可能性は研究してみないと解らない
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夏。いつも通りの夏だ。適温よりも少しばかり暑いくらいの季節だが、開拓はもの凄く順調に進んでいる。去年は1.8倍程度に広がったのだが、今年はもう少し広く開拓が出来そうだという報告が上がってきている。それもこれも道具が充実してきたというのが上げられるな。去年もしっかりと道具を用意したつもりだったのだが、それでも足りなかったのだ。今年はしっかりとそれらも補充してある。今年は2倍にはなるのではないか、そう思わせてくれている。
それと、魔物村からさらに賢狼人等の種族を受け入れているのが大きい。全体で1500体程度が町で暮らしている。貨幣の使い方に難儀をしていたが、覚えればなんとかなった。まあその気になれば、森の中に入って食料を調達出来るだけの力を有しているので、貨幣なんぞ無くても生きていけるとは思うが、こうやって暮らすと人間に紛れ込むことも可能だと教えられたのは良い事だろう。潜入調査をやらせる人材が居るのかは知らないが、もし出来るとしたら、ゴブリン系統の鬼人になるだろうな。もっとも、適性的には攻撃こそ力って感じなので、諜報には向かないんだけどな。
がっつりと開拓をしてやれば、麦やその他の野菜の収穫量も上がる。それはもの凄く良い事なんだ。今では春野菜の塩漬けも作っているくらいには収穫量が上がっているらしい。アンデッド農法が漸く軌道に乗り始めているようだ。アンデッドも頭が悪いだけで、物覚えが悪いだけで、出来ない訳では無い。覚えさせればしっかりと覚えるのだ。しかもアンデッド同士、何かと共有してくれるので、1体が出来る様になれば、知らない内に伝播するんだ。それが漸くと形になってきたんだよ。春野菜もしっかりと塩漬けにしておけば、3年程度は長持ちする。それで戦争を乗り切れたらなとは思うんだが、なるべくは戦争をしたくはない。が、戦争の未来しか見えないのが問題だ。
今では甘味でも食料には代わりが無いとして、多くの町からガムシロップを購入しに来ている。それでも供給量はかなりの量があるので、なんとかなっているが、流石に言い訳が苦しくなってくるかもしれない。ただ、他の食料品については売っていないので、甘味だけあってもという感じなのだ。まあ、カロリーには違いが無いので、多少の延命には繋がるんだけどな。色々とミネラルも入っていることだし、単純に何も食べないよりは生きられる。これをゴールドレッド子爵家だけで回しているのかは疑問があるがな。それなりの量を買っていっているが、これと食料を引き換えに、他領で売買をしていたら、流石にこちらの知らない事だ。問題が大きくなったとしても、本家や兄たちに責任を転化できる。そもそも食料に困っているのに、他の町に無心に行く方が間違いなのだ。
こちらは甘味だけはなんとか生産できているが、という言い訳が出来る。春野菜についても、代官権限で大きく買い取っているからな。それを加工するのは各商会なのだが、保管は代官屋敷で行っている。まあ、備蓄として備えておいてもおかしくないから問題無いのだ。まあ、その分塩を使う訳なんだけど、それに関しては沿岸国という強みがある。塩に関しては問題なく生産されているのだ。多少、無駄に買い付けても問題ない。これが内陸国であれば、文句も言われるんだろうが、そもそも王族が塩の供給に関わっているため、塩だけは本当に潤沢にあるので、何も疑問には持たれないだろうとは思う。
「しかし、食料の安定供給がされているのは良い事ですな。春野菜がしっかりと領地に入ってきていることが素晴らしいです。……聞くところによればですが、他の領地は春は除雪だけで終わってしまい、麦の収穫まで間に合うかどうか解らないそうです。なんとか小さく耕して麦を植えたところもあるそうですが、大半は夏場なのに雪が残っている状態であるそうです。如何にこちらが恵まれているのかが解りますな。使わなかったのが何故なのかと問いたくもなります」
「そもそもだ。スライムをテイムして何が出来ると思われていたのが原因だ。まあ、それ以前にテイムなど、穀潰しを増やすだけだと思っていたのだろう。実際にその通りだからな。だが、大規模で運用すれば、こちらにも旨味があり、かつ魔物も強くなっていく。良い事ばかりだな。それに、死霊魔法については、気味が悪い等の理由があるのだろうが、生きるのに必死の農民には関係ない話だ。気味悪かろうが、使えるのであれば使った方が良いに決まっている。全てはアンデッドは気味が悪いものだと決めつけた貴族が悪い。使えるのであれば、使った方が良いのは自明だ」
「……その通りですな。テイムに関しても、死霊魔法についても、研究らしきものはされていたようには思いません。私もテイムは基本的に食費が必要な戦力が増えるだけで、しかも大した役にもたたないと聞かされていました。死霊魔法については、そもそも覚える事さえしませんでしたからな。どちらも代官には必要の無いスキルだと思っておりました」
「それは仕方のない事だ。俺とてギフトが今のものでなければ、同じことを思っていた可能性がある。それを責めるのは筋違いだが、本家には研究をしてもらいたかったとは思うな」
当然だが、テイムや死霊魔法が使えないなど、思ったことはない。転生してから色んなスキルを試してきたが覚えられなかった。それでもなんとか覚えたのがテイムと死霊魔法だ。前世の知識を活用してみれば、これらが使えない扱いされている方が珍しいだろうと思っていたのだ。聞けば、アンデッドなんぞ汚らわしいなどと言う始末。見た目で判断してはいけないというのにだ。そもそも限界地域で生きているのだから、使えるものは何でも使うべきなのだ。それを気分で使わないというのが心底信じられなかったものだ。
テイムに関しても、ゴブリンなんぞは役に立たないと思われても仕方がないが、フォレストウルフなんて、狩りにうってつけの魔物だと思うぞ。それこそ1体居るだけでかなりの戦力差になってくる。索敵に攪乱、騎乗も出来れば、群れを飼って集団戦闘も出来る。色々と使い道はあっただろうと思う訳だ。そして、スライムだな。そもそもテイムは維持費がかかるから論外と判定するのであれば、スライムはそもそも飼うのにもコストはかからない。何故に研究しなかったと言いたい。何かに使えるかもしれないと思うだけで、町の衛生環境はがらりと変わるのにもかかわらずだ。
その所為もあるんだろうな。行商に来る商人の中には、何かが違うと違和感を感じている者も居たそうだ。レッタニンからも報告を受けているが、恐らくは町の臭いだ。領都は今のこことは比べ物にもならないくらいに臭かったのだ。何年も住んでいれば慣れるが、慣れた場合、その違和感にも気が付かなくなる。レッタニン曰く、行商に行くたびに思っていたことらしい。スライムを飼い始めて一番初めに感じたことが、臭くなくなったであると。
魔物も使い方だ。道具もそうだが、使い方を間違えば害にしかならない。今のこの町の状況は他の町よりも良いものになっているだろう。それはこの町の住民も、スライムを受け入れたからだな。初めは汚物処理から入り、今では雪かきも手伝ってもらっている。無くてはならない相棒的な存在になって来ているのだ。スライムがだと思うかもしれない。しかし、劇的に生活を変えたのはスライムのお陰なんだ。魔物の恩恵を誰もが受けている。それを研究しないなんてもったいないほどにな。