商会との話
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「皆集まっているな。今日は冬にも関わらず集まってもらって感謝している。6商会にはいつも助けられている所だ。村からの徴税であったり、領都への税の運搬もそうだ。なんだかんだと助けられているのも事実。日頃から感謝をしている」
商会の皆には集まって貰った。デーデルとの考えを伝えるためだ。……護衛をふんだんに付けた税の運搬には、何処かの商会にやって貰わないといけないんだが、その護衛は精鋭を付ける。魔物人からも選び抜くつもりだ。税の運搬はしっかりと護衛をする。ただし、帰ってくるまでに商売をするなという事になるんだ。……まあ、欲しい物なんて特には無いとは思うけどな。
領都で揃えられるものは、マセルでも揃えられるんだ。品質はマセルの方が上。素材も製法もだな。そもそもの話、ユニークスキルやギフトをちゃんと使っているのはここだけだ。領都でもそんな事はやっていない。やっていれば、そもそもこんな辺境の子爵なんてやってないだろうからな。転封してアイスクローブ王国の盾にされているだろう。俺ならそうするし、なんなら全都市町村と連携する。それが出来ていない時点で、お察しである。
「そこでだ。日頃から皆の頑張りには感謝をしている所なんだが、暫くの間、村以外との交易を停止する。……税の運搬をしてもらう商会はあるだろうが、護衛をかなり付けての運搬作業となる。だが、それの機会にも、領都と交易をする事は禁ずる。あくまでも税の運搬のみを行ってもらう。これは代官命令だ。領都の情報も欲しいのは山々だが、この決定は覆らない」
「まあ、そうなるわな。俺も来年はどうするかって考えてたところだ」
「ああそうだな。俺の所も同じだ。領都の情報が欲しいのはその通りだが、命があってこそだしな」
「ふむ。そうなると、ここの商会全員が共通して認識しているという事で良いか? 今の領都に近づくのは危険だという事で」
「私としては当然の事だと思いますれば。村との交易をしている我々にも情報網はあります。……マクシミル様はまだご存じないかもしれませんが、既に口減らしをした村があります。ええ、事態は既に動いているのです。それらが目指す先は領都でしょう。一番の税が集まる場所。そこに大挙して押し寄せるのでしょうなあ。それを迎え撃つ領都軍。死者の場所となる場所へと行きたがる者は居ないでしょう。勿論、私とて行きたくはありませんな。……流石に納税の為に出してくれと言われれば、出すしかありませんがね」
「レッタニンの言う通りだな。こっちでも口減らしの情報を掴んでいる。……幸いにもこっちには来ないという事で安心してたところでもある。だが、領都に行くのであれば別だ。しっかりと護衛をしてくれるってんなら、まあ、行っても良いかとは思うが、それ以外では行きたくもねえな」
「既に口減らしが行われていたか……。こっちにはその情報が入って来ていない。となると、近々話があったという事なのか?」
「ああ、そうだ。既にこの6商会で情報は共有している。何時話すかって段階だったんだ。今日に集まるっていうんで今日で良いかという話になったんだ」
「ちゃんと情報共有はしろって話をしてただろ? こっちだって馬鹿じゃねえ。有益な情報を共有することは、余りないかもしれないが、不利益な情報は共有した方が良いって事は解っているからな。……敵はこの町の商会じゃないって教えてくれたのはマクシミル様だろ?」
そうか。ちゃんと足並みを揃えてくれている様で安心した。抜け駆けはやりかねないという感じだが、不利益を被ることは無さそうな感じである。それは朗報だ。こういった結束はしっかりとしておいた方が良いんだよ。頼りになるのは仲間だけだからな。協力するところは協力していかないと、外の奴らに負けてしまう。それでは商人としてはいいかもしれないが、町としてはマイナスなんだ。一致団結して挑んでもらわなければならない。
「では、領都には近づかない方向で考えよう。暫くは、だがな。今の冷夏が終わって3年程したら、領都との交易を再開する。その時までは領都に不必要に近づかない事だ。野盗紛いの者たちが沢山居る事が予想される。……他の町からの税を横取りするのも目的の1つだろうからな。生きるためとはいえ、かなり危ない橋を渡る事になる。そして、5年も経てば全滅するだろう。もしかしたら、死肉を食べて生き残る人間もいるかもしれないが、それは人間扱いしなくてもいい。既に魔物になってしまったと考えるんだ」
死肉をという所で、そこまでするのかという驚きと、そこまでするんだろうなっていう諦めの表情が浮かんだ。そうだ。恐らくだが、人間というものは、生きるためにはそうするだろう。まずは老人から犠牲になり、次から次へと食らっていく。そして、それらはもう魔物と化すのだ。もしかしたら、突然変異を起こすかもしれない。人間で無くなるという事は、殺しても罪悪感が無くなるという事でもある。魔物や動物を殺すのに、罪悪感が生まれるか? そういう事だ。
「では、その後の話をしよう。俺たちは口減らしの後の話も考えた。まずは老人や働けないもの、働かないものを処分するだろう。それは一斉に行う事を考えた。そうしなければ、第2回目、第3回目に選ばれた人が、村を襲撃する可能性もあると思ったからだ。出すのであれば一度に。それが俺たちの考えた事である」
「まあ、そうなるだろうな。どうせ労働力に数えられないんだから、一斉に放りだした方が食料は確保できるわな」
「下手に恨みを持たれるよりはそうするか。妥当ではある」
「その後だ。口減らしという名の荷物を捨てた後、その村はどうするか。……恐らくだが、村の人口を支えるだけの食物を作り出せないだろうと踏んでいる。そうなると、村を挙げて全力で領都をたたきにいくと思う。今度は他の村と連携しながら、連絡を取りながらになると思われる。その時には、こちらの村にも打診があると考えているんだ」
「あー、そうなるのか。……税を滞納したら死ぬことになるからな。そうせざるを得ないか」
「うーん。そうなると、次の秋までに動きがありそうだな。なんとかするんだろうが、何をするんだ? こっちもやることはあるのか?」
「商会を動かしてもらう必要はない。ただ、蜂起する村人をこちらの村で引き受ける。こっちにはまだ食料に余裕があるだろう? それらを使って大規模に村人を集める。そして、町規模の村を作ってしまおうと、そういう作戦を考えた」
「なるほどなるほど。見えてきましたぞ。その為には大規模な開拓が必要になる。それはそちらがなんとかするのでしょうな。問題はその大規模な開拓の後、ですな。労働力が幾らあっても、広すぎる農地には流石にとなるでしょう。そこで、アンデッドの運搬を私どもにさせたいと。そういう事でしょう」
「スケルトンの運搬か? 今までもやってきたことだろう?」
「いえいえ、恐らくですがマクシミル様は来年の間に1000以上は送り込む予定で居るのでしょう。これまでとは訳が違います。大規模な改革をしたいと考えているのでしょう」
「そういう事だな。領都にいかない分、村との往復を頑張って貰いたい。開拓はこちらに任せて貰えば結構。収入も保証しよう。出来るか出来ないかではなく、やるのだよ。今が一番の好機だろうからな」
村人を増やすには絶好の機会だ。この機会を逃してなるものか。人口は発展の素。人口が無ければ何も出来ないんだ。死なせるなんて勿体ない事は出来ないだろう?




