表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北方領地の魔王  作者: ルケア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/151

初手で決まり

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 準備は出来た。既に雪も溶けて落ち着いている。斥候たちが見つけてくれるのを待つばかりなんだ。ここからが勝負だ。相手の陣地は構築させない作戦で挑む。前回と同じだな。攻めてきたという実績だけで良いのだ。こっちが攻められたという話だけあれば、後は何をやっても構わない。それでいいはずなんだよな。多分だけど。


 斥候に見張りをさせて62日目。漸くと相手側が出陣してきたらしい。最寄りの町から出陣した姿を確認したのだとか。斥候が優秀過ぎてやばい。やはり空に出られるのは大きいな。地平線の先まで見通せるのは強すぎる。後は2日3日待てば、こちらにもやってくるだろう。それまでに兵力を展開しておかないとな。ダンジョンに命令文を放り投げる。そうすれば中からどんどんと魔物が出てきて、それで配置が完了する。展開するにも2日3日はかかるんだけどな。それだけの軍隊を動かしているという事なのだよ。流石に多すぎた感があるが、この位は必要だと思うぞ? どうせ後から出すことになるんだから、初めから出しても同じことなんだ。


 そして、展開しきった後、直ぐに突撃命令を出した。とりあえず相手の町までを占拠する。既に建前の時間は終わったのだ。後はひたすら攻めるだけ。ベルフェゴールの上から指示を出す。それだけで魔物たちは動いてくれる。まるで全てを飲み込む濁流の様にアントヒーローが進んでいく。修羅の出番はまだここではない。本隊が居る筈なのだ。前回と同じであれば、本隊がしっかりと居る筈なのである。そこに修羅をぶつける。修羅も強い奴と戦いたいだろうからな。負けるくらいに激しい戦いをしたいはずなのだ。相当に被害のデカい戦いを望んでいる。


 ……前哨戦は何事も無く勝利した。本当に何事もなく勝利に終わったので、町へと突撃をかける。ここからは占領しながら敵地を練り歩くことになっているんだ。苦戦らしき苦戦はしていない。ただ単純に質量で押し潰しただけなんだ。ここからが本番。本隊との決戦を待っているのである。修羅たちが待ち望んだ大戦争はそこにある。強い奴らと戦いたいという修羅たちの願いはそこで叶うはずなんだよな。多分だけど。


 そんな訳で、町の1つを確保した。まずは東の方から攻めていく。ここから沿岸部を目指して突撃していく。戦力の少ない町はそのまま飲み込まれて行く。魔物の軍勢を止められる戦力は無く。ただひたすらにアントヒーローが進んでいくだけだった。……14個目の町で、漸く本隊と思わしき軍隊を見つけた。漸く修羅の出番である。ここからは修羅に任せて経緯を見守る体制に入る。


 進みゆく軍勢に対応して展開してくる敵。それを待つのは修羅たちだ。全力で戦いたい。それが修羅たちの望む戦場だ。負けても良い。ただ、己の強さの証明をしたいだけだというのが言い分だ。俺はその準備をさせても勝てると思っているから準備をさせた。……こんな所で負けてくれるなよという意味もある。これからも蹂躙をしていくんだから、こんな所で止まって欲しくはない。幾ら強くても人間なんだ。1人ではどうしようもない。圧倒的な質であれば、この量でも弾き返せるのかもしれないが、それでも人間だ。限界は来る。


 修羅たちが準備の出来た人間の群れに突っ込む。待ってたとばかりに武器を振るう。アダマンタイトの武器を全力で振り切る。それを止められる人間は居ない。持っている武器ごとたたき切られて行く。修羅の蹂躙が始まった。この行く末を見るだけでも良いんだ。アントヒーローには待機命令を出している。今回の見せ場がこの場所なんだから。修羅たちの全力をこの目でしっかりと見ていたい。それは、エゴかもしれない。だが、これは邪魔してはいけないんだよ。


