確定していた戦争
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「はあ、これを読んで頭が痛くなった。……もっと早めに通達しろよ。ふざけているんだろうか?」
「もっともですな。去年から解っていたのであれば、もっと別のやり方があったのではないかと……いう事は無いでしょうけども。結局は同じことだったのでは?」
「結局は同じだっただろう。だが、流石にこれは無いぞ。国王に謁見した時には既に解っていたことだと書いてある。つまりは、前当主も知っていたという事だぞ? それなのに戦争が次の春にはあると伝えたのが今だ。1年も無いのはおかしいだろうよ」
戦争があるという事は、既に解っていたことではあるが、何時になるのかも解っていない状態と、既に何時になるのかが解っている状態では、準備の仕方から変わってくるんだ。なのに、内乱の時には既に知っていたとなっては、怒りも出てくる。だったら内乱をしている暇なんて無かっただろうに。恐らくだが、前当主は兵糧を集めるために税を軽くすることが出来なかったのだろうと推察できる。……まあ、それでも次兄殿は切れても文句は言えないだろうが。内乱が無かった可能性もあるだけに、無駄に兵を溶かしたのではないかという疑念も出てくるぞ。
「まあ、それでも1年前には伝えろとは思うが。既に夏が始まる所まで来てしまっているんだぞ? 次の春という事は、既に1年を切っている。まあ、最短で来年だという事は解っていたから準備はしてきているが、この通達は無いだろう。一応これでも顧問の役職は貰っている筈なんだがな。連絡の不行き届きは駄目だろう。幾ら名目だけの役職であったとしてもだ。……しかも、既に軍議は終わっているらしいからな。ゴールドレッド子爵家では2方面を任されるそうだ。1方面がご当主自ら出陣をし、もう1方面は俺たちのみで守れと書いてある。前回の実績を加味すれば、この位は余裕だろうと向こうは思っているらしい。余裕ではあるが、何の根拠もなくこういう決定を出してくるのは無能の証拠だぞ? 前回と変わっていることもあるだろうに」
「それだけマクシミル様を警戒されていたという事なんでしょうなあ。こちらの戦力も解っているという所なのでしょう。なのでどうでしょうか? ここで大きく勝っておくのは。出来なくもないのでしょう?」
「ああ、出来なくはない。戦力にはかなりの余裕がある。ある程度の強さの兵ではどうしようもない程度の戦力は揃えてある。だが、何処まで攻め込むのかは慎重にしなければならないだろう。敵の本丸が出てきたら終わりの可能性すらあるからな。何処まででも落としても良いのであれば、何処まででも落とせるが、勝てない敵もいる可能性はあるぞ?」
簡単に言うと、チート系のユニークスキルやギフトを持っている奴らには勝てない可能性がある。まあ、最終手段はあるが、それは出来れば使いたくはない。……質量で押し潰せば、人間ならどんな奴でも死ぬ。ヘカトンケイルたちにボディプレスをしてもらえば、確定で死ぬのは解っている。耐えられる奴なんている訳がない。まともに戦って勝てないのであれば、そういう裏技的な事も出来てしまう。その辺一帯が平らになるだろうが。
さて、怒りの矛先を現当主殿に向けても仕方がない。戦争は既に始まっているんだ。準備の段階から戦争は始まっている。つまりは、後手に回っているという事である。戦争は先手を取った方が有利。先手で戦場を選んだ方が有利になるんだよ。後手であれば、戦場を選ぶ権利は無くなるからな。戦場を選べるという事は利点なんだよ。
「だが、守る場所は前回の場所と同じだ。ここなら確かに地の利を活かせる。前回もこの地での戦いだったのだ。勝手は解る。……少しばかり違う場所で戦い過ぎたような気もしないでもないが」
「前回も攻め手でしたからな。今回も当然の如く攻め手を選ぶんでしょう? であれば、これ以上ないくらいの名声を手に入れる方法があります。戦争に勝ち、今後は攻めてこなくなる可能性が高い策がありますが、どうしますか?」
「……聞くだけ聞こう。実現可能であれば、実行しても構わない。こっちは内政に力を入れたいからな。戦争だけをやっている訳にはいかないんだ」
「何、簡単な事です。相手の王都を落としてしまえばよろしいのです。確か、平らにすることが出来る戦力はいるとのことですが、王都を平らにしてしまえば、暫くの間は攻めてこなくなります。その間に内政を進めてしまって、絶対に勝てない戦力を手に入れる方が得策かと」
「……出来てしまう所が何とも言えない所だが、それだと王族が死ぬことにならないか? 余計に戦争が長引きそうだが?」
「王族を殺してしまっても問題ないかと思いますよ? 傍流の方々が他の貴族家に嫁いでいらっしゃるでしょうし、公爵家を興すこともありますからな。王族全員が王都にいる訳ではありません。戦争をしでかした王族は殺してしまう方が後々の為にはなるでしょう。戦争を嫌う王族が残ってくれれば、戦争をして来なくなるでしょうからな」
「まあ、確かに。王族が全員王城に居るという事は無いだろうが、それにしても過激な策だ。出来るか出来ないかで言えば、出来てしまうのが何とも言えない所ではあるんだが」
出来るか出来ないかで言えば出来るからな。ヘカトンケイルたちを向かわせればいい。確実に平らになるだろう。まずは王都を探して、そこに誘導しなければならないんだけどな。ダンジョンコアの領域が被っている所為で、王都には繋がっていないんだよ。だから積極的に王都を破壊するのであれば、ヘカトンケイルたちを誘導しないといけない。……100m近くある巨人を前に、人間が何か出来るのかと言われたら、難しいからな。下手をすれば自分が潰されかねない訳だし。
何とでもなるが、本気でそうした方が良いんだろうかね? 出来るんだからやってしまえばいいというのは確かだろう。まずはアイスクローブ王国の王都を探す所から始めないといけない訳なんだけど、何処にあるんだろうな? しらみつぶしに探さないといけないんだろうか。ちょっと大きめの城を探せば良いんだろうが、別の場所の可能性もあるから困る。地理に詳しい訳では無いからな。何処が相手の急所であるのかを確認できる方法があれば良いんだろうが、そんな都合のいい魔法なんてものも無いしな。目視で探すしかないんだろう。外壁が頑丈で、大きな城のある所が王都だと考えれば良いと思う。それ以外に目印なんて無いんだから。看板が立っている訳でもないからな。
さて、そうなると大戦争になる訳なんだけど、仕方がないか。王都まで抜いてしまうとするか。何処が王都なのかは解らないが、なんとかなるだろう。もし間違ったとしても、大都市を破壊できるだけの戦力を持ち合わせているという誇示は出来るからな。力の宣伝にはもってこいだろう。まあ、そんな事にならない方が良いんだが。……何か所もあった場合、全部潰した方が良いんだろうな。多分力の強い貴族家の領地になるんだろうし。潰しておいた方が後々の為にはなるんじゃなかろうか。もしかしたら、逆恨みをされる可能性は十分にあるが。攻めてくる分には何も問題無いと力を示してやった方が良いのかもしれないな。これだけの力があるんだから、攻めてくるなよって意味を込めて、破壊の限りを尽くした方が良いのかもしれない。ただ、むやみやたらに殺すのはちょっとな。農民を殺すような事は余りしたくはないんだけど。平民はなるべく殺さない方が良いと思う訳だ。貴族は死んでも構わないが。




