商人たちから聞き取り
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「さて、詳しい話を聞こうか。レッタニンはいつも通りだったとは思うが、他は今回初めて領都にいったところだろう? まあ、混乱の中に行ってしまったとは思うんだが、どうだった? まずは率直な意見を聞きたい。ああ、不敬だとは言わん。言いたいことを言え」
「ぐふふふふふ。では私から。こういうことは慣れているものからというのが通常。で、領都の様子ですが、大混乱と言った感じでしたな。まだまだ雪が残っていました。ここのように、殆どの雪が無くなっているという事も無く。というかですな、まだ半分の家は埋まっていましたな。門の前と道は何とかしたと言う感じでしたが、その他はまだまだ。屋根には大量の雪が残っておりました。雪の重みで家が潰されたところも多く、かなりの死者が予想されます」
「そ、そうだったな。こっちも何とか店を紹介してもらえたが、向こうは商売よりもやることがあるだろうって内心では思っていたんじゃないか? 俺達には関係ない話だとは言え、見ているだけでも大変なことになっていたからな……」
「ああ、こっちはなんというか、雪が積もる事も少なくなってきたくらいだ。主にスライムが雪を食ってくれるお陰なんだがな。今までテイムしたことなんて無かったが、これを機に覚えようかとも考えた。スライムって便利だったんだなって」
「俺はそれよりも町の臭いの方が気になった。……お前らは気にならなかったのか? こっちの町でも3年前はあんな感じの臭いがずっと付いていたんだ。慣れていたってのもあるんだろうけど、あんなに臭かったのかって思った。多分、夏場もあれなんだろう? あれじゃあ飯の味も解らないんじゃないのか? 平気で居られる方がおかしいって感じた」
「あの臭いな。慣れてたってのもあるんだろうが……、ちょっと前はあんな感じだったんだな。あれに慣れすぎてたんだろう。今だと多分だが、耐えられない。汚物処理の場所の様な臭いがしてたからな。昔はあんな感じだったんだっけか?」
「そうだぞ。昔はもっと臭かった。道にも落ちているくらいだったしな。今はスライムが掃除をしてくれるから臭いも気にならないが……、なあ、代官様。スライムをトイレに放り込んでおいても良いのか? 持っていくのも面倒になってきたんだが……」
「ん? スライムの事か? それは構わんぞ。大体のスライムはテイムされていない。テイムされているのは半分くらいだ。後は勝手に増えていくからな。テイムして捕まえて、トイレに放り込んでも構わんよ。偶に這い出てくるんだろうが、それの面倒さえ見てくれれば自由にしても構わん。テイムを覚える手間だけで済むからな。才能があれば、そこまで苦労はしないだろう」
「そ、そうなのか? それじゃあ1体貰っていこうかな。……っとと、それと町の様子だったよな。なんというか、悲壮感が凄かったな。まあ、あの大雪の中、悲観しないで居られるのかって言われたら難しいかもしれないけどよ」
「そうだな。明らかに人の気力が無かった。もっと威勢よく雪かきもした方がいいと思うんだがな……。無理にでも声を出さないとやってられないと思うんだが、何で黙ってやっているんだってのは思ったな」
「ぐふふふふふ。あれでは立て直すのに暫くはかかりそうですな。後30日程度は雪かきに追われるでしょう。自分の家だけでも精一杯なのに、他の家の雪もどうにかしないと、自分の家が潰れかねないですからな。それが解っているからこそ、黙々と作業をしていたのでしょう。声を張ると、あの雪の量でしたら崩れますからな」
「あ、ああ。そういう事か。雪崩が起きる可能性があるのか。それで自分の家が潰されると、堪ったものじゃないな。そうか。だからあんなに静かにしていたのか」
雪崩なあ。起きるのは大体雪山とかなんだけど、雪かきでも起きる時はある。終わったと思って大声を出したら、他の家の雪が落ちていったなんてこともあるくらいなんだ。雪の量によっては、大きな音は厳禁なんだよ。それは雪のある場所で育っている人でも、偶に忘れてやらかすことがある。山みたいな事にはならないが、雪の塊が家の屋根に落ちるだけでも穴が開くか、下手したら潰れかねないからな。屋根に熱線が入っているのであれば、ある程度傾斜を大きくしておいたら良いんだけど、屋根に登って雪かきをしなければならないのに、思いっきり傾斜を付けるのは厳しい。まあ、平坦な屋根なら確実に潰れているんだけどな。
「でも、それでも悲壮感があったのには変わりないだろ。なんか、色々と終わったみたいな顔をしている奴が多かったぞ? あれは何でなんだ? 雪かきをしなきゃならないのは確かにご愁傷様だとは思うが、それは毎年の事だろ? 俺達だって屋根の雪は降ろすんだしよ。あそこまで絶望するか?」
「……するだろう。多分だが、食料が底をついているんじゃないか? 寒いのに食事を少なくするのは自殺行為だ。何とか生きるために食べないといけない。それで備蓄を全部食いつくしたんだろう。これからどうするのかって話になってくる。領都であれなんだ。他の町や村も同じって考えると、食料が圧倒的に足りない。……この町はまだまだマシだ。鱗人が魔物村から肉を大量に持ってきてくれていたし、それを安く売っていたからな。食料には余裕があるだろ? 寒かったけど、食べるのには困らなかった」
「ぐふふふふふ。そういう事ですな。マクシミル様の事ですから、既に村の方にも手をかけているでしょうし。生肉以外にも塩漬け肉がありましたからな。あれを農村に回している事でしょう」
「それは当然だな。今回の事を受けて一応は食料を確保してあった。それに関しては既に届けてある。まあ、それでも10日分程度の肉でしかないがな。それでも500人かける10日かける6か所だ。相当量の肉を配ったとは思っている。税を取ったのだ。それを返すつもりで支援はさせて貰っている」
「でしょうな。……この町とそれに付随する村は恵まれている。代官様でここまでの差が出るとは、このレッタニン、思いもしませんでした。本当に感服いたしております」
「止めろ止めろ。俺に出来ることをしたまでだ。結局は発想が出てくるのかどうかだ。俺にはテイマーとしての素養があったし、何よりも広大な土地もあった。そこで実験しただけに過ぎない。その成果を上手く還元できたのは大きなことだろうとは思う。だがな、それでも民にやる気が無ければこうはなっていないんだよ。代官だけで変わる訳では無い」
これはその通りだ。代官があれをしろこれをしろと言ったところで、やる側の民がやる気なしではどうにもならない。とりあえずやってみるかとでも思ってくれない事には何もならないんだよ。異世界転生物でよくある疑問だ。なんで大の大人が子供の言う事を聞いているのか。普通はあしらって何もしないんじゃないのか。そう思う事もあるだろう。だが、俺は代官だ。やろうと思えば強制できる立場にある。だからこそ無茶を押し通せたし、受け入れる側も行動しないと代官から何かを言われたりされたりする可能性があったのだ。仕方なくで動いた結果と言える。
騙されてみるかと思った奴もいただろう。だが、結果がついてきた。これは俺の実績になる。今後は、あの代官の言う事なら良い事なんだろうと言う下地が出来たんだ。それでもまだ土台には足りないと思う。整地が済んだ程度の事だろう。ここから積み上げていかなければならないと思うんだ。まだまだやれることはあると思う。皆がついてきてくれるのかだけが問題なんだが、1度は成功しているんだ。2度目もと期待する人は居てもおかしくない。