アンデッドを上手く使いたい
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冬の中でも、魔物村からの肉の供給は止まらなかった。スケルトンホースが寒さをものともしないというのと、鱗人が割と頭がいいので、人間と交易できてしまうのだ。初めの内は俺もその場に立ち会って、食料の受け取りをしていたんだが、なんと鱗人が人間の言葉を覚えてしまった。これを機に、町人と鱗人だけで交易をしてもらっている。そのおかげで、俺の負担は確実に減った。とても良い事である。鱗人は中々に使える種族であるという事が解ったのは良い事だな。
そして、鱗人は魔物の言葉も解ってしまっている。意思疎通が難しいのは解っているんだが、その辺の頭の良さは素晴らしく、ゴブリン、コボルト、フォレストウルフ、スライムと会話が出来る様なのだ。……スライムと会話が成立するのが不思議なのだが、それは良い。とにかく頭のいい種族だという事が解ったのだから、それはそれで使い道があるという事なんだ。
それが各村の連絡係である。連絡をする事は色々とあるが、交易品を持ってくることも仕事の1つになるので、各村から肉を集めて、マセルに交易にやってくる。……交易というよりは献上に近いんだが、それは置いておくとして。とにかく、スケルトンホースを操り、馬車で交易をするのは鱗人の役割になった。
また、メイプルシロップも出来上がってきているので、どんどんと持ってきてもらっている。……大規模にやっているとはいえ、中々に量が取れない。これに関しては仕方がない所があるんだが、メイプルシロップは今後の外貨獲得の基礎になるので、沢山輸出していきたいと思っている。まあ、まずは子爵家全体に行き渡る様にしないといけないだろう。そこから領外に売りに行くべきだと思う。まあ、そこまでの大規模な商会があるのは領都だけなんだけどな。そこに売り込みに行くのだ。春になれば、その為の交易を始めないといけない。これに関しては、流石に鱗人を使う訳にはいかないので、人間でやるつもりなんだがね。金銭も発生するし、価値が解る人間でないと取引が成立しない。魔物との交易は利益を与えられるという一方的なものだからな。
そして、交易品はまだまだある。それが普通の品質の下級ポーションだ。ハイコボルトが作成に成功したらしいので、普通の品質の下級ポーションについては売り出す予定だ。今はこの町の商会で貯め込んでいる。その内領都に売りに行くのだ。低品質のものに関しては、領地内で使う事にしているので、安く流通させるつもりで居る。農村にも常時10本くらいは用意しておいてもらいたいと思っているんだ。何かあった時のために備えは必要だと思うからな。
欲を言えば高品質のものを用意したかった。しかし、1からの研究では難しい。もしかしたら何らかのスキルの補助が必要になるかもしれない。普通の品質でも十分と言える成果だと思う訳だ。魔物がポーションを使うというよく解らない状況になっているのは、何でなんだろうな。普通は人間が使うものではあるんだが。因みに瓶はダンジョンポイントで作っている。
高品質の下級ポーションもダンジョンポイントを使えば作ることが出来るんだが、そんな手段は最後だ。通常の作成でも作れるんだから交易品くらいはしっかりと自前で用意しないといけない。ダンジョンコアには役に立ってもらう時が来るんだ。戦争になった時、ダンジョンコアが本当に役に立つ。戦争にならない様に気を付ける必要があるんだが、備えておけば何も問題はない。備えておいて、使わないのであれば、それはそれで良いのだ。備えてなかったときに困るのは自分たちである。この位の危機管理はしておくべきことなのだ。
「それでは、ミットレント商会からの上がりが来るわけですか。春先にならないと領都にもいけないんですけど……」
「まあ、それは仕方がない。雪が積もっている状態なんだ。ある程度降りやまないと動くに動けないだろう。スケルトンホースのように雪をガン無視で進んでくる訳では無いからな。まあ、馬じゃないだけマシなんだが」
「トナカイですからね。橇なら何とかなりますけど、泊まる事が出来ないので、どうしようもないです。今すぐにでもお金が欲しいという訳では無いのでいいですが。ですが、スケルトンホースはいいですね。休むことなく走り続けられるのは利点です。道順も勝手に覚えてくれますし」
「ああ、アンデッドは便利だぞ。是非とも死霊魔法を覚えるべきだと思うがな。ただ、魔物の死体が必要になるため、どうすれば良いのかが問題なんだが。その辺の森にも居るには居るが、それを倒すのも冒険者の仕事となる。骨にも価値があるという事になると、冒険者ギルドの負担が大きくなる可能性もあるのか?」
「それは無いかと。冒険者ギルドも骨を売れるという事ですし。解体は面倒になるでしょうが、利益は出すでしょう。商人は欲しがるのではないかと思いますが。冬の間は何も出来ないですからね。それに、初期費用だけで、維持費が殆ど必要ないのが素晴らしいですよ。トナカイは餌も必要ですし、水も必要になってきます。寝床も必要ですし、アンデッドの方が便利ではありますね」
「問題があるとすれば、ある程度は非力だという事だな。その分、数で何とかしないといけない訳なんだが、数を揃えることも難しくはないしな。……一番の問題点は、アンデッドを受け入れられるのかという所だろう。それさえ何とかなれば、トナカイである必要は無いからな」
人間側の要素が大きいという事なんだよな。どうしてもアンデッドに忌避感を覚えるものなんだ。ここの商人はたくましかったお陰で、何とも思わなくなってしまったが、生理的に無理と言われたら、仕方がないんだよ。アンデッドも使い方次第なんだがな。
なお、魔物村では農作業もアンデッドにやらせている。アンデッドは食事も必要ないし、休憩も必要ない。農作業にはぴったりなんだがな。もはや何体のスケルトンが居るのかも解らないくらいには農作業をしているので、農村でも使えるのであれば使った方がいい様な気もする。死霊魔法が使える人間が必要になる訳なんだが、レアではあるが、珍しくはないんだよな。皆が覚えようとしないだけで。覚えられても生理的に無理という事もあり得るからな。出来れば農村でもアンデッド農法を確立したい所ではあるんだけど、無茶は言えないからな。まあ、単純作業しか任せられないんだけどな。それでも雑草の処理や水やりは出来る。活用したいのであれば、アンデッドを融通するんだがなあ。
「出来れば、便利にアンデッドを使って欲しい訳なんだが、雰囲気が墓場になるのも嫌だと思う。それが一番の懸念点だ。それさえ何とかなれば、農業ももの凄く楽な仕事になるんだがな……」
「魔物よりもアンデッドの方が駄目でしょうな。気持ちが悪い、嫌悪感がする、夜な夜な動いているのを見るのが怖い、等々。襲って来ないと解っていても、眠れない人が出てくるかと思いますね。政策としては良いものですが、人間の生活を考えると、却下になるのではないかと思います」
「まあ、そうだろうな。楽が出来るからと安易に受け取って貰えるのかという所はある。一応は春が始まったらやりたいかどうかだけ聞いて回ってくれ。やりたい所があるのであれば、積極的に広めていくから」
「畏まりました」
便利なんだけどな。楽が出来るのであれば、いいと思うんだがな。収穫は自分たちでやらないといけないが、雑草取りを任せられるのはいいと思う。真剣にアンデッド農法を採用して欲しいと思っているんだけどな。無理なんだろうか。