領都に報告は済ませた
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「どうだ? 魔物村の方については。何か変わったことは無いか?」
「問題ないな。思い思いに過ごせている。ただ、鍛練の相手がかなり厳しくなってきた。ダンジョンの魔物も育ってきている。中々に強敵だ」
「そうか。それは何よりだ。強敵と戦わなければ進化の道は閉じるだろうからな。ただし、負けるんじゃないぞ? 死んだらそれで終わりだからな」
「当然だ。生きて子孫を繫栄させる。それが我が使命だ」
「よし。それじゃあ向こうもよろしく頼むぞ」
龍人も人間の言葉を話してくれるから助かるな。行商というか、荷物を搬入しに来た龍人から色々と聞いていたんだけど、魔物村も早急に20か所を選んで建築に入っているらしい。まあ、ゴブリン系統もコボルト系統もサイクルがもの凄く早いから、あっという間に増えるんだよな。迷宮で修行という名の口減らしをしないと減らないんだ。その辺魔物は弱肉強食。死んでも関係ないって感じで居てくれるから助かるんだよ。まあ、死んでもらっても困る魔物もいるんだけどさ。出来れば子孫を残してから死んでほしい魔物も居るんだよ。大きくなるまでに100日とか必要な魔物も居るからな。大体100日で大きくなるのであれば、妊娠期間は50日程度なんだよな。子供から大人までの半分くらいになるかな。ゴブリンとかは秒で増える様なイメージがあるが。流石に進化していると、そこまで早くはないんだよ。
今日も肉と毛皮を大量に持ち込んでくれたからな。商人たちはホクホク顔で帰っていった。手工業もやっているし、結構食えている人が多いんだよ。最近は数を熟してきたからか、徐々に品質も上がりつつある。上位種の毛皮も準備出来ているし、かなりいい感じになってきている。……まあ、売り先がな。領都に売りに行くんだけど、あそこは混乱しているからなあ。そもそも商人がまだ機能していないらしいんだよ。領都から手紙がきたからさ。まあ、予想通りの感じではあった。
マセルの被害状況と農村の被害状況、食料の備蓄量なんかが聞かれたぞ。手紙だから本当の事なんて言うつもりはないが。木っ端役人を寄こして手紙で内容を伝えるとか完全に舐められているからな。被害は無し。備蓄も危険域って感じで書類を纏めてあるからな。それを渡したら役人が驚いていたぞ。何でもう把握しているんだって感じだったな。舐めて貰ったら困る。災害大国日本の国人、被害状況を迅速に確認するというのは常識だぞ? 冬の間に終わらせている。というか、今から把握しようとしているのはちょっと遅すぎないか? 異常が起きたらその時には既に動いていないといけないだろうに。父はちょっと危機感が足りないな。
こっちは原因の究明と解決までしているのにな。何が起きたのかって言うのも調査をしないと解らないだろうに……。貴族の嗜みじゃないのか? 俺が動いてなかったら春も来なかったとか言わないよな? 原因がなんなのかまでは解らなかったけど、メルカバに聞いたら直ぐに出てきたし。まあ、天候操作なんてどうあがいても厄介な魔物が出てくるだろうって思っていたけどさ。ドラゴンだとは思わんだろう?
大開拓の方も順調に動き出しているし、もうこっちは復興を終えて動いているんだよな。そうしないと今年の税が払えないだろうに。麦はそろそろ植えないといけない。夏までには植えておかないと刈り取りが間に合わないんだ。雪が降ってきたら流石に困る。税を運ぶ手間もあるんだから、なるべくなら雪が降っていない時期に終わらせておきたいと思うのが普通だと思うんだが。
それに、こっちにはスケルトンホースが引っ張る農具もあるし、速やかに畑仕事に取り掛かれるが、向こうは鍬に頼っているんだろう? 猶更急がないといけないんじゃなかろうか。流石に今年の税が無いのにどうやって食つなぐんだろう? こっちみたいに麦を貯め込んでいるのかね? こっちも貯めてはいるけど、1年間も農民を食わそうと思ったらまだまだ足りないぞ? それに農民が麦を持っていないという事は、町人も麦がないって事になるんだよ。農村で作っているんだから当然の事だとは思うんだが、普通の町人は食料を貯め込むのか? 麦だけは貯め込むんだろうけど……。他の野菜なんかは旬のものをその時々にって感じだろうからな。しかも今年の麦がないって状態には対応できないだろうし。
「デーデル、領都や他の町の動きはどうなると思うか、私見でいい、聞かせてくれ」
「そうですな。まずは食料の節約から始めるでしょう。それと冒険者に狩りを優先させて肉の確保をさせます。それで何とか1割の餓死者を出しつつも耐え抜くという方策になるかと。全員を救うのは無理でしょうな。そこまでの蓄えがあるのであれば別ですが。私も生きてきてここまでの大雪の経験はありませんし、備えていなかったとしても不思議ではありません。代々に渡っての申し伝えもありませんでしたし、数百年に1度の頻度でしか起きないのではないですか?」
「そうか。……スタンピードと似たような事だと思うのだが、違うのか?」
「スタンピードは沢山の魔物が襲ってくる災害ですし、今回のようにスノードラゴンが単体で問題を起こしていたというのは違う災害なのかなと。しかし、脅威ではあります。普通の魔物が大挙して押し寄せてくるのも大概怖いですが、ドラゴンとなると討伐できる人が限られてきます。しかも相手側の得意な場所での決戦になるんです。まず討伐に成功するかは解りません。そして、こちらを襲う可能性もある。放置しておけば大災害になる可能性もある。普通は軍隊を投入して何とかするべきことかと思います。子爵家の軍隊では足りない可能性が高いので、公爵家にお願いをする事になるんでしょうが」
「……。なるほどな。という事は父がこれからやろうとしていることは、公爵家に食料の懇願に行くという訳か」
「でしょう。この豪雪が何処までの範囲が対象だったのかは解りませんが、この近辺だけだろうと思うので、まず王都は無事でしょう。その周辺にある公爵家も無事である可能性が高いです。伯爵家は解りませんが、この近辺の子爵家、男爵家はかなりの打撃を受けたかと思います」
「となると、伯爵家が無事だとして、子爵家3つと男爵家4つもしくは5つが被害にあっている。面積としては4分の1程度だ。侯爵家からは引っ張り辛い。あそこは持っているだろうが、常に兵糧の管理をしているだろうからな。最後の最後まで出さないだろう。伯爵家も支援をしてくれるんだろうが、子爵家の方が男爵家よりも格が上だ。だからより上位の貴族家に支援を頼めと」
「そういう話になって来るでしょう。元より交渉でもなく懇願ですからな。何とかしてくれるかとは思いますが、心証は悪くなるでしょうし、メイプルシロップを要求されるでしょうな。公爵家にまで噂が届いていたのですから、確実に要求されるでしょう。その分、支援は手厚いでしょうが」
うーむ。まあ、流石にそうなるか。メイプルシロップは既に向こうの商会に卸してある。それをお土産に何とか支援をと言うしかあるまい。そもそも食料の備蓄が足りていればそんな事をしなくても済んだんだろうが。こっちは食糧支援は必要ないとは判断されるだろう。危険域という事は、まだ踏ん張れると思ってもらえると思う。まだレッドゾーンに入っていないんだ。まあ、普通ならばこの状況なら支援を受ける報告なんだが、ギリギリまで減らすと思われる。出来れば他家の支援なんて必要ないくらいの勢いで居たいんだろうが、そういう訳にもいかないからな。こっちは必要ないから、そっちで何とかしてくれればいい。