王城で謁見
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お土産のメイプルシロップを持って、兵士10人と共に王都へ来ていた。……発展しているな。この寒い地域にしては結構な発展具合だ。普通に10万人程度居てもおかしくないくらいには大きい都市になるな。流石に王都なだけある。問題はアイスクローブ王国はこのクラスの町は他にも沢山あると言う事だろう。それだけ国力に差があると言う事でもある。やっぱり戦争になったら勝てないんじゃないか? 今回は油断をしてくれただけで、本腰入れられたら負ける気がする。
それと、門では普通に止められたがな。テイマーは珍しいらしく、王都でも滅多に見ないそうだ。冒険者として所属していて、テイマーでという条件を付けると、今は1人も居ないらしい。なので、相当珍しいと言う事で、色々と聞かれたよ。そもそも3mクラスの大型の狼であるニブルヘイムを見たことがない兵士が全員だったわけなんだけどな。進化個体なんて見る機会は無いだろうし。
そういう事もあって、町中でも兵士の護衛付きだ。かなり珍しいのか、色々と見られている。それで王城までやって来た訳なんだけど、ここからは俺が1人でいかなければなららない。兵士も一応連れてきただけで、お世話係になるだけなんだよな。ああ、胃が痛い。準備はしてきたとはいえ、王族と会わなければならないというのは辛い所がある。何を話したら良いものなのか。そもそも話をしても良いのか。まずはそこからなんだよ。発言を許されるまでは話してはいけないらしいのだが、こういうことは学校で教わる筈なんだよ。俺はほら、剣術も魔法も駄目だったからさ。学校には来てないし。
……覚悟を決めて行くしかないんだけどな。というか、現在進行形で進んでいっている。後10分もしない内に到着するだろう。だが、思ったよりも内装が質素なんだよな。こう、豪華絢爛って感じの城ではない。もうちょっと金をかけても良いと思うが、どうなんだろうな。防衛施設として考えるって事もあるのかもしれないが、そもそも王都を攻められる時点で負けているって話をしないといけないのだろうか。だから、王城は飾りっ気があった方がマシだと思うんだけどな。
奥へ奥へと進んでいく。そして、王との謁見の間にやってきた。そして、しゃがんで待つ。流石に突っ立ったままではな? その位の常識は俺にもあるから。最敬礼でってのも違うだろ? 待つときは片膝を立てて頭を下げて待つ。多分これで合っていると思うんだが。
時間が流れる。まだ王は来ていない。……もう5分はこの調子で居るんだが、まだなのか? 早く終わらせたいんだけど。ササッと来てくれないかな。面倒なことは直ぐに終わらせたい質である。まだかな。さっきから兵士がどんどんと入ってきているんだけど、そろそろじゃないのか? なんだかんだと準備があるのは解っているんだけど、呼び出しておいてこれではって思うのは俺だけなんだろうな。王は待たせるのが普通。そう思った方が気が楽だ。そんなこんなと考えていると、急に静かになった。漸くと来たのか。……おせーよ。
「ごほん、マクシミル=ゴールドレッドであったか? 面を上げよ」
……1回目では駄目だったはずだ。まだ上げない。もう1回言われてからだ。
「遠慮をするな。面を上げよ」
「はっ!」
「良い。此度の活躍、見事であった。建国初のテイマーとしての活躍、まことに見事」
「勿体なきお言葉です」
「うむうむ。あれだけの数の魔物を従えたのはおぬしが初めての事だろう。何分魔物はそこまで強くはない。兵士が束になっては簡単に蹴散らされるだろう。しかし、それを制したのは何故だ? おぬしが使った魔物は普通の魔物ではないのか?」
「いえ、普通の魔物です。ただし、何度か進化をさせました」
「進化とな? あれは偶然に起きるものではなかったのか?」
