どうあがいても人口が足りない
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「現状を考えると、やはり人口を増やすしかない、か」
「でしょう。それを考えた上で、農村から町へとしっかりと移住してもらう計画を立てないといけないですし。農村の人口は、年間60人から80人ほど町へとやってくるんですが、定住するのは半分ほどですので……」
「そうだな。定住させる方法を考えなければならないが、やはり仕事か」
「はい。一番の問題はそこでしょう。採取の冒険者になるにしても、ある程度の知識は必要になりますし、年齢を重ねてから勉強をするという行為に抵抗がある人も居るそうですから。文字や計算を教えられる環境がそこまで良くないんだろうと思います。マセルの管轄では、昔から文字と計算は出来る様になっておくようにとの通達をしてあるので、1から教えないといけない手間は無いんですが……」
「しかし、定住してもらえないのは辛いな。どうにかして人口を増やさないといけないというのに、こちらの管轄の人間が出ていくようじゃあ話にならんぞ」
魔物人を迎えるのは良いんだ。それで人口が増えるのであれば歓迎する。だが、元々の人間が増えてくれない事には話にならないんだ。それもこれも産業が少ないのが挙げられる。まともな産業はもっと南に行く必要があり、そうなると国境を越えないといけない羽目になる。それは色んな観点から望ましくない。だが、北限近くのこの町で産業を興すとなると、中々に難しい。
結局はダンジョンを使った産業しか無くなるのだ。鉄鋼産業になるか、繊維産業になるのかだ。マットゴートを仕入れることが出来たので、今後は繊維産業を育てていきたいと思っている。その為に色々と商会に動いてもらっているんだし、それを主産業としつつ、農村の開拓を行っていくという柱で動いていくしかない。産業を作ると言っても、この程度しか思い付かないんだ。
電力がそもそも無い世界。魔石で魔道具という事も出来ない。考えに考えた末に行きついたのが繊維産業なんだ。マットゴートから大量の毛と皮を入手し、皮のコートや毛から糸を作り出し、毛織物を作ると。一応、この世界にも織機は存在するので、それで何とかするしかないと思うんだよ。……ただし、高級路線では売れない。それは他の貴族家の産業と被るので、知名度で考えるとこちらの産業が負ける。どうすればいいのかというと、値段で価値を見出すしかない。品質を犠牲にして量産し、価格帯を下げる。マットゴートは無限に取れるので、それはもう簡単に量産が可能だろう。
まあ、量産をするには人口が必要になるんだが、それは置いておく。人口が足りないのは当初から解っている事なので、魔物人の導入でどうにかするつもりで居るんだ。因みに、現在は鱗人が300人、狼人が200人程度村に居る。即戦力でも500人の人口が増えるんだ。これを使わないというには惜しいのだよ。しかも、魔物人は魔物としての特性もあるので、割と戦闘も出来る。本来であれば、村にも幾つかの家族を移住させたいんだ。村の防衛にも役に立つからな。
この冬でどのくらいまで増えてくれるのかだよ。魔物人の成人は早い。それこそ30日から50日程度で子供を産める体になる。妊娠期間も同じくらいで短いのだ。鱗人も何故か哺乳類に変わっているし、何なんだろうね? よく解らんのよなあ。卵から生まれてくるのは変わりないんだけどね。
魔物人のハーフは存在しない。どうあがいても違う魔物としか認識されないらしい。これはダンジョンコアに頼んで実験をやって貰った結果である。どうあがいても無理らしいんだよなあ。人間とはどうかは解らない。仮にハーフが産まれるのであれば、どういう感じになるんだろうか。もっとも、遺伝子的にあり得ないというのが回答だろうとは思うけどな。
「産業としては、安い鉄鋼業と毛織物で勝負するしか無いか。各地の名産品と並べてしまうと、どうしても品質に差が出てくるだろう。それは値段でカバーするしかない。大量に作って大量に売るという事を繰り返し、品質を上げて、知名度も上げていかないといけないだろう。マットゴートについては任せておけ。生息地を見つけてある。そこから運んでくることで毛織物産業を発展させていくしかないと思う」
「そうですな。産業を興すとなっても、その為の資源が無ければ始まりません。マットゴートが居てくれたのは幸いですか。それらをどんどんと狩ってもらって、毛織物と皮製品に加工していかないといけないでしょうね。職人の熟練したものとは差別化を計らないといけない訳ですが、それが値段と言う事になると、そういう事ですね?」
「そうだ。品質では絶対に勝てないのだ。ならば値段で勝負するしか選択肢はない」
安売りすると、名産品の方の値段も下がる事もあるが、そもそも貴族や裕福な家庭が買うものと、庶民が買うものとで差別化をするので、値段がと文句を言われることはないはずだ。そもそも技術が違うので、品質に大きな差が出てくると思われる。その品質に追いつくにも沢山作ってもらう必要があるんだが、まずは数を揃えないといけない。それを売り込むのは、商会の仕事だ。次の春はミットレント商会だけが取り扱う事になるんだろうが、その次からはもっと沢山の商会を巻き込んで大々的に売るつもりである。最低でも領都では売れるだろうと思う。皆寒いのは嫌いだからな。好きなのは、一部の物好きと子供だけだ。雪ではしゃぐ子供は尊い。
大量生産の為にも、色々と魔物たちには頑張って貰わないといけない。向こうで解体も何からをやっているからな。なるべく綺麗に保存してもらわないと。……その内、毛織物産業を染色産業と一緒にやらせたいとは思うんだけどな。染色に使えるものがまだまだ少ないんだ。今は白と緑と茶色がメイン。もっと明るい色を出したいとは思うんだけどな。中々に難しいんだ。染料も探さないといけないし、難しいんだよ。……一応、それらしいものは確保しているんだが、ダンジョンで大々的に採取をしなければならないので、まだまだ先の話になると思う。
「そうなると、商会に投資をしなければなりませんね。ミットレント商会だけでは足りないでしょうし、独占を許すのかという事にもなります」
「その辺はミットレント商会にも話は付けてある。来年の予算で、トナカイと馬車を用意してもらう。人手に関しては自前で用意してもらわないといけないだろうが、その位の事は自分たちでやって貰わないと困る。こちらが全てお膳立てする必要はない。用意をするための資金と知恵を与えてやればいい。そうすれば、大きな商会が幾つも出来る事になる。それが領地の延命にも繋がる」
「でしょうな。領地の運営を1商会に任せても良いのかという疑問はあります。それでは依存しすぎる。ミットレント商会も独占したいのでしょうが、今度は人手が足りないという事態に陥るでしょうからね。どうしても他者の助けを借りる必要がありますか」
「だと思うぞ。こちらが提示した時も、頷いて聞いていただけだからな。まあ、自分の商会も大きく成長することになるんだ。損をさせる訳じゃない。見方によっては損をしたと思うかもしれないが、それでも美味しい所は渡しているんだ」
まあ、それよりもダンジョンを持っているという事を知っているというアドバンテージがあるからな。こちらとしてはどうしてもミットレント商会を頼らないといけない様になっているんだよ。まさかバレるとは思ってもみなかったからな。他にはバレない様にしないといけない。気が付かれても仕方がないとは思うけどな。