公爵家に支援を頼んだらしい
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「そうか。結局嘆願に動いたか。まあ、そうなるだろうな。見返りとしてメイプルシロップを使ったのも、解らんでもない。使えるものは使うべきだしな。よくも1度の支援で1度のメイプルシロップの上納で済んだものだ。もっと酷い契約になる可能性も十分にあった話だからな。大分手を緩めて貰ったのか、それともといった感じか」
「継続的に支援を貰うのでしたら、継続的にメイプルシロップを寄こせと言う事なのでしょう。大分と手加減をしてもらえたようで何よりですな」
「本当にな。手加減してもらわなければ、こちらの特産品が無くなる所だったぞ。税としてメイプルシロップを納めろと言われたら面倒な所だ。こちらはなるべくは金貨を町の中に持ってきたいというのに。税で取られたら何も入ってこないじゃないか」
「しかし、公爵家には繋がりが出来ましたな。何かあればメイプルシロップでなんとかしてくれるというのは大きいですよ。こちらは子爵家ですから、領地もそこまで大きくない。それに、そもそも麦の育つギリギリの所で住んでいますからね。何かあった時には助けてくれると言うのは大きい」
「そもそもの話をすれば、助けるのは上位貴族の義務なんだがな。こんな辺境の小さな国で、政治を持ち出されては堪らない。助ける時に助けないとそのまま貴族家が滅ぶだけだ。それで喜ぶのは誰かと言えば、敵国であるアイスクローブ王国だけなんだよ」
支援の見返りにメイプルシロップを要求してきて、それを飲んだ形になるそうだ。今後は支援物資がどんどんと流れ込んでくるらしい。それと、色々と買ってくれることも決まっているそうだ。お金が流れないと町の人間が生活に困るからな。その辺も解ってくれているらしいので、助かる事ではあるんだが。それで、何を売るのかというのが問題になって来るんだろうけどな。
特にこれといった特産品がある訳でもなく。あるとすれば、マセルから出ていった品々になるだろう。それらも所詮は劣化品。品質が上がってきているとはいえ、本来の生産場所ではもっと品質が良いものが作られていることだろう。こちらが優位になることはない。しいて言うのであれば、進化個体の生産物になっているという所は差別化出来るところと言えばそうなのかもしれない。まあ、これも生産したものが売れなければ、そもそも領都に渡ることは無いんだがね。
基本的には、レッタニンや他の商会も春先に何度か行商に出かけたら、後は村とマセルの交易だけで済ませるのが普通だ。村から町へ、町から村へ。農作物や生活必需品を交換しに行く。それで利益を稼いでいるのだ。領都にはそもそも向かわない。だが、今回の件で、領都からの行商人が来るようになった。これは外貨の獲得にはかなりの優位性がある。こちらには足りないものは無いのにも関わらず、向こうには足りないものがあるという事なのだ。商会は黙って商売をしているだけで、お金が入ってくる事になる。非常にボロい商売だ。売るだけで済むのであれば、それだけ外貨が入ってくる。それも税金で回収したのち、町人に還元していく。好循環が起きようとしているんだ。これが笑わずに居られるか。
「基本的には、私たちの町は左団扇で居れば良いだけですからな。外からのお金が入ってくるだけで、出ていくことは殆どありませんから。最低限の領都からの支援金も必要ないくらいには潤っていると思います。今後はそれらが打ち切られる可能性もあるかと思いますが……」
「打ち切ることは可能だ。現に困っていないからな。だが、プライドとしてはどうかという問題が出てくる。支援を打ち切った場合、マセルは領都と同列になってしまう。いや、交易品の観点から考えると、マセルの方が優位に立つだろう。それを良しとするだけの度量があるのかになってくるだろうな。領都としてのプライドを捨てられるのか。それが問題になるだろう」
「現実的には、マセルの交易品が無ければ、交渉にもならなかった可能性もありますし、本来であれば、プライドを捨てて、マセルの支援金を打ち切るのが筋だとは思いますけどね。そうしなければ、マセルにお金が集まり過ぎますから。寧ろ税を重くして、分配を他の所に回さないと領地内が立ち行かなくなる気がします」
「当然だな。俺ならプライドを捨てて、マセルをある程度独立させる。その方が良いのは確定しているからな。それが見えていないという事は無いとは思う。が、出来るか出来ないかで言えば、出来ないだろうというのが俺の予想だ。出来るのであれば、既に今年の分から支援金を打ち切っても良かったからな。今年もしっかりと支援金は届いただろう? 金額もいつもと同じだ。税金で払った分と同程度の支援金が届いている。これで何とかしろという意味なんだろうが、そもそもお金が溢れてきそうな環境になって来ているのだ。支援金の必要性が殆どないと思われる」
「農村でさえもお金を持ち始めていますからな。最近はガムシロップもよく売れているそうで。町人がお金を使いだしたのと、村人も備蓄分のお金以外を使い始めたのが大きいでしょう。その分は税収に反映されますから。結局はそちらの税収で色々と賄えてしまうと言う事なんでしょうな」
農村からは一定の量しか税として納めて貰っていない。作物の割合ではなく、量で決めている。例え不作であっても、豊作であっても同じ量なのだ。まあ、そもそも不作にしかならないような土地で、豊作になっているのだから、もの凄い量の作物が農村に残っているのだ。それを各商会が買い上げて、塩漬けにし、俺達が買い上げる。それで商会が潤ったところで、利益の何割かを税金で納めて貰っている。商会からの金額は割合になっているんだよ。今まではそれでも少ししか払わなくて済んだのにも関わらず、今は膨大な金額を税金で納めて貰っている。それでも各商会はかなりの利益になっているのだから、儲かって仕方がないだろう。これも魔物村からの物資は無税にしているからだ。各商会に分配しているが、仕入れも金額が発生しないのだ。ここで税金をとなると、魔物村からの税収をどうするのかという問題も出てくるため、別にそんな所で回収する必要も無いだろうという事で、こういう取り決めになっている。
商会は商売をするだけで、儲けが出て笑いが止まらないはずだ。仕入れに金がかかっていないのだから、売れば売る程お金が入ってくる。しかも殆どが外貨なので、この町の財政は本当に安定しているのだ。寧ろ他の町を支援できる域にあると思っている。支援するつもりなんて無いけどな。どうしてもと頼まれたら、考えないでもないが、それまでは支援する気にはならない。俺はマセルとその管轄の村の代官なのだ。自分の管轄が良ければそれでいいんだよ。それ以上の事は、領主である父が考える事なのだ。俺がわざわざ考えてやる必要はないんだよ。どうせ領主にもならないんだ。俺はこの場所で好き勝手に出来れば良いんだよ。
「しかし、本当に戦争が起きますかな? 起きないとは思わないですが、そこまで早いですか?」
「解らん。戦争が起きた場合、どう考えても今のままだと負ける。だから伸びて欲しいのは確かだ。だが、楽観視も出来ないだろう? 来ると思っていなければやられてしまう。いつ来てもおかしくないと思っておかねば潰れるからな」
一番怖いのが戦争だからな。今の戦力で何処まで出来るのかだ。出来ないことは出来ないと言わなければならない。それでもやる必要があるから、何とかしなければならないんだけどな。