 武器が振られるたびに飛び散る人間だったもの。魔物の中でも戦闘に特化した者たちの戦闘だ。……正直、なにをやっているのかまでは解らない。乱戦だからな。全体を俯瞰してみているが、集中して見るべきところは解らないからな。1人、また1人と散っていく。それを見ているだけなんだ。修羅を止められる人間が居ないことにこちらは安堵しているが、修羅たちにとっては不本意なのかもしれない。血沸き肉躍る戦闘が無いという事だからな。押し込み、打倒し、どんどんと戦線をあげていく。


 だが、それも止まる場所があった。修羅たちと打ち並んでいる人間がいた。……やはりいたのか。こういう時の隠し玉が。その辺りだけ戦線を押し上げられていない。修羅が攻め切れていない。……楽しいのだろうな。修羅から歓喜の声が聞こえてくる。こういう戦いを望んでいたのだろうからな。圧倒的な個の戦いを求めていたんだろう。他の修羅たちに言ったら、嫉妬されそうだよな。それだけの戦いがそこにはある。10度、20度と切り結ぶ。これ以上は通さないと言わんばかりに攻撃を受け流し、反撃に出てくる。あの修羅は楽しいだろう。自分の全力を出すだけの相手が出てきたのだ。運が良ければこうなることもあると伝えていた。あの修羅は運が良い。人間の強い個体を引いたのだから。……居ない方が俺にとっては良いのは確かなんだけど、修羅にとっては今の方が状況が良い。これほどの相手と戦えたのだから。


 別の場所でも修羅が止められている場所が出てきた。しかも何か所も。……やはり強い人間を抱え込んでいるよな。何処までの人間なのかは知らないが、相当な手練れだと思う。俺も何度か修羅の相手を務めたが、防戦一方になるばかりだった。そもそもだが、決定打が無いので、防戦に回るしかなかったんだがな。そういう戦いをしたい。あわよくば自分が負けかねない戦闘がしたいと常々言っている。今回の事で、人間も中々にやるものだと言う事が伝われば良いな。それでも、何度もそれを求められても困るんだけどな。強さの極まった人間は、そこまで多くは無いのだから。


 1つの町でかかる時間は1時間から2時間程度だった。それなのにも関わらず、ここの戦力に関しては4時間が経とうとしている。それだけの激戦なのだ。流石は本隊だけある。押し込めるだけ押し込んでいるが、まだ崩れない。修羅が他の戦いを見ているからというのもあるが、人間側がもの凄く頑張っている。……惜しむべきは武器の差か。アダマンタイトで身を包んでいる修羅に決定打を与えられない。鋼やコルバイトなどは見向きもしない薄くて突破困難な装甲を持っているからな。そこまでの武器を与えられていないのに、修羅と切り結べると言うだけでも大したものだ。


 だが、それも時間の問題であった。長く戦い続けることに慣れている修羅と、人間の中では最強クラスの兵士では、スタミナが違った。修羅たちはヘカトンケイルたちを相手に何十時間も連戦が出来るだけの猛者たちだ。時間をかければかけるほど有利になっていく。そして、1人また1人と強かった人間が倒れていく。それと同時に戦線の押し上げが始まった。形が段々と崩れていき、最終的には濁流にのまれてしまった。


 圧倒的な力の差を見せつけた。武器の差も、実力の差も、スタミナの差も大きい。それだけの戦いをしてきているんだ。強さを求めた人間でも、そこまでの戦いをしてきていないという証拠でもあった。訓練次第では、人間の方に軍配が上がったのかもしれない。だが、修羅たちの方が歴戦の勇者だったという事なのだ。全力で戦った兵士も、訓練の仕方を間違えていなければ、修羅を打ち倒すまでに至ったのかもしれないが、その前に死んでしまったのだから、何も残らない。生きていなければ、何も残らないからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この世界、本当に人間が強いんですね・・・修羅はこの強さに至るまで色々頭がオカシイとしか言いようのない経緯を辿ってきたわけですが、そんな化物の中の化物と互角に戦える人間が1国の一方面軍だけで何人もいる。…
こうなると逆境に強いスキルや加護があるかですね 天下分け目の桶狭間がないとはいえない、いやないかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