内乱の可能性
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秋が終わり冬がやってきた。既に情報では村人がやって来ているらしい。冬越しの食料さえも怪しい所が逃げて来ているのだと。雪が本格的に積もる前に移動してしまおうという所なんだろうな。若い男女と子供がメインだ。……老人はそもそも口減らしで外に出してしまっているし、まだ労働力になる人でさえ、俺はもう邪魔になるからと、領都へと向かっていったそうだ。つまりは、これからの代を託された人だけが集まって来ていると言う事なんだよ。……そんな村はもう終わりだろうな。復興も人口が居なければ難しい。町から村へと移り住む人もいるかもしれないが、望みは薄いだろう。
「じり貧だな。本家からも何も連絡がない。本来であれば、税を軽くするという報告があってもおかしくはないはずだ。というか、他の町からの苦情もいっている筈なんだがな。領都だけ残っても意味がないというのに。この決定で、下手をすれば内乱だな。来年をどうするのか。俺たちは傍観するが、他の町、特に兄たちが代官をしている町なんかは、本家を打倒しようと軍を起こしても不思議ではない。長兄であればそのまま家督を得られるかもしれないと座してみることはあるかもしれないが、次兄であれば、打って出た方が自分が当主になる可能性が高くなる。今は籠城なんて出来ないんだ。何処からの援軍も当てにならないのであれば、動き出してもおかしくはないぞ」
「……ですな。ところで、先ほどこちらを頂きました。丁度次兄様が治めている町からですな。内容は察するに難くないですが。兵か兵糧が欲しいんでしょう。転封を条件に出されているのではないですか? ここが辺境だからといって、もっと良い場所に転封すると。そういう所ではないでしょうか? 違えば多少は良いのかもしれません。内乱にするのもどうかとは思いますが、どうしますか? 本家との対立を後押しするのかどうかでしょうが」
殆ど関わったことのない次兄からの連絡か。教育も殆ど別だったからな。俺を貴族の通う学校に通わせる気が無かったのは、剣術が全くできなかったからだ。ユニークスキルとギフトもあまりよくないものだった。それなのに、今更何をいいたいのかという所である。そもそも、マセル以上に発展している領地はゴールドレッド子爵家には無いんだ。人口は確かに他の町の方が多いのかもしれない。ただそれだけだ。産業にしても経済にしても、マセルの方が大きくなりつつあるんだ。成長率を加味すれば、今更転封に応じる必要もないんだよ。そもそも、ダンジョンコアや魔物たちをどう扱うのかという問題も出てくる。ここでないと色々と出来ないことが多いんだ。転封にメリットは何も無いな。
「……兵と兵糧、どちらも出せと言ってきているな。そうすれば、本家での役職を保証するそうだ。つまりは、何の意味もない役職を押し付けてくるという事である。これに呼応すると本気で思っているのかが怪しい所だ。そもそもの話を言っても良いのであれば、次兄と連携をせずとも本家程度は落とせるのにな。それをしていないのは何故かと問うた方が良いのではないかと思ってくる。そもそも本家には何も期待をしていないのだ」
「次兄様からすれば、それが最善手でしょうから。もっとも、どちらも出せる状況ではないというのを解っていないのでしょうが。ですが、無意味な役職を貰っておくのは良い手では無いですかな?」
「そうか? 大した意味もない役職だぞ? 貰っても精々が本家に多少の顔が利くようになるくらい……ああ、そういう事か。確かにそこまで考えるとあった方が良いのか」
「でしょう。役職者からの意見をすべて無視できるほどには、次兄様の立場も大きくは無いでしょうし、影響力を持っているだけでも良しとするべきではないですか? 最悪の場合は、国に認められようがどうしようが独立してしまえば良いのですから。それが出来る状況でしょう」
確かにな。戦力的に考えても、独立という選択肢は残る事になる。まあ、小さな国で何が出来るのかと言ったところではあるんだろうが。領土を必要としないのであれば、独立してしまっても構わない。魔物を受け入れられる北の森の所有権を持ってしまえば、割と好き勝手に出来るのは確かだ。まあ、そこまでやる気はないが。管理が非常に面倒だ。出来れば国に所属したままで居たいとは思う。
だが、役職を貰っておくのは、確かに悪い事ではないな。近く戦争が起きるんだ。指揮権をこちらで1つ持っておくだけで全然違う。前回は戦力の差を見せつけるためにわざと大きな数字を出して、無理やり別動隊に押し込んだが、それも必要なくなる。俺たちはこちらを受け持つから、そっちは任せたが出来る様になるんだ。確かに役職だけを貰っておくのは悪い選択ではない。
それでも兵は出せないだろう。無駄に命を賭けるよりも、村の警護をさせていた方が良い。戦力をわざわざ減らす理由はない。それなら兵糧だけでも送っておくか。それと、こちらからも要求をしてしまわないと、対等ではない。立場は対等なのだという事を解って貰わなければならないな。
「兵は出さん。兵糧だけ送る。それと役職は貰うが、同時に減税も吹っ掛けよう。それで良しというのであれば味方に付く。駄目だというのであれば、兵糧も出さない。次兄殿がどのように判断するのか、こちらでも試させて貰おう」
「既に立場は逆転しているという事を解っておられないようですな。こちらは先の戦争で勝利の大半を占めている軍隊ですからな。国としては、次兄様よりもマクシミル様の方が重要人物になるでしょう。その辺を解っておられないのが残念でなりません」
「あくまでも対等に物事を動かす。こちらの方が上だと言い出すと、面倒なことに巻き込まれるだろう。ゴールドレッド子爵家の当主には魅力などありはしない。ここマセルを領都として新しく家を興した方がまだマシだ。それでも面倒な事になるのは目に見えている。貴族としての義務が生じるだけだ。できれば、その様な面倒ごとを子供たちに押し付けるような事はしたくない。第一、そんな事をしたら、デーデルは家宰になるが、どうする? 今以上に仕事が舞い込んでくるぞ? それを息子に引き継がせるのか?」
「家宰とは随分な出世ですな。……面倒になるだけでしょうが。そもそもゴールドレッド子爵家から独立しても、隣接地は全てゴールドレッド子爵家になる訳です。それでは何も出来ないでしょう。まあ、最悪はミッテルディア王国との国交だけを維持すればなんとかなるのでしょうが。領地内の経済を回すだけでも大変ですな」
当然そうなる。まあ、面倒なだけで済めばいいがな。貴族教育からやり直さないといけない状態では、妻であるエレノアに負担を押し付けるだけになってしまう。一代官の家系で十分だ。これ以上の面倒ごとを押し付けられて堪るものか。もっと利益のある話を持ってきてくれれば、次兄殿にも兵を融通したというのに。責めてその位の交渉は出来ないと、貴族家としてやっていけない可能性があるぞ。
さて、決まれば後は簡単だ。次兄殿が何処までやれるのかを見物させてもらおう。兵糧は出してもいい。どうせ本家は落ちるからな。もしもがあるとすれば、長兄殿が本家の援軍に入ることくらいか。だが、長兄殿についてくる兵が居るのかどうかだな。村からの徴兵は無意味。そもそも次兄殿が上手く手を回しているだろう。町からも難しいだろうな。そもそもの寄せ集めで、どうしろと言うのか。寄せ集めるのであれば、数が必要になってくる。数に利があるのは次兄殿だろう。まずは状況を見させて貰おうか。




