撤退からの現状維持
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
失った魔物は多くいる。しかし、向こうの戦力の一角である化物の討伐が出来たんだ。これは大きな成果ともいえる。あのままやれば勝てたのかもしれない。しかし、本気の化物が出てきたかもしれないんだ。可能性を捨ててはいけない。ユニークスキルとギフトの両方がシナジーを発揮しているような兵士がいないとも限らない。多分だが、勝てたのはどちらかが特化していただけの人間だ。両方とも特化していたのであれば、勝てていなかっただろう。
俺たちは11個目の町で籠城戦をしようとしている。……まあ、こっちに攻めてくることは無いとは思うけどな。戦力差はそこまで大きいものではなかったと思う。人間の方が有利な戦場では負けるかもしれないが、街道の様な場所であれば、こっちが有利に戦える。そうそう後れをとる事は無いはずだ。しかもこっちには空の戦力がある。一方的に戦える戦力を持っているのだ。
相手が空に対して何も準備をしていないことが解ったからな。ここ20日ほど、毎日12個目の町に魔法爆撃を行っている。嫌がらせ程度の話でしかないんだが、何時攻め込まれるのか解らない状況を作り出す方が大切だ。こっちが何時でも攻められるように構えているのが不気味で仕方がないはずだ。それと、一応だが前線に兵力が向かっていないのかの確認も兼ねている。兵力が一気に減ったのであれば、侵攻のチャンスだからな。そんな機会を逃すほど甘くはない。
兵糧の補充には困り果てているがね。森から得られる兵糧だけでは厳しいので、各町や村からも強奪している。それに関しては悪いとは思うが、食べなければ維持できないんだ。こんなに攻め込むのは想定外だったからな。まあ、なんとかなるとは思うし、最悪は敵に突っ込ませて終わらせればいい。あくまでも魔物は使い捨て。負けても良いのだ。その結果、占領地が減るのはどうしても避けられないんだけどな。出来れば、今のままを維持したい。
夏も真っ盛りな状況。一応だが、自分の与えられた戦線も確認しているが、攻めてきた痕跡はない。オーガスターたちがのんびりと戦闘訓練をしているくらいだ。隠れた援軍などは居なかったことになる。となると、本来の作戦はどういう事だったんだろうな? 幾らなんでも無策であそこにいたとは思えないんだけど。俺の頭が悪いのがいけない。軍略も教わったが、学校にはいけなかったからな。専門的な知識は得られていない。本来であれば、あそこから2年程王都の学校に行くはずだったのだ。それが無くなったのだから、俺は跡継ぎには成れないという事なんだよ。
まあ、その方が気楽で良いがな。今回の様な戦争にならなければ、内政だけしていれば良かったんだから。何時までも内政をしていれば良いという状況が良かったな。戦争なんて行くだけ無駄なんだから。内政を頑張ってそれで全てを終わりにしてくれれば嬉しいんだがなあ。無理な事を考えても駄目なんだ。今はこの状況をなんとかしないといけない。……普通に考えたら、講和を結ぶ方が無難だと思うんだがね。どうなるんだろうか。
勿論だが、こちらの戦果はエルグランド侯爵家には通達済みである。町を11個も占領していることはしっかりと通達してある。今であれば、有利に戦争を終わらせることが出来ると思うんだが、何を考えているのかだよな。とりあえず、俺はダンジョンの側で陣取っては居るんだが。持ち場を離れているのは魔物だけだ。負けそうになった場合は直ぐに撤退する様に言ってある。死力を尽くして戦うのも良いんだが、状況を考えると、どうしてもそれは悪手になりかねない。占領地の放棄は痛いが、最終的な目的は、この地の防衛なんだ。それが叶うのであれば、戦力をどんどんと攻め込ませるんだが、念には念を入れておくべきだからな。
「しかし、本格的に何も起きないな。戦争が始まってから既に30日程度の日が過ぎている。本隊も動かないし、何をやっているんだろうか。もうすぐ秋がやってきてしまうぞ。秋が来たら戦争は一時的に中断せざるを得ない。雪が降ってきたら、こっちが有利にしかならないからな。その辺は上層部も解っているはずだ。向こうの上層部もな。故にそろそろ停戦の話があるとは思うんだが……。何も無いとはどういう事なんだろうか?」
『さあ? 人間の考える事なんて解らないしね。僕ならとっとと撤退すると思うけど、人間は色んな柵があるんでしょ? ならその柵を解消しないといけないんじゃないの?』
「それもある。あるが、冬になった場合はどうしようもないからな。こちらの思惑通りにはなってくれないみたいだし、どうするべきか。とっとと勝っている状況で講和するべきなんだがな」
『勝ってるの? ならさ! もっと魔物を出して攻めたらどうなのさ! 無理やりにでも停戦させるってのはどう?』
「今の状況ではそれも有りだとは思う。こちらが戦力を追加して攻めてしまうのは有りだ。まあ、面倒な事にもなるんだけどな。出来れば、面倒ごとは避けたいと思っている。これ以上アントを増やすのは余り得策ではない」
『ああ。どうせ最後には処理するつもりなんだっけ? 残さないのであれば、そうなっても仕方がないよね。使い捨ての軍隊なんだから。でもさ、それならなおのこと攻めた方が良くない?』
「正直迷っているところだ。今のまま終わらないのであれば、別動隊を作って攻めてしまった方がいいだろう。それだけの余力はある訳だからな。アントヒーローが負けてくれれば話は早いんだが……」
今のような状況が一番問題がある。占領地を増やすにしても、戦力を出さないといけない。そうなると、色々と不都合があるのも解るんだ。アントヒーローの処理をどうするべきか。そこが悩ましい。都合のいい使い捨ての軍隊だからな。維持できてしまう方が問題があるんだよ。今回の戦争で、半分以下にまで減らす予定だったんだよ。その後、ダンジョンで処理して、強いアントヒーローを召喚できるようにするつもりだったんだ。予定が完全に崩れてしまっているんだが。
「まあ、暫くは待つしかない。また方針が決まったら来る。それまではいつも通りだな。魔物たちの強化はずっとしてくれた方が良い」
『了解したよ。もっとも、それは僕にとっても都合が良い事だから、しっかりとやらせてもらうけどね。魔物が強い方が良いからね』
メルカバとガラリエと別れて陣地へ戻る。一応人間の兵士にはこっちに戻ってきてもらっている。なので、向こうは魔物たちだけになる。指揮は将軍蟻人がやってくれているから問題は無いんだが、とりあえずは定期報告にはやられたという報告は来ていないし、そもそも何度かは見に行っている。占領も別段不味い訳では無いし、冒険者が兵士がと襲撃をかけてくることも無い。冒険者が遠巻きに見ていることはあるらしいが、積極的に狩りに来ることはないらしい。……実力不足だと解っているからだとは思うが。
「報告! エルグランド侯爵様の使者が来ておりました。手紙を預かっております」
「そうか、ご苦労。何か言っていたことはあったか?」
「いえ、特には。ではこれで失礼します」
手紙か。どういう知らせになるんだろうか。占領を続ける知らせか、それとも本隊を撃滅するという知らせか。はたまた停戦協議に入るという知らせなのか。解らないことが多くある。しかし、悪い知らせでは無い事は解った。悪い知らせならそもそも口頭である程度は話すからな。その上で手紙を渡すのが普通だ。さてさて、何が書いてあるのか。