スタンピードは起きる前に叩け
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その後にはオルトロス30体とケルベロス31体を連れ帰ってきた。そして早速で悪いが包囲網も組んだ。日が昇ったら攻撃開始という計画で配置をしていった。1匹たりとも逃がさないという訳では無い。出来る限り殺せという感じである。2000対60になる訳なんだが、負けるとは思っていない。ケルベロスは単体ではフォレストウルフ系統最強だからな。魔物人の方で行くと賢狼人が強いんだけど、あっちはどうにも魔法型の様な感じがあるんだよ。単純な戦闘力ならケルベロスの方が強いと思う。
まあ、戦わせてみて相性を確認しない事には意味がないんだけどな。ケルベロスは視野が広い。3つの頭がある関係で頭の回転も悪くない。こういう包囲戦にはもってこいの魔物だと思う。特に準備はしていないが、夏の初めという事もあり、雪は殆ど溶けてしまっている。結構大乱戦になる可能性があるんだが、どうだろうな。俺は指揮用のケルベロスに乗って戦場を走り回る予定ではあるんだが。
配置をし、夜が明けて、一斉に森へと向かった。まずはゴブリンを探す所から始めないといけない。まあ、そんな事をしなくても直ぐにゴブリンと接敵したんだが。そして一気に嚙みちぎる。……こうなるよな。当然の事だけど。これが最初の戦闘で、朝ご飯になる。俺もケルベロスの上でパンと干し肉を齧っているが、まあ、ここの戦端は開かれた。ここからどう動くのかは他のケルベロスやオルトロスにかかっている。逃げる奴は逃がしても構わないが、上位種だけは倒しておかないといけない。出来れば経験値を得ていそうな奴もだな。
目標が何処にいるのかは大体把握している。ケルベロスは鼻も良いからな。森の奥の方で群れが居るらしいが、それらは放置。俺たちの仕事は指揮を執る事。ここからその群れを中心に時計回りでグルグルと戦況の確認をしていく。どんな魔物が居るのかどうかの調査も兼ねているからな。……ただ、気がかりなのは、群れが案外大きいという所なんだよ。2000体って話だったと思うんだが、ケルベロスは4000体程度いるのではないかと鼻で感じているらしい。
戦力からすると誤差の範囲内だが、流石に倍の数がいるとなっては気になるのも仕方がない。殲滅は出来るだろうが、出来る限り早く動くことにして正解だったと思う。戦力を過小評価していたとなっては、後になればなる程に面倒になってくる。早め早めの対処が良いという事なんだよ。もっとも、なんとかなるとは思っているんだけどな。
「しかし、何処も戦況は安定しているな。中心の動きは鈍いそうだし、逃げるというよりは迎え撃とうとしているのかもしれない。状況は解るか?」
『我らの味方が戦場を囲っている。問題はない』
「そうか。逃がすなとは言わない。出来るだけ叩く。殲滅しすぎない様にだけ注意をしてくれ。まあ、ゴブリンなんぞ、何処からでも湧いて出てくるとは思うけどな。オーダーは殺し過ぎは駄目だという話だ。適度に間引きをしつつ、範囲を狭めていってくれ」
ケルベロスとも意志疎通をしながらどんどんと包囲を縮めていく。既に逃げ出している魔物も居るが、それは無視だ。ある程度の数は居てくれないと後が困る。適度に間引きをしつつ包囲殲滅を心がける。まだまだ時間はかかりそうだが、これでいいんだ。速攻で真ん中に突撃した場合は、上位種を取り逃がす可能性がある。それではまたスタンピードが起きる可能性があるのだ。なんとしてでも上位種だけでも殺し切りたい所なんだ。
しかし、森の中を颯爽と駆け抜けるな。木々にぶつかる事も無いし、広い場所を見極めて走るのが上手い。かなり先を読みつつ走っているんだろう事が伺える。前のスノードラゴン戦の時の移動は、既に雪で地面が覆われており、枝に突入しなければならない状況だったからな。今回が新鮮に感じる。こうやって走れれば楽しいだろうな。移動に特化したユニークスキルやギフトもあるんだろうか。そういう奴も伝令として欲しいんだけどな。中々そういった人材とも巡り合えないんだよ。難しいのかもしれないが、出来れば伝令役として5人くらいは欲しいんだよな。
徐々に狭まっていく包囲網。そして、出てくる上位種。ホブゴブリンが使い捨てにされる程度にはスタンピードが大きくなっていたんじゃないのか? 結構やばい状況だったのではないかと認識し始めている。普通は通常のゴブリンを使い捨てにして、ホブゴブリンで周りを固めると思うんだが、そうではないという事は、それなりにやばい状況だと、数が多いだけではないというのが伝わってくる。もの凄く増えるのが早いのがゴブリンという種だ。通常の魔物の2倍から3倍は増える。それが上位種でもそうだとなると、話が少しばかり変わって来るぞ。
「上位種が多いな。ケルベロス、上位種の臭いを嗅ぎ分けられないか?」
『不可能だ。同じ部族は同じ臭いしかしない』
「そうか……。まあ、そうだろうな。継続して狩りを進める。包囲殲滅の方針は変更なしだ。後3分の2程度。実質半分だ。ここからは少々気を付けろ。何が出てくるのかが解らないからな」
『ふん。ゴブリンごときで我らが遅れを取ることなどあり得ん。オーガでも負けることはない』
まあ、そうなんだけどな。特にここに居る61体は精鋭だからな。ずっと生き残っている種たちなんだ。フォレストウルフ系統は生存率が高い。だから減りにくいのかというとそうでもない。弱い種は積極的に囮に使われるんだよな。序列が上の奴が生き残れば、種として勝利という感じなんだよ。間違っては居ないんだろうが、魔物はそういう所はドライである。人間の感覚では全然会話にならないぞ。俺はちょっと認識が変わっているからな。転生してきたというアドバンテージが活きている。こういう強者の論理や兵数を数で考えるのは、割と慣れているんだよな。
情が無い訳では無い。寧ろ情が強いからこそ積極的に囮役もやるんだよな。その辺は価値観の違いなので、埋められない。魔物には魔物の考え方がある。それを否定するのは違うからな。ありのままを認めてやらなければ、魔物とは上手く付き合えない。まあ、魔物の中でもダンジョンコアはちょっとまた考え方が違うんだけどな。若干人間に近い所があるんだよ。自分が死んだら終わりだと考えている所とか、よく似ていると思う。
残り3分の1くらいだ。ラストスパートに入る。ただここで異変が発生する。ホブゴブリンの上位種、ハイゴブリンが出始めた。……正直、こうなっているんだろうなってのは途中から思い始めていたんだよ。4000程度居るという段階でおかしいとは思っていたし、ホブゴブリンを使い捨てに出来るくらいには多くの上位種が居るという事だったからな。これは人間の兵士を連れてこなくて正解だ。群れのボスは、ゴブリンジェネラルかゴブリンキングがいる。そこまでくると、兵士では勝てないからな。積極的に打って出ても、返り討ちに会うだけだ。連れてこなかったのはファインプレーだと言ってもいい。これにはついてこれなかっただろうからな。
そして、結果だけ見れば、ゴブリンキングが5体も居た。これがスタンピードで町や村を襲っていたら酷いことになっていただろう。安全に倒させてくれたのが良かった。こっちの戦力が整っていたのが勝因だな。負けはないとは思っていたが、上位種がここまで多いとは思わなかった。……一応は報告しておくべきだろうな。冒険者ギルドもどうなったのかの顛末は知りたいだろうし。まさかゴブリンキングが5体も居たとなっては、驚きが勝ってしまうかもしれないが。