異常な雪
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ちょっと今年の冬は異常だ。雪が降り過ぎている。町の中はスライムがいつもの通りにどんどんと雪を食べてくれるんだけど、町の外が酷い。石で作られた外壁のすぐ横まで雪が積もっている。5.0mくらいの雪が積もっていることになるんだけど、これは異常だ。何が起きている?
「デーデル。今までの経験で教えて欲しい。こうなった事はあるか?」
「……ありませんな。余りにも雪の量が多すぎます。幸いなことに、町の中はスライムが大量に居ますので、雪で埋もれていないですが、この分だと他の村や町が気になる所ですね。村にも多くのスライムが配置されています。ですから、生きているとは思いますが、他のスライムの有用性を知らない町なんかは……。最悪は全滅ですな」
「だろうな。過去にないほどの大雪か。これが示す所はなんだろうな?」
「北の森に何か、異変が起きているのではないかなと。それも突然変異の様な何かが起きている可能性があります。どうされますか?」
「どうするもこうするも、これが魔物が原因で起きているのだとしたら不味い。早々に手を打つ。暫くは留守にするぞ。いつもの鱗人の連絡便で魔物村の方に行って来る。何かしらの問題が起きていた場合は対処してくるぞ。10日は留守にすると思ってくれ」
「……解りました。幸いにも書類仕事は殆ど終わっています。無事に帰ってくるように願っております。では、旅支度ですな。保存食やその他のものに関してはこちらで準備をします。服装に関しましてはお願いしても?」
「解った。出来るだけ寒さに強い服装で出る。……マットゴートの冬装備を一式揃えておいて助かったな」
こうなったら仕方がない。何が起きているのか調査をしなければならない。動けるのは俺だけだ。兵士ではついてこれまい。何の魔物かは知らないが、緊急事態だ。こんなことは生まれて初めて。デーデルも初めてだという。異変が起きたのであれば、何なのかを突き止める必要があるんだよ。それが代官ってもんだろう? この町の異変を放置は出来ない。
「マクシミル様、どちらへ?」
「エルナンデスか。この度の異変を解決しにだ。北の森で何かが起きている可能性が高い。それを解決しに行く」
「お1人ですか?」
「勿論だ。俺以外に適任が居るか?」
「……おりませんな。わたくしもと言いたいところですが、足手まといにしかなりません」
「誰が付いてきても同じだ。冬装備一式を用意しろ。大至急だ」
「畏まりました」
直接戦闘が出来るのかどうかは解らない。そもそも魔物かどうかも解らない。だが、ここまでの異変が起きているのであれば、何かしらの魔物が原因となっている可能性が高い。それならば俺が倒すか、テイムをするかだな。テイムできる魔物であれば良いんだが、そうなる可能性は低いと思われる。ここまでの相手なんだ。余裕でテイムできましたって展開にはならないだろう。しっかりと討伐をしてしまわないといけない。何の魔物なのかは知らないけどな。
冬装備を着こみ、いつもの時間に鱗人の橇が来るのを待つ。そこにはいつもの顔ぶれがある。この町の商人たちだ。勿論だがレッタニンの姿もある。こちらを確認したのか、少しばかり急いで駆け寄ってきた。
「その装備と言う事は、もしやこの異常事態を解決しに、ですか……」
「そうだ。まあ、見た通りだ。……マットゴートの装備一式が無ければやろうとも思わなかったかもしれないがな。俺が行くしかないという考えだ」
「そうでしょうなあ。貴族教育を受けておられるマクシミル様にしか無理でしょうな。……ダンジョンコアの事もありますし」
「そういう事だ。最悪の事態を想定しておけ。魔物村との交易は無くならんだろうが、俺が帰って来ない可能性がある。その時はデーデルとまた上手くやれ。まあ、死ぬとは思っていないがな」
