ギルドマスターとお話
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ギルドマスターの方ともそこまでの時間を必要とせずに会う事が出来た。やはり暇なんだろうと思う。ただ、机の上は片付ける時間を欲していたようだ。整理整頓が出来ているとは思えない机だが、それでも彼女なりに片付けたんだろう。
「この町の新しい代官のマクシミル=ゴールドレッドだ。今後は俺がこの町を治めていく、とは言っても大きな方針転換はないつもりだ。今まで通りの堅実な運営を心がけて行くつもりではある」
「マセルの冒険者ギルドのギルドマスターのオーレリアです。前代官のやり方を踏襲してくれるのであれば、こちらもやりやすいかなとは思いますが、如何せん冒険者の数が問題ですからね。採取依頼は熟せても、討伐依頼は殆ど熟さない人たちですから。それが悪いとは思いませんけどね。採取の必要性もありますので、ここ以外で必要な所に素材を提供できるのは、ここのギルドの強みでもありますので」
「そうだろうな。傷薬やポーションを作るにしても、採取は重要だ。それが全く出来ない冒険者ギルドもあるだろう。特に山脈の近くにある冒険者ギルドは、素材の確保が難しいだろうからな。いくらタイガランド王国の半分が森とは言え、森がない地域もある。そういう所に素材を供給できるのはこのギルドの強みになるだろうな」
普通に素材が不足していると思うからな。傷薬程度で済むこの町と比べて、ポーションやもっと質の高い薬を要求してくる冒険者ギルドもあるだろう。ここは比較的討伐には不向きであり、そもそも森という広大な資源地帯ではあるものの、魔物の数が多すぎて奥地にまでは入っていけない冒険者が殆どだ。今日だけで100体以上もテイム出来たように、普通に森の中を探索していたら魔物との戦闘回数が多すぎて死人が沢山出過ぎる。
しかも利益になるのはホーンディアとオークになるんだが、それ以外の魔物が多数存在しており、大して金にもならない魔物を大量に狩るだけの仕事になるのも大変だろう。それでも、フォレストウルフはまだ食肉としての価値はあるんだけど、好んで食べたいのかって言われれば、微妙と答えざるを得ない。
「そうですね。もっと安定してくれると良いんですが、魔物の被害もあります。年間で数人は死亡していることもありますし、冒険者の数は中々増えてはくれないのです」
「そうだろうな。採取と言っても森の奥にまで入る事もあるだろう。今回はそれを回避するための方策でもある。今日の内にある程度の規模の村を作った。比較的浅瀬に作ってみたが、何とかなるとは思う。今後は一気に魔物被害が減るとは思うぞ」
「村……ですか? ですが、今日? どういう事でしょうか? その様な計画は聞いておりませんし、そもそも何処から人間を用意したんですか? マセルにはそこまで人手が余っている訳ではありませんよね?」
「その通りだ。人間を用意することは不可能だ。しかし、魔物であれば用意ができる。その村は魔物の村だ。ゴブリン、コボルト、スライム、フォレストウルフが住むことになっている」
「魔物の、村?」
「そうだ。俺はこれでもテイマーだ。それを可能とするギフトを貰っている。ゴールドレッド子爵家ではハズレとしてみなされ、家督継承権を剥奪されこの町に赴任した訳なんだが、魔物でも村を興して生活させることは可能だ。今日は場所の選定を行ってきたところだ」
「はあ!? 魔物の村ってどういうことですか! 簡単にいいますけどね!? 魔物が群れたらそれこそ危ないんですよ!? 何をしてくれているんですか!?」
「危ないのは承知の上だが、魔物とも話は出来る。多少は力こそ全てという考えがあるにしてもだ。村として機能させることくらいは出来る」
「はあぁぁぁぁぁ……。何を考えているのかが解りませんが、本当に大丈夫なんですよね?」
「大丈夫だ。失敗しても殲滅すれば良いだけだ。俺にはその手段があるし、後でどうとでもなる。それよりも、魔物に村を作らせて、産業を作らせた方が効率よく未開地を活用できると判断した。その証拠に、定期的に色んなものを供給できると思うぞ。魔物は特に増えやすい。人間よりも余程使い勝手がいいでは無いか。無碍に扱ったとしても、反乱を起こすような事も少ないだろうしな」
「認識が甘すぎてちょっとどうにかなりそうなんですが、魔物が増えすぎた結果、スタンピードが起きることをご存じない?」
「当然知っている。普通は自然淘汰されて魔物が増えすぎるという事は起きないのが普通だ。それを人為的にコントロールし、スタンピードを起こすことは可能だろう。もっとも、きちんと制御してやれば何も問題無い訳なんだが」
「大問題ですからね!? 最悪、この町が滅ぶ可能性も考えているんでしょうね!?」
「可能性として無い訳では無いだろう。だが、それらのリスクも考えても、魔物に村を作らせた方がいいだろう。開拓も人間では無理なのであれば、魔物を使えばいいだけの話。村の規模も大きくなれば、横に縦にと広げていけばいいし、村を分離させることも出来る。何も問題はないな」
「……多分ですが、言葉を尽くしても無駄になるんでしょうけれど、絶対に、絶対に! スタンピードだけは止めてくださいね!? 私はまだ死にたくないですよ!」
「善処しよう。俺もまだまだ死にたくはないからな。制御できる大きさで止めるさ」
「はあぁぁぁぁ……。心臓に悪い話を聞きました。本当にどうしてくれるんです? 冒険者の安全も考えないといけないんですけど」
「冒険者にはみだりに魔物村に近づくなと言っておいてくれ。逃げる分には追わない様に命令はしてある。ただ、攻め込んだ馬鹿がいた場合は、死んでもらう事になるがな」
「誰もそんな危険地帯には行きたがらないでしょうね。でも、魔物から逃げるだけでいいというのは、助かる所もあります。この町の冒険者は全体的に見ても、戦闘力がありませんから」
「今後も村を増やしていく。冒険者が安全に採取できるように努めよう。魔物もある程度話の解る奴がいるからな。……逆に強そうな方が問題まである。力こそ全てな所があるからな。腕試しにと襲いかねない。逃げる分には追わないとは思うが、そこだけは注意してくれ」
「本当に。こんなことは初めてです。何処の冒険者ギルドでもこんな事態に遭遇したことは無いと思いますよ。何でなんでしょうね?」
さあな。誰もテイマーになりたがる貴族がいなかったからじゃないか? テイマーなんて普通は2、3体の魔物を連れて歩くのが精々。育てるのにもそれなりの場所が必要になってくるからな。事故で冒険者から殺されるなんて事もあるだろう。俺の方はそもそも冒険者ではなく、土地持ちの貴族家だという事が幸いしたな。無限に近い領地があるんだ。いや、未開地なのだから、誰の領地でも無いんだが。それがあるという事は、魔物を放し飼いに出来てしまうという事なのだよ。それで、魔物にも生産活動をしてもらえれば、どれだけ役に立つと思っているのか。魔物が勝手に生産活動をしてくれるのであれば、何もせずとも収益が増加する。そんなタダで儲ける様な事をやっても良いのかという疑問があるかもしれないが、良いのだ。タダで儲かるのであればやるべきだ。リスクは当然ある。スタンピードの可能性はある。それが町に向かわなければ良いだけの話だ。コントロール出来るのであれば問題ない。幸いなことに、土地は無限にあるんだ。スタンピードの方向を決めてやるだけで良いんだよ。