ダンジョンコア被害者の会
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あれから10日間。町で色々と探していたんだけど、望んでいたものは手に入らなかった。その代わり、食物の種を手に入れた。この辺で育つんだから、俺たちの村でも育つだろうと思う。そういった種をゲットした。後で村に分配しようと思う。今までに食べたことがない食べ物の種なんだ。早々育成が上手くいくとは思えないが、スキルがあるのであればあるいはと言ったところ。
期待しても仕方がないが、食べ物が増えるとそれだけ町も彩るからな。確保しておいて損はない。失敗してもまた買いにくれば良いだけなんだから。農家の勘でなんとかなれば良いんだけどな。こればかりは専門家に任せないといけない。俺が勝手にやっても失敗するだけだ。専門家に任せる方が良いのは確かだろう。
それで、成果を確認したのだが……思った以上の成果を上げてくれた。なんとダンジョンコアが4つもあるらしい。10日間探し回って貰った結果がそれだった。流石に広かったみたいで、こんなにも残っていたとは。……向こうに帰ったら出来てたとか無いかな? 流石に無いか? でもこんなに見つかって良いのか? そこそこ大きめのダンジョンだったが、踏破するのに1時間もかかってない。だって素直なんだもの。簡単に踏破出来るんだよなあ。これで門が6個もある事になる。これでかなりの事が出来るんじゃないかなって思っているんだよ。色々と細工が出来るぞ。勿論だが、これは大切に使わせてもらう。
「という事で、メルカバ。これら4つを取り込んでくれ」
『うわぁ。過去1番酷い光景を見た。何でそうなっちゃうかな。……まあ、順当に取り込むよね。壊しちゃうと自我が無くなりそうだし』
『あっしにも遂に仲間が! 1人で1000階層も管理するのは無理なのさ!』
『被害者3号、あたしはテンマ。そう名前を付けられた。よろしく』
『何やこの流れ……乗らなきゃ。被害者4号、うちはメリルいいます。よろしゅう』
『被害者5号である。オーボエである。我の事もよろしく頼むのである』
『被害者6号、デカントじゃ。儂も長くは生きておるが、まさかこんなことになるとは思わんだ』
「これでダンジョンの運営も簡単になるだろう。ガラリエには負担をかけていたのは解っているからな。まあ、今後も負担はかかるんだが」
『5分割したら余裕さ! でもでも、休み制にもして欲しいのさ!』
『その辺はこれから会議だよね。出来ることが一気に増えたし、村も勢いで作る?』
「ああ、急いで沿岸部まで行くことに決まった。なるべく早くで村の計画を頼む。出来れば後5年で海に面した村を作りたいと思っているが、それはその他と相談だな。計画は前倒しでどんどんとやっていこう」
『了解したよ。出来ることはやるくらいの勢いでやらないといけないって事だよね。まあ、なんとかなるかなって思うかな。まずはトルクメニア山脈に隣接させるんだよね?』
「ああ、当分はそっちを優先だ。そっちが隣接したらワイバーンを狙う。ベルフェゴールで勝てるとは思うが、一応な」
勝てるとは思うんだけど、まだ手を出さない。どちらにしてもワイバーンなんて外には出せないからな。使うだけでもダンジョンポイントを沢山持っていかれると思うし。それでも集めておくことには意味があると思っている。10年もあるんだから、まだ手を出さないでも良い。十分に早いのかもしれないけど。ダンジョンコアとしてはそこまで生きてないと思うんだよな。メルカバって。1番成長しているのがメルカバってだけなんだよな。
『てな感じさ! 解った? この大変さが!』
『あー、なんや。うちもこんなダンジョンにせなあかなんだんか。……こんなんどないせいっちゅうねん。誰がこんなん思い付くか! ちょっとどころや無くおかしいやろ! なんやこの知識の差は!? 完全に差別やろ……』
『唖然。呆然。難易度高すぎ問題』
『結局どのルートが正しいのかが解らないのである。しかし、効率よくダンジョンポイントを稼げているのはその通りである』
『うむ。儂のダンジョンよりも遥かに優れておる。運営は大変そうだがのう』
まあ、大変だとは思うぞ。魔物は適宜追加しないといけないし、最下層の連中にも餌をやらないといけないし。上位種が出てきたら処理しないといけないし。割とやらないといけないことは沢山ある。大体30層で1セットみたいな所があるから、毎日何処かの世話をしないといけない状態になっている。なお、それとは無関係に最短ルートは餌やりの必要があるから、本当に大変なんだよ。今まではメルカバとガラリエがなんとかやって来てたけど、マンパワーが増えたのであれば、もっと色々と出来るんじゃないかな。……ふむ。もっと色々と考えておくか?
「それじゃあダンジョンの運営は任せるぞ? 最強のダンジョンを目指していかないといけないからな。負けることはそうそう無いとは思うけど」
『任されたよ。まあ、なんとかなるでしょ』
さてと、それじゃあ今度は、定期便を用意しないといけないだろうな。塩と塩漬け肉の生産を増やさないといけないんだけど、塩は購入するって手段も取ろうか。その辺はレッタニンに任せよう。塩を今まで以上に入手する様に仕向けておかないと。今後はミッテルディア王国に大量に売るんだから。……いや、ダンジョンポイントで出させようか。塩を自分たちで作れた時に、買い続けないといけない可能性がある。ルートを作ったはいいが、1年で使い物にならなくなったとかになると、損益が大きいな。ここはダンジョンポイントを切るべきだ。なるべく魔物村で完結させた方が良いな。となると、肉の供給は間に合うとしても塩だな。
「メルカバ、追加で注文だ。塩はダンジョンポイントで用意してくれ。量は外の奴らに聞いてくれ。大量に必要だから、結構大変だろうとは思うけど」
『うん。まあ、塩くらいならなんとかなるんじゃない? そこまでコストも重くないし。そっちも良い感じにやっておくよ』
『仕事が増えたのさ!? マクシミルの鬼! 悪魔! 大魔王!』
「文句は受け付けるが、改善しようとは思わん。まあ、どっちにしても後で石炭を増やす作業になるんだ。今のうちに慣れておく方がいいぞ」
海水から塩を作るのも結構大変だからな。魔道具で一発ポンとはいかないんだよ。岩塩鉱山があれば話は早いんだろうけど、そんなものは無い。都合のいい物なんて無いんだ。だからしっかりと働いてくれ。ダンジョンポイントを節約したいのであれば、運用を頑張ってくれ。まあ、大変なのは解っているんだが、自動化できないものなのかね? 出来るのであれば自動化した方が早いと思うんだが。
まあ、良いか。ダンジョンの事はメルカバに任せておけば大丈夫。俺が口を出したのは出したが、運営に関してはやって貰わないといけないんだよ。俺もダンジョンばかりに構っている訳にもいかないからさ。しっかりとやらないといけないことはあるんだよ。メインは内政なんだけどな。内政を頑張って頑張って、頑張ると。10年後には絶対に負けないって体制を作り上げるのがメインなんだ。それにはダンジョンの運用も考えないといけないんだけど、まあ、なんとかなるだろう。
突然勇者が降ってきて、ダンジョンを攻略されるとかしなければな。ダンジョンが無いと結構どころじゃなくて不味いので。ダンジョンにどれだけ投資をしてきたと思っているんだ。これでダンジョンコアが破壊されたとかになったら本当に困るんだからな。世界がそれを認めてくれるのかだよなあ。神様が居るのかどうかは知らないけど。




