来夏、戦争が起きる
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「ぐふふふふふ。いやはや大分苦しそうですなあ。なんとか冬を越えたという状況でしょう。春の作物が出てくるまでにどれだけの餓死者が出るのか。悲しくて哀しくて涙が出てしまいます。こちらは何も被害が無いというのに。これ以上の負担を何処から軽減していけば良いのか。それが解らなくなっていそうですな。なんともまあ、残念な事です」
「そうか? 儲かったという表情をしていると思うがな。金はあっただろうからな。それよりも体温を上げないと生きていけない状況にまで追い込まれている人間が多いと言う事か。生にしがみつかないといけないのは苦しい。体温が下がればお終いだ。なんとか暖かくしようとしているんだろうが、薪だけでは不十分だ。食料が無いとな。しかも、何処も食料なんて余ってないという。それでは復興に時間がかかるだろう」
「でしょうなあ。食料が足りないという時期が1年でもあれば、暫くは食料品の値上がりが続きますだからと言って、そんな所に食料品を持っていくなんてことになったらもっと大変になりますからな。出せる限界まで食料を出さないといけない様になってしまうでしょう。それではこちらも共倒れになってしまいます。見殺しという事をしないといけないでしょうなあ。その前にしっかりと搾り取ってきましたが」
「全く。生きている人から何をしてきたのか。まあ、それはその商会が決めたことだからな。大量に売れたんだろう? そうしないと商会も生き残れないからな。食料品を何処かから買い取ってこないといけない訳だ。公爵家の支援もあるんだろうが、儲けようと思ったら今しかない。だから、食料品を買い漁るんだろう。それも他の貴族家の何処かからな。情報では、メティス子爵家はそこまでの被害にはなっていないそうだ。そこから食料品を買えば済む話だろう。その為には金が必要になる。向こうに売り込む商品が必要になるな。それを今回は売り込んできたと」
「そういう事ですな。今回の災害の報告は受け取りましたかな? ゴールドレッド子爵家の他は男爵家が3つだそうで。そこまでの被害では無かったのが幸いでしょうな。今年の冬も同じであれば、もっと苦境が続いたのでしょうが、問題はすっかりと解決されたようで」
「当然だな。それで? どう動くと思う?」
「ぐふふふふふ。流石に情報が届きませんからな。何とも言えない所でしょう。ですが、動き始めたのであれば、侯爵家の皆様方から連絡が入るのではないですかな?」
「商人の伝手で解らないかと思ったんだが、無理か。流石に侯爵家まで商売にいっている奴は居ないという事か」
「ですな。ではこれで。また儲けさせて貰いますよ」
商人の方では物価高の原因は災害だけという事になっているのか。それならまだ時間はあるのかね? 時間は幾らあっても足りないんだが、それでも色々とやりたいと思っている。あわよくば戦争が再来年以降になってくれればいいかなとは思っていたんだが、そう上手い事はいかないという事なんだろう。
「マクシミル様。本家からのお手紙です。しかも3通あります。各内容は違うという事なんでしょう。私としては、こういう面倒な事をされる意味が解らないのですが……」
「仕方があるまい。まあ、内容は読まなくても解るが、読むとするか。追って伝える。暫く待て」
本家からの手紙で3つとなると、内容は決まっているな。懸案事項としては3つしかないからだ。今回の災害の件、侯爵家からの戦争の件、王族からの参戦の件。この3つしかない。それ以外の話であれば笑って済ませられるんだが、まあ、そんな都合のいい話は無いだろうな。
手紙を読み終わってみれば、残念だが予想が当たっていた。まあ、面倒な事になるのは解っていた。そもそもこんな辺境の土地で、砂糖の代わりになるものが取れるというのだから戦争にならないと考える方がおかしい。コショウで戦争になったこともあるくらいなんだからな。この位の事は予想が出来るというものなんだ。
「とりあえず、順に話をしていこう。まずは今回の災害の件だ。公爵家からの支援もあって、なんとか各町や村での餓死者は1割と言ったところまで抑えられたそうだ。まあ、年寄りの口減らしだな。その位の支援しか貰えなかったというべきなんだろう。既に公爵家としては子爵家を全員救うよりも優先事項の高いものがあったという事だ。それが侯爵家から出てきた食料高騰の件だな。アイスクローブ王国内で食料の高騰が起こっているとの事だ。それについては、来年あたりに戦争になりそうだという事が書かれている。そして3つ目の件。これは王都からの出陣命令だ。兵をもって前線に来られたしという感じで話が来ているそうだ。そして、俺たちゴールドレッド子爵家はエルグランド侯爵家の戦場へと向かえと書いてある。時期は来年の夏だ。すなわち、春が始まったら直ぐに出陣の用意をする必要があるという事だ」
「なんともまあ、予想通りといいますか。本当に戦争になってしまうとはという所でしょうな。それでは我々は来年の春までに戦力を集め、エルグランド侯爵様の土地へと出陣していないといけないと。そういう事ですか。なんともまあ急な事ですが、こればかりは仕方がないのかもしれないですね。春に出陣すれば良いだけですから。これが冬の間に出陣をしないといけないのでしたら、もっと悲惨な事になっていたんでしょうね」
「だろう。来春まで時間はある。戦力は兵士を30人、魔物を1万体動員する。魔物村の魔物はその位の数は居るからな。まあ、移動に関してはどうやって移動をするのかを考えないといけないことにはなるだろうが。街道を通って行くにしても、何が起きているのか解らないという事にもなりかねない。移動に関してはこちらで何かしら考える。……いい案が思い付くのかどうかは不明だがな」
「でしょうな……。魔物が1万も居れば、スタンピードだと思われかねないですからな。なんとかする必要があるんでしょうが、いかんともしがたいでしょう」
移動については本当に困っている。流石に全員を空を飛べる魔物で構成するという事も不可能だ。マルコシアスとベルフェゴールが足りない。少ない魔物の数で行く事も却下だ。魔物は数が揃ってこそ真価を発揮する。少数では人間の方が有利なんだ。それについては考えておかないといけない。流石にギフトとユニークスキルを持ち合わせている人間に対抗できる魔物は少ないからな。居ないとは言わないが、無難に数で押す方がいいだろう。噛み合った人間との戦いだと、そもそも押し負ける可能性もある。
返事も書かないといけないが、魔物を戦力として数えてくれるのかだ。それが若干怪しいとしか言えない。30人の兵士よりも1万の魔物の方が戦力としては上なのだがな。その辺を理解してくれるのだろうか。解らないよなあ。どうなるんだろうか。そもそも移動方法が問題でもある。なんとかしないといけない訳なんだけど、なんとかなるんだろうか。その辺りは運も必要になってくる。ちょっと活動領域を広げておかないといけないか。限界ギリギリの所まで行かせないといけないだろう。思惑はある。あるが、どういう仕様になっているのかが解らない。活路はそこにあると思うんだが、まずは見つけない事には始まらないからな。今年中に見つかってくれると嬉しいが。流石にぶっつけ本番という訳にはいかないんだよ。ギリギリまで見つからない事もあるだろうけどな。とにかく、捜索するしかない。見つからなければ、その時考えればいいだろう。