まだまだ冬は続く
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冬はまだ終わらない。雪が少なくなっただけで、雪が降らない訳では無い。今もまだ降り続けているが、農村の方を心配した方がいいだろう。そんな訳で、テイマーを募集して農村の方の雪かきを頼んだところだ。臨時報酬として、マットゴートの冬装備一式を渡した。前渡しだな。そうでもしないと寒くてやってられないだろう。高級品とまでは行かないまでも、かなりの防寒対策が出来る。自分たちで作ったものだが、それを報酬とした。勿論終わり次第、金の方も弾ませて貰う。今回の災害は本当に酷いものだったからな。他の領地はどうしているんだろうか。死人がかなりの数出ているとは思うが、マセルの代官である俺には関係ない。
一応、農村部に役人も遣わせて、今回の災害での被害状況を確認しに行っているが、そこまで酷いことにはなっていないはずなんだよ。スライムもいるし、なんならアンデッドで雪かきも出来るからだな。アンデッドを使って屋根から雪を降ろし、スライムが雪を食べる。これで何とか持ちこたえていると思われる。保険でテイマーを送り出しはしたがな。
書類の作成もしなければならない。これだけの大災害だ。領主である父から被害状況の確認の為に、書類を寄こせと言われるだろう。それを纏めておかなければならない。……ただ、馬鹿正直に書く訳にはいかない。被害なしとは書くが、備蓄がどのくらいあるのかなどは誤魔化しておいた方がいいだろう。そうしなければ供出しろと言われるだろうからな。こちらとて、必要だから貯め込んでいるのだ。それを吐き出すのは勿体ない。吐き出すのであれば農村部に使うし、町人の方に使うべきだ。守るべき対象を間違えてはいけない。俺はマセルの代官なんだ。マセルのために行動するが、それ以外の領地の事に関しては、他の代官が上手くやるだろう。
自分の任されている領地をしっかりと立て直す。それでいいんだ。他の領地の事は考えなくてもいい。それは領主である父の仕事だ。俺の仕事ではない。見捨てるとかそういう訳では無い。領分を弁えているというだけなんだ。預かっている命はしっかりと守る。余裕があれば手を貸すが、余裕が無いように見せておく方が良い。ただ、支援が必要ない程度には見せておく必要がある。
「デーデル。ここの数字はもう少し下げておけ。この数字だと供出をしなければならなくなる。ギリギリまで下げろ。被害の方は出ていないのだから、既に支援は終わってるという体でいくからな」
「本当によろしいのですか? こちらにはまだまだ余裕がありますが?」
「構わん。父も解っている可能性があるが、余裕はないが支援は必要ないという数字でいい。まずは自分の手の届く範囲を守らねばならない。今回の大雪で、畑が痩せた場合の事も考えなければならないのだ。税収が減れば、貯蓄から切り詰めなければならない。そもそも有事の際の兵糧として集めているのだ。災害も含めてな。それを他の領地に持っていかれることはあってはならない。……守る対象を間違えるな。いいたいことは解るが、全員を救うのは無理だ。俺達もそこまで備蓄を持っている訳では無い」
「……解りました。あくまでも私たちはマセルの役人だという事ですな。それは良いのですが、本当に被害はこれでいいので? 全くなしという事も珍しいとは思いますが」
「ああ、被害は無しでいい。切り抜けられたという事にしておけ。向こうが人夫を寄こすと言ってきた場合に断りたいからな。流石に全くなしではないんだろうが、報告が必要な程に傷んだ家も無いだろう。それと、春になったら補助を出す。それで屋根の修理やなんやらをやって貰う。大工には働いてもらうが、こればかりは仕方があるまい」
「それは、そうでしょうな。この際ですから、隙間風があるような所も一斉に補修させましょう。魔物村がありますので、薪も木材も余裕はあります。食料に関しても、肉類が豊富にありますし、備蓄麦もあります。次の冬が例年通りであれば、何とかなるとは思いますな」
「……2年連続でドラゴン退治は勘弁願いたいな。こちらは戦力となる魔物を大幅に削られたからな。まだまだ村としての機能は十分にあるとはいえ、減らされたのは痛い。メイプルシロップの採取量も増えるとは思うが、こればかりは解らんからな」
とりあえずは冬を越してみないと解らない。どれだけ出てくるのかは不明だ。纏めて持ってくるように指示を出してあるので、小出しにしてくることは無いんだが、こちらとて多少は備蓄しておかなければならない。急な来客用に取っておくべきだろう。
しかし、ゴールドレッド子爵家でこれなのだ。レダント男爵家はもっと悲惨な事になっているだろうな。他の家も大変な事になっているだろう事は容易に想像出来るが、隣接しているレダント男爵家はどうなっているんだろうか。森すらも完全に埋まっていたのだ。被害が相当な事になっていなければ良いんだが……。父が支援として供出すると言い出さなければいいな。こちらも満身創痍のはずだ。
余裕があるのは俺の領地くらいだと思う。町にスライムを放し飼いにしている俺の領地は、多少マシと言った感じだ。スライムが雪も大量に食べてくれるので、本当に助かっている。大量に雪を食べると、その分分裂もするのだが、所詮はスライム。町人でも討伐出来てしまう。スライムは進化することも無いとの事なので、安心して放し飼いに出来るのだ。……某作品の様に、スライムに可能性が大きくあるのであれば、こんなことは出来ないのだろうが、この世界ではスライムはスライムで終わりなのだ。特段脅威になる魔物でも無い。
被害報告を作っているが、本当に被害が少なくて助かっている。自分の成果だとは誇るつもりも無いんだが、それでも乗り越えられたのは大きい。……ドラゴン討伐は本当に困った事件だったが、それも乗り越えた。春はやってくる。それまで待つだけでいいんだ。スノードラゴンを討伐出来ていなければ、最悪夏まで雪が溶けないなんてことにもなりかねなかったからな。……そんな事になったら、麦も育てられない。備蓄を吐き出すしか無くなっていただろう。あの時行くと決めた判断は間違っていなかったのだと実感できる。
その後、各村に送り出したテイマーたちが帰ってきて、役人たちからも報告を受けた。……畑はかなり埋まってしまっていたが、住宅に関しては特に問題なく、凍死者もいないとの事だった。それは非常に助かる。今後の事も考えると、死者を出したくは無かった。村の畑を倍にしていくのだ。人口はいくら居ても足りるという事はない。やはりスライムとアンデッドを使っているだけあって、生き残れる可能性は高いと思っていたんだ。その様になって良かったと思っている。
ただ、こちらでも屋根が少し傷んでいたり、隙間風が入ってきているので、薪を多く消費してしまったらしい。春になれば大工に補助を出してそれらの修理もしてもらわなければならない。幸いにも税金は余っているのだ。潤沢に使ってしまっても構わない。多少赤字になっても良いのだ。こういう時に使わなければいつ使うのか。金の使い時は間違えるわけにはいかない。領民の命に関わってくるからな。死者は出来る限り少ない方が良い。今年の畑仕事も頑張って貰わないといけないのだ。人口維持は大切。しっかりと働いてもらう必要がある。食料は余るくらいで丁度いいのだ。余って腐らせるのは勿体ないかもしれない。だけど、こんな雪国で食料が足りないなんて事はあってはならないんだ。