻略には向いている。これもまた、先人たちが書き残してくれた知恵の塊だ。楽しく読ませてもらった。ダンジョン物も沢山あった。攻略RTAなんて作品もあった。俺ならばこうすると言う事も多くあったが、ダンジョンコア同士のバトルであれば、質よりも圧倒的な量の方が階層攻略は早い。
「そういえば、メルカバ。ここのダンジョンの扉は閉まってしまっているんだよな? それは向こうも同じのはず。向こうが何処に入り口を構えているのかは知らないが、冒険者には注意しろ。三つ巴の戦いにはなるべく巻き込まれるな」
『あー、閉じ込められてって感じで? 気を付けるけど、何に気を付ければいいの?』
『脅威にもならないと思う。やっておいた方が良いんじゃない?』
『いや、それよりも敵のダンジョンの魔物と戦わせなって話やろ! 三つ巴はあかん。けど、2対1は大丈夫や。こっちの有利になる様に動けっちゅうことや!』
「そういう事だ。思いっきり敵の魔物になすりつけてやれ。脅威度はツンドラバッタよりも魔物の方が上だ。冒険者は生き残るために魔物を攻撃するだろう。所詮は虫。どうとでもなると判断するだろうし、そもそも冒険者にツンドラバッタを止める手立てはないはずだ」
対策してくるはずがないからな。武器を振るっても無意味。魔法で面で攻撃しない事には意味がない。いや、空間に攻撃しないと面でも止まらないか。対策は無い訳では無いが、非常に限定的だ。人間が数人ではどうにもならない。そもそもこちらとしては優先度が低いから、どんどんと階層を攻略していけばいいんだよ。ダンジョンコア、蝗害にて滅ぶ、か。なかなか面白い事になるじゃないか。勝ったらどうしてやろうかね。まあ、持ってくるのは手間だろうからな。壊してやるのが筋というものだろう。