釣り針にかかった
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「ぐふふふふふ。上手く釣れました。面白いように引っかかって釣られて行きました。メイプルシロップも相当量吐き出しましたが、それ以上にガムシロップが面白いように売れましてな。こちらは笑いが止まらない有様です」
「そうか。引っかかったか。ならば継続的にガムシロップを卸すように言っておかないとな。領都からのお客さんに沢山のお土産を買ってもらったのだ。もっともっと買ってもらわなければ困る。それと、各村にも売れているか? そこまでの量は売れていなくても構わん。少量だけでも売れているのかが知りたい」
「ええ、それにつきましては他の商会とも上手くやっておりますれば。流石に商人に売るときほど暴利は貪っておりませんぞ。格安と言っても良い程度の値段で売っておりますとも。それと、町の人にも好評ですな。甘味はそもそも貴族様のものというのが強いものですから。今までは果物程度しか無かったものが、新たな甘味が出来て、喜ばしいと思っているかと思われます」
「そうか。売れているのであれば大丈夫だな。食料に関して、探りを入れられているのか?」
「そうですな。少々強めに探られておりますれば。そもそも、この時期に雪が殆どないという状態に持っていっているのがマセルになります。他の所ではそもそも、まだ雪が溶け切っていないでしょう。その情報だけでも十分かと思われます。被害は無かったというのが真相なのですから、何も間違っては居ないでしょうな。それとも、被害があると答えたので?」
「いや、そんな馬鹿な事はしていない。被害状況に関しては、ちゃんと報告してある」
誤魔化したのは食料の事だけだ。それもまあ、そこまで大嘘を書いたわけでもない。足りないのは戦争を見越しているからであり、生活するだけなら何も問題ないとは言っていないからな。しかし、早ければ2年後には戦争なんだ。準備は早いに越したことはない。せめて村の大開拓が終わってからの侵略にして欲しいものなのだがなあ。そんな理屈は向こう側には通らないだろう。
しかし、それ以上に領都の商人が早く動き過ぎている。これは本格的に領主である父から命令が入ったと思ってもいいな。思った以上のメイプルシロップが集まらなかったために、ここまで商人を来させたんだろうと思う。しっかりと大きな釣り針が見えているにも関わらず、食わなければならない状況を作っての事にはなったんだが、食いついてくれて助かる。これで、レッタニンたちも舐められずに済むことになるからな。行商に向かうだけで、こちらに来ないのであれば、上下関係が出来てしまう。それはこちらとしても望むところではない。
「これで領都とは対等に話が出来るようになるだろう。レッタニン、他の商人もちゃんと巻き込んでおけよ? ここからが本当の勝負になるんだぞ?」
「解っておりますとも。このレッタニン。既に手を回しておりますれば。後はガムシロップの入荷を待つばかりですな。それに関しては3日後にまた来てくれるのでしょうから、心配はしておりませんとも。何とも、ダンジョンとは凄いものですなあ」
「まあな。運が良かったと思わないといけない。……それと例の盾だがどうだ? 仕上がったか?」
「ええ、ええ。仕上がりましたとも。……こちらが頼まれていた盾になります。ミスリルも渡されておりましたからな。加工には苦労したらしいですが、なんとか物になったと伺っております。家宝にするには、少しばかり飾りっ気が無いとは思いますが」
「いや、これ以上に目立つようだと、本家に取られてしまう。この位で丁度いいんだ。職人には礼を言っておいてくれ」
「畏まりました」
これで見栄えは問題ない。まあ、飾りになるだけなんだけどな。流石に使うような事にはならないとは思う。俺は使えないからな。そもそも拳で戦うのが俺のやり方だ。盾なんて使えはしない。まあ、拳に関しては、剣とでも戦えると自負しているが。鍛えているのが魔物だけだと思うなよ? 俺だって鍛えられるところでは鍛えているんだ。まあ、武器を持った黒鬼ならまだまだやれると言う事が解っている。それだけでも十分な戦闘力を持っていると言ってもいいだろう。
さて、この町の現状は商人を通じて本家に伝わるだろう。何処まで信用してくれるのかだが、報告を信用するのかと言ったら、するしかないのが現状だ。こちらを疑い、被害があるのではないかと早めに商人を動かしたと言うのも、理由の1つだとは思う。それで本当に被害が無かったのだから、報告は正しいものだと言う事になるだろう。それでも食料について疑うのであれば、そもそも報告なんぞ信用していないという事になる。だったら役人を使いに出さないだろう。多少は信用しているが、被害が無いというのは嘘なのでは無いかと疑ったという事なんだ。2度目も疑うのであれば、心底領主としては失格だろう? 部下の報告を真に受けられないとなっては、領主なんぞ勤まらないからな。
まあ、今回はそれを逆手に取っている訳なんだが。これで領主が視察に来ることは殆ど0に等しい。これでゆっくりと内政を進められる。春も良い時期まで来ているのだ。そろそろ麦を植えないと、次の年の食料が無くなってしまう。他の町はまだまだ雪が残っているだろうと思われる。来年が色々と勝負の年になるし、再来年は最短での開戦だ。正直、国力だけで考えたら、敗北は必至だ。それをなんとか泥沼の戦いに持っていかないといけない。それが無理筋であったとしてもだ。
さて、こちらの動かせる手は少しばかり心もとない。なんとかして手札を増やしておきたいが、時間が圧倒的に足りない。まだばれていないと考える方が無理だ。既に敵国にはメイプルシロップの情報があると思ってもいいと思われる。今は水面下で色々と動いていることだろう。ならばこちらも動かなければならない。大敗北はするだろう。それを局所的な勝利で塗り替えないといけない。魔物の軍隊を用いる訳なんだが、正直なところ、まだ足りない。実力が2回りほど足りていない。人間と魔物とでは戦闘力に差があり過ぎるのだ。どう考えてもチートだろうと思われるユニークスキルとギフト。この2つがあるが故に、人間は魔物よりも強いのだ。冒険者はそれが揃っていなくても当然だが、軍隊は揃っていてもおかしくない。組み合わせでシナジーが生み出される事もあるだろう。そういう連中と戦うには、魔物では数が必要だ。それも圧倒的な数だな。生半可な数では弾き返される。こちらが押し勝つには、相手の戦力の100倍は用意しないといけないだろう。
まだ、雌伏の時だ。まだバレる訳にはいかない。時間はこちらに味方をする。出来る限り時間を稼がなければならない。強い魔物を待つのも1つの手だ。こちらには切り札がある。スノードラゴンを使えばある程度の戦力ならば跳ね返せる。それでもある程度までだ。親衛隊なんぞの存在があるのかは知らないが、精鋭部隊には負けると思っておいてもいいだろう。こちらも手札を充実させておかなければならない。色々と準備をしているつもりでは居るが……、まだ足りないだろうな。こちらの手札が弱い。小さな勝利も必要だが、望まれているのは、一点突破可能な戦力だ。それを準備しなければならない。
まずは魔物を進化させよう。取れる選択肢がそれしか存在しないのだ。出来ることを出来る限りやるしかない。こっちの戦力はどれだけ揃えれば良いのかが不明な所が痛いな。魔物対軍隊でどの位の力量差があるのかが解らない。だから100倍は用意しないといけないのだ。遊んでいる暇はない。