冬の準備
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秋は収穫の季節だ。麦が良い感じに育ち、今年の税収も簡単に支払ってもらえたらしい。それもそのはず。アンデッド農法が確立できた今、今の畑では狭いのだ。早急に畑を広げてしまわないといけないというのが今の課題だ。それでも、今年も1つの村の畑を2.4倍に広げたのだ。来年からは大変になるとは思うが、頑張って貰いたい。頑張った分だけ、お金として手元に残るのだ。それで良い服を買ったり、農具を新調したりしてくれればいいのだよ。その為のお金だ。お金は自由に使うために存在している。お金をこう使わなければならないというのは無いんだ。
そして、今年も給料をしっかりと支払っている。去年よりも多く支払っているので、町人もお金には困っていないはずなんだ。そろそろ雪が降ってくる季節になってきたが、冬籠りの準備は万端である。薪もしっかりと用意されている。雪かき要員のスライムも活き活きとしている。今年も何事もなく過ごせるだろうと見込まれている。……他の町の様子は悲惨そのものなんだけどな。
情報は入ってきている。こちらとて全くの情報を得られていないのかと言われたら、そんな事はない。俺が代官になってから、各町の様子を探るために色々と策を考えていたのだ。それを実行しているだけに過ぎない。その結果、今年の収穫量は前年の2割程度だと言う事が解っている。麦だけだと1割を切るかもしれない。秋野菜でなんとか持ち直しては来たが、圧倒的な麦不足だ。その為、食料品の物価が上がり、庶民の暮らしは領主や代官からの配給でどうにかするらしい。それが公爵家からの支援の内容だ。主に食料の支援をしてもらっているのだ。
勿論だが、子爵家が独自に貯め込んでいた備蓄もあるかと思うが、それだけでは全然足りないという事らしい。そもそも備蓄の量が、村2つ分が不作に終わった場合を想定しているのだ。ほぼすべての村が不作に終わった今、打つ手は無かったと言う事なのだろう。公爵家に支援をしてもらわなければ、どうにもならなかったのは目に見えている。ただ、プライド的にはかなりの泥まみれになっただろうと思うな。下げたくもない頭を下げたのだ。父としては、かなり気持ち的に余裕が無くなっていると見ている。
こちらも冬籠りで隔離されるし、交流は魔物村くらいしか無くなる。その間に書類仕事を終わらせるなどをしないといけない。例年通りの仕事量だ。他の町に比べたら少ない仕事で済むだろう。これも色々と使って居るおかげなのだ。魔物もアンデッドも使い方次第でどうにでもなるんだよ。こんなに便利なんだから、どんどんと使えば良いものを。マセルやその付随した村を見られても困ることはない。寧ろ積極的に見に来いとさえ思う。ここまで便利に使いこなせるのだ。他の土地でもやれないことはないんだよ。
「平和な事は良い事ですな。大規模開拓も無事に完了し、後は4つの村だけになります。まあ、まだ村の畑を増やして欲しいと言う要望は届いているので、まだまだ開墾をしなければならないだろうとは思いますがね。アンデッドを使った農業が安定的な生産力を誇っているらしく、まだまだ余力はあるそうですな。実に良い事です」
「当然だな。税で一定数しか持っていかれないんだ。それ以外は村人の収入になる。今後の事を考えて、道具を購入したり、服を買ったり、防寒具を買ったりも出来るだろう。農村が豊かにならなければ、町の発展も見込めない。農村には頑張って貰わないといけないのだ」
「そうですな。それで、今年の税収ですが、やはり過去最高額になっております。特に商人からはガムシロップが大量に売れているという報告が上がって来ておりますな。あれも魔物村からの生産品でしたな。よくもまあそれだけのものを見つけてきますな。森だけしか無いと思っておりました」
「その辺は知らなければそうとしかならないものだからな。必ずしも甘味が見つかるとは限らない。森を広く開拓しているが、今で魔物村は60あるはずだ。順調に進んでいることは確認している。来年はまた増やすが、今はそれだけだな。その内、甘味を作れる場所は25しかない。なるべく甘味を作れる場所を選んでいるにも関わらずだ。それだけの場所しかないのは仕方がない事ではあるんだが、そもそもそれを甘味だと知らなければならないからな。知識は力だぞ?」
「まさしくその通りなのでしょうな。しかし、その所為で戦争になることになるとは思いませんでした。甘味1つで戦争になる可能性があるというのは、解らないでもないですがね。砂糖は本当に貴重なものですから。1袋買うのにも金貨数十枚が必要になってきます。出費は馬鹿にならないのですよ。上位貴族様方は見栄と欲で買うのでしょうが、私たちはガムシロップで十分ですな。それでも十分に甘いのですから」
本当に砂糖が高すぎて本当に買えないんだからしょうがない。1袋と言っても、本当に巾着1つくらいなものなんだ。それで金貨数十枚はぼったくり過ぎだろう。アイスクローブ王国も何処かから輸入しているらしいが、砂糖はそれ程に貴重なのだそうだ。多分だが、南の方で砂糖を作っているのであれば、サトウキビから作っているのだと考えられる。寒い地方であれば甜菜からも砂糖が作れるんだが、その様な作物があるとは聞いていない。聞いていたらそもそもそんな値段で砂糖を取引しないだろうからな。代わりにサトウカエデが沢山あったんだが、こっちはそもそも活用すらされていないんだ。何で甘味を放置するんだとは思うが、樹液を使うという発想が無ければ、そもそも無理な事なんだよ。そして、サトウカエデが甘くなるのは冬の時期だ。その他の季節も多少は甘いが、糖度はどうしても低くなる。冬に採取するのと、他の季節で採取するのでは雲泥の差が出てくるからな。
しかも、冬の時期に森の中に入るのは自殺行為だ。だから普通に放置されていたし、活用もされていなかったんだよ。もうちょっとなんとなったのではないかとは思ったな。資源を放置しているのは勿体ない。甘味なんて中々手に入らないのだから活用すべきものなのにだ。
「さて、今年の収穫である程度の備蓄は出来たつもりだ。それでもある程度だがな。これで準備は整ったとは言いにくいが、最低限の備蓄は手に入った。後は戦争が来る前に戦力を集める必要があるんだが、兵士の採用は結局そこまでの人数を用意できなかったんだよな? 確か追加で25人を雇うという話になっていたが」
「ですな。25人を雇い入れはしましたが、まだまだ使える段階にはありません。訓練が必要ですし、そもそも治安維持などの仕事がありますからな。訓練ばかりやらせるのも間違いでしょう」
「仕方が無いか。直ぐには使い物にならなくても、なんとか使えるようになって貰わないと困るんだ。戦争では、人間以外は戦力に数えてくれないだろうからな。25人しか居ない兵士を全員送り込むわけにはいかない。50人になって、漸く30人程度送れるかどうかと言う所だ。訓練はこの冬にでも徹底的にやらせてくれ」
「畏まりました」
魔物も戦力に数えてくれるのであれば、最低でも1万は用意できるのだが、そんな事にはならないだろうからな。魔物は添え物であり、メインの戦力にはならない。そういう気がしている。テイマーを使えないもの判定しているのであれば、そうならざるを得ないと思うのだ。魔物だって立派な戦力だと言う事を知らしめるにはいい機会とも言えるんだが、さて、どうなる事やらだ。魔物だけで勝ててしまうような戦場なら申し分ないのだがな。