「偶然起こるものなのですが、戦闘経験をよりよく積ませることで、進化の条件が緩和されたのでしょう。私は代官を拝命してから、ずっと魔物たちを戦いの中に置いてきました。北の森では戦う相手には困りません。故に進化しやすかったのだろうと思います」
「なるほど。進化か。それがあの戦果に繋がったのか」
まあ、進化するって思っていたかというと、思っていた。鉄板だったからな。レベルを上げていけば進化するとは思っていた。それがどういう条件でというのはよく解っていなかったんだが、なんとかなるとは思っていた。……他種族を掛け合わせるタイプの進化だった場合は、もっと苦戦をしていたとは思うが、進化の方法が順当な方法で楽が出来たとは思う。後は、ダンジョンコアをテイムで来たのが大きい。北の森では確かに戦闘経験は積めるが、そこまで強い訳では無いからな。冒険者だとそれでも苦戦をするみたいだが。ユニークスキルやギフトが戦闘系であれば、そこまで苦労はしないと思う。
後は、運みたいな所があるから何とも言えないな。ダンジョンコアを早期にテイムで来たのが勝負の分かれ目だっただろう。あれがなければ一気に強くなることは無かった。……まあ、メイプルシロップを見つけてしまったのが運の尽きと言われればそれまでなんだが、それで戦争になるほどに砂糖が高価なのがいけない。幾らなんでも高すぎるんだ。
そんな訳で、王からのお言葉を頂きつつも、色々と返答していた。……まあ、魔物軍団を作りたいのであれば勝手にして欲しい。戦力になることは解ったんだろうが、そもそも進化をさせるのに手間取る筈なんだ。それと、べらぼうにかかる食費。これをどうするのかだよな。魔物たちで準備させたし、ダンジョンもあったからこっちはなんとかなったけど、普通に用意をしようと思ったら、幾らあっても足りないからな。森が豊富なんだから、魔物に狩りをやらせるのが良いとは思うけどな。森は沢山あるんだし、進化するためにはどうせ戦わなければならない。食料も自給自足でなんとかさせれば良いとは思うんだがな。
「そうかそうか。なるほど。どうしてもとなると、土地が必要になって来るか」
「はい。私は北の森がありましたので、あそこまでの魔物の軍勢を用意出来ました。場所が無ければ、難しかっただろうとは思います」
「うむむ、手軽には手を出せんか。よろしい。解った。では報酬の話をしよう。何が欲しい? 金か? それとも名誉か?」
「……すみませんが、私は代官の身。内政で使う金も用意は出来ておりますし、これ以上の名誉を頂く訳にはいきません。それではゴールドレッド子爵家から出なければならなくなってしまいます」
「ふむ? では何が欲しい?」
「……トルクメニア山脈の向こう側の国との外交権が欲しいと思います」
「ふむ? ミッテルディア王国との外交権とな?」
「はい。我が国はアイスクローブ王国に蓋をされている関係上、製品の輸出などが出来ません。ですが、トルクメニア山脈を迂回すれば、ミッテルディア王国とは取引が出来ます。通商権でも良いかとは思ったのですが、相手側の貴族ともやり取りをする機会が増えるでしょう。ですので外交権を貰えたらなと思っております」
「……宰相よ、どう思う?」
「よろしいのではないでしょうか。今の所、窓口はデイルート侯爵家だけですからな。密使も送り込むのにも労を伴います。トルクメニア山脈を迂回できるのであれば、かなり有用かと。次回の戦争の時には援軍も見込めますからな」
「そうか。よろしい。外交権を与えよう。ただし、国益に適うよう交渉をすることだ。デイルート侯爵家より何度も苦情が入るような事はしてくれるなよ?」
「はっ!」
……案外楽に貰えたな。言い訳の2つや3つも用意していたんだが。外交権があるのは大きい。向こうの貴族に接触しても良いと言う事だからな。出来ることが一気に増える。さて、それじゃあ何をしようかね? 動けるのであれば、早い内に動いた方が良い。