「ぐふふふふふ。私は生きて帰ってくることにベットしましょう。原因を突き止めて帰ってくる。そして、その素材を扱えることを楽しみにしております」
「ああ、期待していろ」
かなり危険な賭け事だと思うが、レッタニンには勝算があるのだろうか。……いや、ダンジョンコアを手にしているのだから、長期戦になっても何とかなると思っているのだろうか。勿論、ダンジョンコアであるメルカバは連れていく。戦力の補充は大切だからな。どう転んでもメルカバを連れていかないという選択肢はない。徹底抗戦をするつもりなのだ。それこそ、全戦力を費やしてでも勝ちに行くんだよ。甘えは許されない。
そして、いつもの時間にいつも通りやってきた鱗人。寒そうにはしているが、何とかなるんだろう。爬虫類って思ったら駄目なんだよな。これでも哺乳類に進化しているんだから。進化でいいのかは解らないけどな。どちらが上なのかは解らないから。
「すまんが俺も乗せていけ。村にそのまま帰ってくれればいい」
鱗人は解ったと言う事で橇を走らせる。魔物村に行くのは冬が明けてからになる予定だったんだがな。こうなってしまっては仕方がない。ついでに色々と確認もしておくか。戦力になりそうな奴らを連れていかないといけないしな。数は力だ。全力で相手をする事になるだろう。その為の戦力を集めて一気に攻略してしまわないといけない。
村に辿り着いたら、直ぐにメルカバと話をしないといけないな。心当たりがあるのかどうかを聞かないといけない。心当たりがあるだけでも話が変わってくるからな。ここまでの事をやってのける相手なんて限られると思う。それを知っているのかどうかだ。知っていれば話は早いんだが。
そして、難なく魔物村にやってきた。……スロープを作って上り下りが出来る様にしていたのか。なるほどな。これなら橇でやってくることも可能だ。体重が軽いスケルトンホースだから割と簡単に雪の上を走るが、重いとどうなるんだろうな? 5.0mの積雪だ。行動可能な奴らが居るのかの確認も必要になってくるだろう。まあ、それよりもメルカバの所にいかないとな。
『あれ? 珍しいね。まだ外では雪が降っているんじゃないの?』
「ああ、異常な程にな。過去に例がないくらいには雪が降っている。……可能性として、魔物が起こしているという可能性は無いか?」
『ああ、そういう事。可能性としてはあるよね。僕も登録してない魔物の事だから詳しくは言えないけどさ。天候を操るってなってくると、確定じゃない? ドラゴンのどれかでしょ』
「……やはり、そうなって来るか」
『だと思うよ? 少なくとも、天候に影響を与える存在なんて、ドラゴンくらいしか居ないと思うし。けど、ドラゴンだとしてもだよ? 普通は山に居るよね。この辺って森じゃないか。近くに山はあるのかい?』
「あるぞ。ここから西の一番端の魔物村からずっと奥に行ったところにある。単純に橇で移動しても3日はかかる。スケルトンホースの橇でだ。村の一番西まではどの位の時間がかかっている?」
『うーん。今の所だと橇で1日かな。アンデッドだし、休まなくても良いのは利点だよね。でも、それならニブルヘイムに乗っていった方が早いと思うよ?』
「ニブルヘイムってなんだ? どの魔物が進化している?」
『ああ、まあ、その辺から確認だよね。ちゃんと知っておかないと。情報は武器だっていつも言っているのは人間の方だしね。じゃあ、情報をすり合わせていこうか』
「ああ、頼む。正直どの位進化しているのかで、戦えるのかも決まってくるからな。ドラゴン相手だ。出し惜しみは出来ない。全力で相手をしてしまわないとな」
やっぱりドラゴンになるのか。そうなるんじゃないかなとは思っていた。予想通りだけど当たって欲しくない予想だったよ。ドラゴンが相手とか、そもそも不利なんだよ。空中にいる訳なんだからさ。どう頑張っても撃ち落とすには時間がかかる。それもかなりの労力をかけないといけない。さて、時間はあるが、どう解決するのかだ。